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6年のブランクを経て野球再挑戦した清原ジュニアの実力は?現実は厳しいが、期待せずにいられない理由

清原和博の息子として注目されがちな清原正吾。だが、彼はそれ以上に注目すべき挑戦に挑んでいる。(C)産経新聞社
 毎年全国から有望な新入生が集まる東京六大学野球。そのなかで今年、実力とは違うところで高い注目を集めているのが清原和博氏(元西武など)の長男、清原正吾(慶応大)である。

 偉大な父を持つという点はもちろんだが、もうひとつ注目を集める要因となっているのがその経歴だ。小学生までは少年野球チームでプレーしていたが、中学ではバレーボール部に入部。高校でもアメリカンフットボール部に所属するなど、本格的な野球から6年間も離れていたのだ。

 近年では千葉ロッテマリーンズで「足のスペシャリスト」として活躍する和田康士朗が高校時代に陸上部に所属していたニュースが小さくない話題となった。だが、その和田も社会人野球のクラブチームでプレーしており、野球から完全に離れた時期は決して長かったわけではない。ゆえに6年間のブランクを経ている清原の本格的な再チャレンジは、相当に珍しい。

 しかも東京六大学野球は全国でもトップクラスの伝統と実力を誇るリーグであり、慶応大は今年も春、秋のリーグ戦で連覇を達成するなど、名実ともに学生野球の頂点に君臨するチームだ。冒頭でも触れたように、野球での実績が考慮される入試制度のない東京大を除く5チームにはいずれも高校時代から全国的な知名度もある選手が多く所属しており、プロにも毎年選手を輩出している。
  慶応大は慶応高から進学する選手の割合が比較的多いが、そんな内部進学組も中学時代から将来性を高く評価されていたケースが目立つ。改めて今月25日に行なわれた明治神宮野球大会の決勝でのスタメン選手と出身校を並べてみると、以下のようになっている。

渡部遼人(センター/4年/桐光学園/21年ドラフト・オリックス3位)
萩尾匡也(レフト/3年/文徳)
下山悠介(サード/3年/慶応)
正木智也(ファースト/4年/慶応/21年ドラフト・ソフトバンク2位)
広瀬隆太(セカンド/3年/慶応)
橋本典之(ライト/4年/出雲)
福井章吾(キャッチャー/4年/大阪桐蔭)
朝日晴人(ショート/3年/彦根東)
増居翔太(ピッチャー/3年/彦根東)

 キャプテンの福井は大阪桐蔭で春の甲子園優勝を経験。渡部の桐光学園(神奈川)、萩尾の文徳(熊本)も県内では強豪校であり、ともに高校時代から評判の選手である。橋本と朝日、増居が在籍した出雲と彦根東は県立の進学校だが、この3人が所属していた当時は力のあるチームで甲子園出場経験もある。とくに増居は大会でも注目の好投手だった。
  内部進学した3人も高校時代から評判のある選手たちで、東京大を除く5大学では高校時代に全く無名で一般入試から入部してきた選手のレギュラー奪取、それも中高で野球から離れていた選手となると皆無というのが実情である。

 そうしたなかで、清原は秋のリーグ戦終了後に行なわれた1、2年生を対象としたフレッシュトーナメントで3試合連続スタメン出場。そのうち2試合で4番も務めたが、結果は9打数1安打と目立った活躍を見せることはできていない。

 筆者は11月4日に行なわれた明治大との試合で実際のそのプレーを見たが、恵まれた体格こそ目を引いたものの、スイングの形は安定しておらず、東京六大学野球で活躍するためには相当なレベルアップが必要だという印象を受けた。11月25日に閉幕した明治神宮大会で4年生は引退。チームは新体制となるが、来年春もリーグ戦のメンバー入りする可能性は極めて低いというのが現状だろう。
  しかしそんな清原にとって追い風となる要因もたしかに存在している。同学年で高校時代に慶応大進学を希望していた有力選手は高橋宏斗(中京大中京→中日)を筆頭に軒並み不合格となり、高校時代に目立った実績のある選手は不在となっているのだ。フレッシュトーナメントとはいえ、経験値の浅い清原がクリーンアップを任された背景にはこのようなチーム事情が関係しているとも考えられる。苦しい状況ではあるが、清原自身にとっては大きなチャンスであることは間違いない。

 繰り返すがレギュラー獲得への道は険しい。だが、清原の野球人生はまだまだスタートしたばかりである。来年以降、周囲を驚かせるような成長を見せて、リーグ戦、そして早慶戦の大観衆の前で打席に立つ姿を見せてくれることを期待したい。

取材・文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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