初心者が台上技術を極めてはいけない3つの理由|頭で勝つ!卓球戦術
2021.12.11 文:若槻軸足(卓球ライター)
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
今回は「初心者が台上技術を極めてはいけない3つの理由」というテーマでお話していく。一見すると「何を言ってるんだ」と思われるかもしれないが、これはあくまで優先順位の話である。
初級者が台上技術にのめりこむと、間違いなくドツボにはまって勝利から遠のいていくはずだ。中級者の方にとっても参考になる内容だと思うので、ぜひ最後まで見て頂ければ幸いだ。
このページの目次
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初心者が台上技術を極めてはいけない理由
①奥が深く習得に時間がかかる
台上技術とは台の中で2バウンドする短いボールの処理技術である。その種類は多岐に渡り、ツッツキ、ストップ、フリック、流し、チキータ、逆チキータ、台上ドライブ等様々だ。もちろんどれも練習を重ねればできるようにはなるのだが、初心者の方がすぐに覚えるにはどれも一筋縄ではいかない。それぞれの技術に相応の時間がかかってしまう。
中学生や高校生は特に、やはり卓球の代名詞ともなりつつある「チキータ」を覚えたいという選手は多い。が、当然これも試合で使えるレベルにまでもっていくのには相当な鍛錬が必要であるし、安定重視の打法や、威力重視の打法、ひいては逆チキータといったものまであり、細かく分けていくときりがない。
それはチキータに限らずフリックやツッツキでも同じことが言える。つまり何が言いたいかというと、台上技術は非常に奥が深いということである。
考えてほしいのだが、そんな奥が深い台上技術を使う場面はいつだろうか。そう、圧倒的に多いのが「レシーブ」の際である。
つまり相手が回転やモーションなど創意工夫を凝らして、こちらを欺こうと考えてくるのに対して、ただでさえ難易度の高い台上技術を使うということになる。これはいわば難しいボールに対して難しい技術をすることになるので、当然めちゃくちゃ難しいということになるのだ。
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## 色々な技術を使うことでその後のボールが難しくなる
基本的に卓球は、ひとつの技術で点を取ろうとするものではない。たとえば自分がサービスのときも、必ず次の返球も考えながら技術を選択していかなければならない。いわば技術と技術のつながりが大事なのだ。
それを踏まえて考えると、たとえば自分が相手のフォア前にストップをしたら、次の相手の返球はストップかもしれないし、ツッツキかもしれない、フリック、あるいはチキータが来るかもしれない。たとえば流しをした場合、ドライブをかけられるかもしれないし、当てるだけのボールが来るかもしれないし、ツッツキ系のボールが来るかもしれない。
こちら側が色々なことをすると、次の返球も色々なボールが返ってくる。それに対応できるなら良いが、初心者段階ではなかなか難しいだろう。なので、なるべく試合をシンプルにすすめていく必要がある。そのためにはこちら側がやることも極力シンプルにする、というのが鉄則なのだ。
そもそも台上のボールが少ない
そしてこれも非常に大切なことなのだが、そもそも初心者レベルの試合においては、台上で処理すべきボールは実はほとんどない。多くの場合は相手のショートサービスも、実際には1バウンドで台から出る長さになっているケースが圧倒的に多い。これは初心者に限らず、卓球経験の長い中級者や社会人の選手であっても当てはまることが多い。
2バウンドで収まらない長いサービスに対して、ストップやチキータといった技術を行うのは、これまた難易度が上がる要因となるのだ。ネット際に落ちたボールをネット際にストップするのは簡単だが、エンドライン付近まで来た長いボールを相手のネット際にストップするのは相当難しい。そのため、台上技術を極める前に、まず台から出る長さかどうかを見極めることの方が優先順位が高いということが言えるわけだ。
以下からはそういった、台上技術を極めるよりも先に練習したほうがよいことについてお話していく。
台上技術を極めるよりも先に練習すべきこと
とにかくレシーブを入れるという技術
繰り返しになるが台上技術を使う場面が圧倒的に多いのは、相手のサービスを受けるとき、すなわちレシーブだ。そしてレシーブは言わずもがな難しい。なのでまずはレシーブを確実に入れられるようになることが先決である。
そのために使う技術はツッツキだ。相手のショートサービスに対しては、基本的には角度を合わせてツッツキをして、確実に相手コートに返球できるようになる、というのがまずレシーブの第一歩である。
縦回転のサービス、順横や巻き込み、YGサービスなど、何が来てもある程度の検討の範囲内で角度を合わせて、ツッツキで無理なく返球することができれば、それだけでもかなり勝てる確率は上がるだろう。
台から出たサービスへのドライブ
そしてもうひとつ大切なのが、相手のサービスの長短の見極めだ。初心者段階であれば、相手がショートサービスのつもりで出したものも実際は台から出ていることが多い。
しかし台上でボールを触ってしまっては、台から出る長さだということには気付けないのだ。なのでまずはしっかりと、サービスが出ているかどうかの見極めができるようになることが大切だ。
そして出るサービスに対しては、しっかりとドライブをかけて先手を取る練習をしてほしい。このときもドライブで決めようとしなくてもいいので、きっちりと台に収められるようにして、その後の返球に備えてしっかりと準備ができるようすればオーケーだ。
私は台上技術は必要ないなどと言うつもりはまったくない。当然、多彩な台上技術は勝つためには必須であるし、避けては通れないものだ。ただ、卓球を始めた初心者の方が日々少しでも上達して、1試合でも多く勝ち、卓球の楽しみを感じられるためには、台上技術を覚えることは優先課題ではないということをお伝えしたかったわけだ。
まずはどんなサービスに対しても、最低限返球ができるように練習をする。そして台から出るサービスは見逃さずに確実にドライブをかけられるようになる、この2点の習得をぜひ優先しておこなっていって欲しい。
色々な技術の練習をして、それなりにできるようになった気はするけれども、なぜか試合では勝てない。そんな選手は、もしかしたら今回の話がヒントになるかもしれない。初心者が勝つために必要なことは、なるべく展開をシンプルにして、その中でできる技術を最大限活用することなのだ。
今回の記事が、初心者の方の上達の助けとなれば幸いである。
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