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【2021主力選手通信簿|日本ハム】東京五輪でも活躍の伊藤は納得の最高評価。だが、西川や大田らは不甲斐ない結果に<SLUGGER>

チームの顔であるはずの西川も今季は絶不調。昨年まで4年連続で受賞していたゴールデン・グラブ賞も逃した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)
全12球団の主力選手の2021年シーズンを5段階の通信簿形式で振り返っていく。評価は各選手のこれまでの実績や期待値も踏まえて査定した。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

【投手】
●上沢直之
[試合] 24 [勝敗] 12-6 [防御率] 2.81
[投球回] 160.1   [K/9] 7.58  [BB/9] 2.69
評価:よくできました(A)
QS率87.5%は山本由伸(オリックス)に僅差のリーグ2位。後半戦では2ケタ奪三振3回、K/BB6.89と低迷するチームにあって快投を続けた。首位オリックスに対し4勝0敗だったのも価値が高い。

●加藤貴之
[試合] 25 [勝敗] 6-7[防御率] 3.42
[投球回] 150.0     [K/9] 6.12  [BB/9] 1.26
評価:まずまずです(B)
昨季はリリーフ兼任だったが先発一本に絞り、初の規定投球回をクリア。勝ち運がなく6勝どまりだったが、3四球以上出したのは1試合だけ。10月18日楽天戦でのプロ初完投も無四球完封だった。

●伊藤大海
[試合] 23 [勝敗] 10-9 [防御率] 2.90
[投球回] 146.0     [K/9] 8.69  [BB/9] 3.27
評価:よくできました(A)
開幕早々23イニング連続奪三振の新人タイ記録を樹立。東京五輪でも熱い投球で全国区の知名度を得た。最終登板で10勝&防御率2点台を達成、例年なら新人王確実の働きだった。

●バーヘイゲン
[試合] 20 [勝敗] 5-8 [防御率] 3.84
[投球回] 96.0     [K/9] 9.38  [BB/9] 3.09
評価:可もなく不可もなく(C)
コロナ禍で来日が大幅に遅れ、調整も進まず前半戦はスタミナ不足が顕著だった。それでもシーズンが進むにつれて本来の出来を取り戻し、8月以降の9試合は防御率1.65に抑えた。
●河野竜生
[試合] 40 [勝敗] 3-6    [ホールド] 9
[防御率] 2.99    [投球回] 90.1   [K/9] 6.77  [BB/9] 3.89
評価:まずまずです(B)
開幕直後にリリーフへ回り、19試合連続無失点と適性を発揮。それでもあくまで先発で育てたい首脳陣の意向から、後半戦はローテーションに復帰。9先発で1勝5敗でも、QSは5回記録した。

●池田隆英
[試合] 18 [勝敗] 3-10 [防御率] 3.94
[投球回] 82.1     [K/9] 5.68  [BB/9] 3.83
評価:可もなく不可もなく(C)
キャンプ中のトレードで楽天から加入し、オープン戦で好投してローテーション入り。粘り強い投球で苦しい台所を支えたが、奪三振率5.68と球威不足は否めず、リーグ最多の10敗を喫した。

●立野和明
[試合] 11 [勝敗] 4-3 [防御率] 2.45
[投球回] 55.0     [K/9] 7.69  [BB/9] 3.76
評価:まずまずです(B)
19年ドラフト2位右腕が6月に待望のデビュー。この月に3先発した後、9月から本格的にローテーションに加わった。以降の7先発でQS5回、55イニングで被本塁打3本と長打を打たれない投球で来季へ期待を持たせた。
●杉浦稔大
[試合] 56 [勝敗] 3-3 [セーブ] 28
[防御率] 2.96    [投球回] 54.2     [K/9] 11.36  [BB/9] 3.95
評価:可もなく不可もなく(C)
プロ8年目でクローザーへ転向。リーグ3位の28セーブを挙げたものの、盤石の信頼とは言い難かった。6月半ばまでに被本塁打7本。後半戦は一発病が治まった代わり制球に安定感を欠いた。

●堀瑞輝
[試合] 60 [勝敗] 3-2 [ホールド] 39
[防御率] 2.36    [投球回] 53.1     [K/9] 9.45  [BB/9] 5.06
評価:よくできました(A)
チームトップの60試合に投げてリーグ最多の39ホールド。与四球が多く安定感はいまひとつだったが、一番の役割だった対左打者は、打率.165で被弾なしと着実に仕事をこなしていた。

●ブライアン・ロドリゲス
[試合] 47 [勝敗] 0-2 [ホールド] 24
[防御率] 2.74    [投球回] 46.0     [K/9] 6.65  [BB/9] 3.91
評価:まずまずです(B)
バーヘイゲンと同じく来日が遅れ、4月下旬に合流。6月半ばから8月末まで18試合連続で自責点ゼロに抑えるなど、ホールド数は自己最多、防御率も実質自己ベストだった。

●宮西尚生
[試合] 50 [勝敗] 1-2 [ホールド] 15
[防御率] 3.65    [投球回] 44.1     [K/9] 9.95  [BB/9] 3.05
評価:がんばりましょう(D)
序盤戦は不調で、8月末まで防御率5.33。9月以降は一転して20試合で2失点と本来の調子を取り戻し、50試合登板を14年連続としたが、ホールドは15のみ。負け試合の登板で記録を伸ばした印象は拭えない。
●井口和朋
[試合] 43 [勝敗] 1-2 [ホールド] 11
[防御率] 1.86    [投球回] 38.2   [K/9] 7.68  [BB/9] 2.33
評価:よくできました(A)
登板数、防御率とも自己記録を更新し、WHIP0.88もリーグトップクラスの好成績。勝ちパターンでの登板こそさほど多くはなかったが、得点圏でも27打数3安打とよく抑えた。

【野手】
●西川遥輝
[試合] 130 [打数] 447    [打率] .233
[本塁打] 3 [打点] 35    [OPS] .680 [盗塁] 24
評価:ガッカリです(E)
昨オフにメジャー移籍が叶わなかったショックを引きずったか、自己最悪の一年となった。89四球を記録した選球眼以外のスキルは軒並み例年の実力を発揮できず、シーズン終了後にノンテンダーとなる屈辱も味わった。

●近藤健介
[試合] 133 [打数] 447    [打率] .298
[本塁打] 11 [打点] 69    [OPS] .885 [盗塁] 4
評価:まずまずです(B)
規定打席に到達するのは5度目だが、打率3割を逃したのは初めて。それでもリーグ5位に入り、これで4年連続6位以内となった。出塁率.413も3位、さらには37二塁打も1位と総合的には十分な活躍だった。

●淺間大基
[試合] 128 [打数] 411    [打率] .251
[本塁打] 5 [打点] 31    [OPS] .646 [盗塁] 8
評価:可もなく不可もなく(C)
初めてフルシーズンを一軍で過ごし、116試合で無失策。規定打席に達した点も評価できる。だが、OPSはリーグワースト3位と、打撃では及第点はつけられなかった。
●野村佑希
[試合] 99 [打数] 371 [打率] .267
[本塁打] 7 [打点] 37    [OPS] .664 [盗塁] 0
評価:まずまずです(B)
目標の100安打には1本届かず、守っては三塁手両リーグ断然ワーストの16失策。それでも、高卒3年目にして50試合で3番を務めた点は評価したい。新旧交代を図るチームの柱として、来季は飛躍が期待される。

●高濱祐仁
[試合] 107 [打数] 367    [打率] .262
[本塁打] 8 [打点] 43    [OPS] .695 [盗塁] 2
評価:まずまずです(B)
中田翔(現巨人)の故障離脱などで代わりの一塁手として起用されると、プロ7年目での初本塁打。そこから勢いに乗ってチーム3位の8本塁打、同2位の21二塁打と開花。得点圏打率も.310と、期待を大幅に上回る結果を残した。

●石井一成
[試合] 111 [打数] 284    [打率] .225
[本塁打] 4 [打点] 19    [OPS] .615 [盗塁] 8
評価:がんばりましょう(D)
9月末に左足を骨折して離脱するまでに111試合に出場。100試合出場は17年のルーキーイヤー以来で、形の上では正遊撃手だったものの、打撃も守備も平凡な内容。競争相手が不在で使われていたのが実情だった。

●渡邉諒
[試合] 83 [打数] 281    [打率] .242
[本塁打] 3 [打点] 29    [OPS] .647 [盗塁] 5
評価:ガッカリです(E)
打撃成績が軒並み下降、もともと良くない守備面も向上の跡が見られず、正二塁手の座から滑り落ちた。得意のストレートにも今季はいまひとつで、“直球破壊王子”の本領は発揮できず。夏場以降はほぼ二軍暮らしだった。
●王柏融
[試合] 95 [打数] 252    [打率] .242
[本塁打] 9 [打点] 48    [OPS] .750 [盗塁] 1
評価:可もなく不可もなく(C)
本塁打やOPSでは来日3年間で最高の数字を残したが、年俸1億5000万円にしては物足りなさも残る。ただし得点圏では打率.324、さらには満塁で14打数7安打18打点と強く、残留を勝ち取った。

●清水優心
[試合] 100 [打数] 214    [打率] .206
[本塁打] 4 [打点] 18    [OPS] .584 [盗塁] 0
評価:がんばりましょう(D)
出場100試合は自己最多。昨季は盗塁阻止率、捕逸、失策の3部門でリーグワーストだった守備も多少改善された。ただし状況を把握できていないような凡ミスも散見されるなど、扇の要として信頼を得るには程遠かった。

●大田泰示
[試合] 76 [打数] 191    [打率] .204
[本塁打] 3 [打点] 20    [OPS] .556 [盗塁] 1
評価:ガッカリです(E)
大事なFAイヤーに、よりによって17年の移籍後で最悪の大不振。一軍での出塁率は.257、二軍ですら.277と目を疑うような打撃不振に加え、得意だった守備も精彩を欠き、西川同様ノンテンダーとなった。

●万波中正
[試合] 49 [打数] 126    [打率] .198
[本塁打] 5 [打点] 13    [OPS] .638 [盗塁] 0
評価:可もなく不可もなく(C)
53三振で4四球のみ、三振率39.8%という超がつく粗い打席アプローチ。反面、25安打中実に15本が長打だったように「当たれば飛ぶ」を地で行く打撃で、打率2割未満にもかかわらず長打率は4割を超えた。

●中島卓也
評価:ガッカリです(E)
[試合] 67 [打数] 97    [打率] .186
[本塁打] 0 [打点] 1    [OPS] .461 [盗塁] 7
もともと決して得意ではない打撃が一層弱体化し、18安打は全部単打で長打率.186という目を疑うような数字。守備も以前の堅実さが薄れ、複数年契約でなければ戦力外の可能性もあった。

【監督】
●栗山英樹
55勝68敗20分 勝率.447(5位) 得失点差−61(5位)
評価:おつかれさまでした
最下位こそ免れたものの、ここ5年で5位が4回では退任もやむなし。中田の騒動で顕著だったように、チームを掌握できなくなっていた感もあった。次の仕事は侍ジャパンの監督になる。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB——“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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