上手い人は、なぜスピン系のボールしか使わないの?

スピン系ボールはやわらかいウレタン系のカバー素材を使っているため、インパクトでフェースに食いついてスピンがかかる

いまさら言うまでもありませんが、ゴルフは良いスコアで上がる競技。ドラコンなどは別として、ストロークプレーではトータルスコアを、マッチプレーでは相手より各ホールで1打でも良いスコアで上がることです。そのために最も重要なのは、距離をコントロールすること。なんといっても飛距離が一番!というプレーヤーもいますが、飛ぶこととスコアは必ずしも一致しません。

スコアを良くするため、プロ・上級者が特に重要視しているのがアプローチでのコントロール性能。トッププロでもパーオン率は70%程度。残りの30%はアプローチなどのショートゲームでカバーすることになります。つまり、スコアをよくするためには、アプローチでいかに自分のイメージ通りピンの傍まで寄せ、パーを取れるかにかかっている。そのために「意図した通りにスピンがかかること」が必要になるのです。
 
アプローチショットはヘッドスピードが比較的遅い領域でのショットになるので、カバーの素材がスピン性能に大きく影響します。現在スピン系と言われるボールは、このカバー材にウレタン系樹脂を使っています。軟らかく粘りのある素材で、ウエッジで打ったときにフェース面で滑らずスピンをかけることができます。逆にディスタンス系のボールは、スピンを少なくして飛ばすことに主眼をおいているので、カバーの素材に硬い樹脂を使っています。
 
ブリヂストンによるとタイガー・ウッズは道具の中ではボールが一番重要で、そのこだわりは「グリーン周りの性能と打感で、本人は『deep』と表現しているやわらかな打感や感触があること、ボールが食いついて低く出せる」とのことです。ボールが低く出せることは、フェースに乗ってスピンがかかっている証拠。プロによるアプローチのボールテストで「ポッコン」と表現されるのは、フェースに乗らず打ち出しでボールが上がってしまう現象のことを指します。スピンがかかっていないため、自分のイメージ通りにコントロールできないため、このようなボールを嫌うのです。
 
是非、アプローチなどでスピン系ボールとディスタンス系ボールを打ち比べてみてください。例えば15~20ヤードの距離であっても、打ち出し直後、出球の高さが明らかに違うことが実感できると思います。もちろん腕前にもよりますが、スピン系ボールを使えば、プロ・上級者のようにピンの傍でイメージ通りに止まるボールが打てるようになる可能性があります。スピン系ボールが支持される理由です。
 
(取材/文・嶋崎平人)

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