下川裕一,バドミントン

バドミントン 強烈スマッシュの裏側は

シャトルランを繰り返すようなイメージの競技

下川裕一,バドミントン

――足腰が大事ということは、練習としてロードワークとかもやるんですか?

下川:距離を走ったり、ダッシュしたりというのは、他の競技と比べてというか、シャトルを打つのと同じぐらいやってるチームは多いですね。高校でも、陸上部なのかっていうぐらい走ったりするところもあるようです。ほかにも基本的には、たとえば3時間のトレーニングのうち、息を上げたり、体を追い込む練習は必ず入れないとダメです。心肺機能とか乳酸が溜まったあとどこまで動作を保てるかといった面を強化する必要があるんです。うまくラケットにシャトルを当てる練習だけ一生懸命やっても、なかなかそういった面を追い込むことはできません。

――かなりしんどそうですね。

下川:バドミントンって、長い試合だと1時間を平気で超えることもあるんです。止まって動いて、止まって動いて、それをずっと繰り返すわけですから、なかなかに苦しいものがあります。

――ダッシュあり、反復横跳びあり、ジャンプもありみたいな感じですね。

下川:はい。シャトルランを数十分、ときに1時間以上やり続けるようなイメージが近いかもしれません。バドミントンやってる人はシャトルラン、結構速いですね。

利き腕と「利き足」が太くなる

下川裕一,バドミントン

――「ラケット競技あるある」かもしれませんが、やっぱり利き腕だけ太くなったりしますか?

下川:ありますあります。(自分の右腕を見せながら)こっちはこのぐらい筋肉が出ますけど、左腕はそんなに出ないんですよ。もう前ほどはトレーニングしてないのでいまはこんな程度の差ですけど、もっと昔はすごかったですね。Tシャツを着ると右腕だけがパンパンで、左腕はガバガバ、そんな状態でした。

――使わない腕も鍛えるんですか?

下川:一緒に腕立てするなどして、もちろん両方鍛えますけど、やっぱりラケットを振ってる時間が利き腕に偏ってしまうので、これはもう仕方がない。右利きであれば、足の太さも右足の方が上回ってきますよ。踏み込んだ時に、最後右足で止まりますからね。バドミントンって結構、踏み込むっていう動作が多いんです。前にダッシュして、グッと右足で踏み込んでジャンプ、あるいは止まったり、とにかく負荷がかかりやすい。腕と足以外だと……そうですね、あとは腹筋がズレてきたりもします。

――腹筋がズレるんですか?

下川:(自分の腹筋を見せながら)もう、腹筋は、見てもらえるとわかりますよね。バドミントン選手全員がそうかはわからないですけど、腹筋ズレますよ。はっきり理由を調べたわけではないですが、おそらく一方の腕だけ振りかぶってブンブン振ってるからじゃないですか?腹筋込みでのけぞるように体もひねりますからね。

>>特集連載:下川裕一「今、バドミントンが熱い理由」

■プロフィール

下川裕一,バドミントン

下川裕一(しもかわ・ゆういち)
1981年生まれ。東京都出身。祖父の手ほどきで3歳からバドミントンを始める。淑徳巣鴨高等学校、淑徳大学を卒業後、旭工芸株式会社に入社。実業団選手として16年プレーし、昨年からはコーチ兼選手として活動している。

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