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【2021主力選手通信簿|巨人】2年連続二冠王の岡本は当然の最高評価。一方で菅野と坂本は……<SLUGGER>

岡本(写真)の2年連続二冠王は、球団では1977年の王貞治以来。右打者では史上初で、最高評価も当然だ。写真:徳原隆元
全12球団の主力選手の2021年シーズンを5段階の通信簿形式で振り返っていく同企画。各選手のこれまでの実績や期待値も踏まえて査定し、評価していく。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

【投手】
●戸郷翔征
[試合] 26 [勝敗] 9-8 [防御率] 4.27
[投球回] 151.2    [K/9] 8.19 [BB/9] 3.44
評価:まずまずです(B)
防御率は昨季から1.51も悪化し、9月以降は1勝のみとツキもなかった。ただ、奪三振率や与四球率は昨年とほぼ同水準で、初めて規定投球回をクリア。151.2回はチーム最多だった。

●高橋優貴
[試合] 27 [勝敗] 11-9    [防御率] 3.39
[投球回] 140.2    [K/9] 4.86 [BB/9] 3.90
評価:よくできました(A)
開幕5連勝で3・4月の月間MVPを受賞。最多勝争いにも加わった。後半戦は防御率5.13と息切れ、CSでもKOされたが、1勝に終わった昨季から大きく飛躍を遂げた。

●菅野智之
[試合] 19 [勝敗] 6-7 [防御率] 3.19
[投球回] 115.2    [K/9] 7.94 [BB/9] 1.95
評価:がんばりましょう(D)
MLB挑戦を撤回して史上2位の年俸8億円で残留しながらコンディション不良が続き、5回も登録を抹消されて東京五輪も辞退。投球回数は自己最少で、9年目にして初の負け越しも経験した。

●畠世周
[試合] 52 [勝敗] 4-3 [防御率] 3.07 [ホールド] 11
[投球回] 96.2    [K/9] 9.03 [BB/9] 2.33
評価:よくできました(A)
4月に先発として一軍へ昇格したが、6月からはブルペンへ。複数イニングもいとわず、5連投も2回こなし、中1日での谷間先発まで務めるなどフル回転してチームを支えた。
●メルセデス
[試合] 17 [勝敗] 7-5 [防御率] 3.77
[投球回] 86.0    [K/9] 7.74 [BB/9] 2.30
評価:可もなく不可もなく(C)
昨秋に左ヒジのクリーニング手術を受け、コロナ禍もあって一軍復帰は6月に。8月までは5連勝も含め7勝1敗だったが、9月以降は防御率5.50、0勝4敗とピリッとしなかった。

●山口俊
[試合] 15 [勝敗] 2-8 [防御率] 3.56
[投球回] 78.1    [K/9] 9.54 [BB/9] 4.25
評価:ガッカリです(E)
6月にサンフランシスコ・ジャイアンツを退団して2年ぶりの巨人復帰も、早期降板が目立ち6回以上は投げたのはわずか6試合。8月20日から7連敗でシーズンを終え、CSでも初回3失点で黒星。

●サンチェス
[試合] 14 [勝敗] 5-5 [防御率] 4.68
[投球回] 73.0    [K/9] 6.66 [BB/9] 2.84
評価:がんばりましょう(D)
好投したと思ったら次の登板で炎上、というパターンの繰り返しで、HQS5回の一方、5失点以上も3度。3被弾した7月13日ヤクルト戦を最後に登板がなく、今季限りでの退団が決まった。

●今村信貴
[試合] 17 [勝敗] 3-4 [防御率] 2.71
[投球回] 63.0    [K/9] 8.43 [BB/9] 3.14
評価:可もなく不可もなく(C)
開幕から3試合連続HQS、4月11日の広島戦では142球で3年ぶり2度目の完封勝利と幸先は良かったが、5月の4先発はすべて6回持たず。7月からはブルペンへ回された。

●ビエイラ
[試合] 56 [勝敗] 0-3 [防御率] 2.93    [セーブ] 19
[投球回] 55.1    [K/9] 10.41 [BB/9] 4.23
評価:まずまずです(B)
3・4月は12イニングで8失点の乱調だったが、5月18日から32試合連続無失点の助っ人史上最長記録を樹立。7・8月の月間MVPに選ばれた。8月13日の中日戦で史上最速166キロを計時。
●中川皓太
[試合] 58 [勝敗] 4-3 [防御率] 2.47 [ホールド] 25
[投球回] 54.2    [K/9] 8.07 [BB/9] 1.65
評価:まずまずです(B)
6月に上半身のコンディション不良により登録抹消。後に左肋骨骨折が判明して東京五輪も辞退した。それでも8月下旬の復帰後は防御率1.13と復調し、K/BB4.90は自己ベスト。

●鍵谷陽平
[試合] 59 [勝敗] 3-0    [防御率] 3.19 [ホールド] 15
[投球回] 42.1    [K/9] 6.38 [BB/9] 3.83
評価:まずまずです(B)
昨季は9.64だった奪三振率が6.38まで低下。それでも登板投球回は19年の巨人移籍後自己ベストだった。ワンポイントから回またぎまでこなす献身ぶりは原監督からも高評価。

●デラロサ
[試合] 46 [勝敗] 1-0    [防御率] 2.83 [セーブ] 7 [ホールド] 13
[投球回] 41.1    [K/9] 7.40 [BB/9] 2.61
評価:まずまずです(B)
開幕当初はクローザーとして好投したが、15日になってアメリカ市民権取得手続きで戦列を離れた。5月下旬の復帰後はセットアッパーとして奮闘し、3年連続で防御率2点台に抑えた。

●高梨雄平
[試合] 55 [勝敗] 2-2 [防御率] 3.69    [ホールド] 20
[投球回] 39.0    [K/9] 10.85 [BB/9] 4.85
評価:がんばりましょう(D)
投手陣で実質ベストの奪三振率10.85を記録したが、防御率3.69は自己ワースト。昨季は被打率.153と抑えた右打者に.304と打ちこまれた。
【野手】
●岡本和真
[試合] 143 [打数] 521 [打率]    .265
[本塁打] 39 [打点] 113 [OPS] .871 [盗塁] 1
評価:よくできました(A)
2年連続で本塁打と打点の二冠を獲得。失策4も前年の半分で、自身初のゴールデン・グラブ賞を受賞した。3度目の全試合出場で4番を張ったが、CSは左脇腹痛で出場できず。

●松原聖弥
[試合] 135 [打数] 431    [打率] .274
[本塁打] 12 [打点] 37    [OPS] .756 [盗塁] 15
評価:よくできました(A)
“育成の星”が初の開幕スタメンを勝ち取り、外野全ポジションをこなしながらリードオフを務めた。育成選手の年間2ケタ本塁打達成はセ・リーグ史上初。

●坂本勇人
[試合] 117 [打数] 424    [打率] .271
[本塁打] 19 [打点] 46    [OPS] .826 [盗塁] 2
評価:可もなく不可もなく(C)
5月に右手親指骨折で1ヵ月の戦線離脱。東京五輪では初戦のドミニカ共和国戦でサヨナラ打を放ちベストナインにも選ばれたが、レギュラーシーズンでは不調で、打率やOPSは16年以降でワーストの数字。

●丸佳浩
[試合] 118 [打数] 392    [打率] .265
[本塁打] 23 [打点] 55    [OPS] .860 [盗塁] 5
評価:可もなく不可もなく(C)
開幕直後にコロナ陽性で戦列を離れ、6月には巨人加入後で初の二軍落ちも経験。年間を通して不安定な打撃が続き、打席アプローチの悪化も気になるが、OPS.860は二冠王の岡本と遜色ない数字だった。
●ウィーラー
[試合] 121 [打数] 384    [打率] .289
[本塁打] 15 [打点] 56    [OPS] .837 [盗塁] 3
評価:よくできました(A)
3月30日から球団歴代6位の22試合連続安打を記録し、一時は首位打者に浮上。その後はペースが落ちたが、チーム事情に応じてレフトと一塁を守り、全力プレーで味方を鼓舞するなど数字に見えない貢献も◎。

●大城卓三
[試合] 125 [打数] 347    [打率] .231
[本塁打] 11 [打点] 37    [OPS] .660 [盗塁] 0
評価:可もなく不可もなく(C)
開幕戦での勝ち越し3ランを皮切りに、8月下旬には自身初の2ケタ本塁打到達。ただし、9月以降は柵越えなしでOPSは.660と低調だった。盗塁阻止率44.7%はリーグ1位。

●吉川尚輝
[試合] 108 [打数] 305    [打率] .272
[本塁打] 5 [打点] 25    [OPS] .683 [盗塁] 7
評価:可もなく不可もなく(C)
6月半ばに死球で左手中指骨折するなど離脱もあったが、2年連続で100試合以上に出場。前半戦は3番も務めたが、後半戦は不振で10月はスタメン外が増えた。

●中田翔
[試合] 73 [打数] 256    [打率] .177
[本塁打] 7 [打点] 20    [OPS] .574 [盗塁] 0
評価:ガッカリです(E)
日本ハムでは田中将大(楽天)から今季初本塁打を放つも不振が続き、同僚への暴行事件によって無償トレードで放出。巨人でも不振で2度の二軍落ちと、まったくいいところがなかった。
●梶谷隆幸
[試合] 61 [打数] 227 [打率] .282
[本塁打] 4 [打点] 23    [OPS] .721 [盗塁] 11
評価:ガッカリです(E)
4年総額8億円の大型契約で加入。リードオフを務めて徐々に調子を上げたが、5月下旬に左太腿裏痛で1ヵ月離脱、7月半ばには死球で右手骨折と故障続きであまり働けなかった。

●若林晃弘
[試合] 96 [打数] 213    [打率] .239
[本塁打] 5 [打点] 16    [OPS] .675 [盗塁] 1
評価:まずまずです(B)
オープン戦はチーム三冠の活躍で初の開幕スタメン出場。コロナ陽性での離脱はあったものの96試合出場は自己最多で、内野全ポジションをこなす汎用性でも貢献した。

●亀井善行
[試合] 92 [打数] 186    [打率] .215
[本塁打] 3 [打点] 17 [OPS] .608 [盗塁] 1
評価:おつかれさまでした
DeNAとの開幕戦では史上初の「開幕戦代打サヨナラ弾」。6月5日の日本ハム戦で通算100本塁打も達成した。9月以降はスタメンでの出場機会が増えてクリーンナップも任されたが振るわず、今季限りでの引退を発表した。

●中島宏之
[試合] 81 [打数] 181    [打率] .271
[本塁打] 6 [打点] 26    [OPS] .740 [盗塁] 0
評価:まずまずです(B)
ウィーラーや中田との併用により、打席数は昨季から100以上も減ったが巧打は健在。特に得点圏では打率.385の強さで、首位ヤクルトとの試合でも.370とよく打った。

【監督】
●原辰徳
61勝62敗20分 勝率.496(3位) 得失点差+11(3位)
評価:ガッカリです(E)
最大8ゲーム差をひっくり返して8月下旬にはリーグ首位へ浮上したが、終盤は先発投手の中5日や4日起用が実らず。10月に引き分けを挟む10連敗を喫して3連覇を逸した。ライバルの阪神には14年ぶりの負け越し。

文●藤原彬

【著者プロフィール】
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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