清水エスパルスを使いまくる。エス・トラストのスポンサー哲学

明治安田生命J1リーグに所属する清水エスパルスのオフィシャルパートナーの中に、一際若く存在感を放つ企業がある。今年で創業9年目を迎える株式会社エス・トラストだ。

OA機器などオフィス環境に関するコンサルティング業を中心としつつ、2019年にはスポーツダイニング「THE SIX」とレンタルオフィス「11Pit」もオープンしている。

「大手企業になる」という目標を達成するために、創業わずか5年で清水エスパルスへの投資を決めたという。「とにかく大きく投資して、目的を持って自分たちからメリットを回収しにいく」と話す代表取締役社長の磯部誠(いそべ・まこと)氏に、スポンサーになった理由やその効果を聞いた。

(取材日:2020年5月19日 聞き手:澤山大輔)

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きっかけは、スタジアムの熱狂

実は私自身スポーツをやっていたわけでもなく、とくに何の繋がりもありませんでしたがスタジアムでスポーツの魅力を体感したことが、スポンサーを始めたきっかけです。

サッカーとの出会いは、5年前に遡ります。今でこそ社員数は100人を超えていますが、2人で会社を設立し当時はまだ15人しかいなくて。「会社を一気に大きくしよう、大企業を作ろう」と社員と話しているところでした。そのためには、まず会社をより多くの人に知ってもらう必要がありました。

ちょうどそのタイミングで、清水エスパルスの営業の方が飛び込みで来たんです。話を聞いて、とりあえずスタジアムに足を運んでみることにしました。

初めて観たのが、2016年に清水エスパルスがクラブ史上初めてJ2で試合を行っている時期でした。そこで「こんなに熱狂的に応援している方がたくさんいるのか」とスポーツの熱量を肌で感じました。とにかく1年でJ1に復帰するぞと、特に気合いが入っていた時期だったと思います。

清水エスパルス試合風景

ここに投資すれば地域活性化に繋がると思い。そこから、スポーツに関わっていきたいという思いが芽生えました。

やると決めればあとはもう独断です。今もそうですが当時の会社にとってかなり大きな投資でした、「この規模の投資をしたからには必ず結果をを持ってこよう」と示すことで、私含めて会社全体が活気づきコミットするようになるんです。実際1年後、2年後と会社も大きくなっていって、社員数・売り上げ・利益共に増え結果に結びついています。

新規獲得、採用、社内気運…全てにプラス効果

スポンサーになって変わったことは、本当にたくさんあります。わかりやすいところで言うと、清水エスパルスファンのお客様が増えました。スポンサーをしていなければ、気づいてもらうことすらなかったと思います。

採用においても、有利に働いています。会社説明会で話をしても、サッカー好きの学生だと知ってくれている方が多かったり、CMを見て親御さんが知ってくれていたり。以前は他の名高い企業とうちの内定を持っていて、双方を天秤にかけた結果うちに来てくれる学生は少なかったですし、親御さんに反対されるケースもありましたが、今ではひっくり返せるようになりました。

会社を立ち上げて7年目、スポンサーを始めて3年目でユニフォームに会社名を入れました。知名度を上げるためにやりましたが、それ以上に大きかったのは付き合える会社の幅が広がったことでした。

創業して7年目ほどの会社は、付き合う会社も中小企業が多いんです。ただ、スポンサーになったことで、静岡県内でも名高い会社との繋がりができました。やるんだったら、ユニフォームにドーンと名前を入れてしまうくらい大きくやる方が早いと実感しましたね。

仕事もスポーツも同じで、目標をどこに置くか次第。「大企業を作る」が目標だったからこそ、ここまでの投資ができました。大企業だとユニフォームに名前を入れていたり、ゴール裏に大きい看板を置いていたりすることが多いので。

当然ボランティアではないので、投資したからには何かしらで回収しなければなりません。その回収の形が、ここまで話してきた知名度や会社間のコミュニティだということです。

社内でも、スポンサーメリットは感じられます。何より、社員が自分たちの会社に自信を持てるようになりました。まだ会社の歴史が浅い中で、「これから会社を大きくしていきたい」という思いが徐々に目に見えてきている感じがします。ユニフォームに名前を出せるくらいの結果を自分たちの力で出せたのだ、と。

そして、静岡県に貢献していきたいとも思っています。日本は税金が高いので、節税対策で会社を海外に置いた方が税金が安く済むと言われます。が、静岡で稼がせてもらっているからには静岡に返していくのが筋かなと。それこそスポーツに還元して、地域で認められていきたいです。静岡は大都市とは少し違って地元愛が強いですし、スポーツが結びつきやすいと感じています。

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