「エンタメ」で社内を活性化。東港金属が考えるスポンサーの意義

B2リーグのアースフレンズ東京Z(以下、アースフレンズ)のホームタウンに本社を構え、リサイクル事業を主とする東港金属株式会社。両者は2019年12月に、パートナーシップ契約を結んでいるが、早くも社内でその価値を感じているという。会社として「ひとりではできないエンタメを提供する」ために、スポンサーは大きな役割を担っている、と。代表取締役社長の福田隆(ふくだ・たかし)氏独自の視点に迫った。

(取材日:2020年5月11日 聞き手:竹中玲央奈)

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地域がひとつになれる場所

アースフレンズのスポンサーをする前、2010年から公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)のスポンサーをしていました。会社で自転車のリサイクル業も扱っていましたし、私がロードバイクを趣味としていたので、その流れで頼まれて、と。その中で一緒にスポンサーをしていた大手企業との繋がりができ、営業面での効果は大きかったんですよ。

その前例があったので、スポーツ協賛には親しみがありました。中でもBリーグは注目していました。バスケットボールは、男女関係なく誰もが学校体育で一度は経験したことがあって、ルールをある程度理解している人が多い。かつコンパクトなスタジアムでアクセスをしやすい場所にアリーナがある。

そう思っていたときに、アースフレンズの営業の方から連絡があったんです。決算月だったので「空いているんだったら、もうここでスポンサーになってしまおう」と考えて、話を聞いたその日のうちに決めました。

実際にBリーグの試合を観に行ってみると、特に試合前の盛り上がりなど地域クラブの良さを体感しました。例えば日本代表を応援するときは、日本人という共通のアイデンティティがあるからひとつになりやすいですよね。地域クラブもそれと同じ。大田区を始めとする東京都南部の人々が一体になれる場所だと感じました。大田区には、蒲田のような繁華街もあれば、田園調布など高級住宅街もあります。多様な文化が混在していながらも、地域が一体となれる感じがすごく好きです。

チアリーディングを始めとした試合の見せ方が工夫されているのも魅力的でした。常に飽きさせないエンターテインメント性のある仕掛けは、とても面白かったです。

スポンサーが、社内に楽しさをもたらす

スポンサーをするメリットとしてよく挙げられるのは、会社のブランドイメージ向上や営業効果だと思います。でも、それ以上にひとつ感じるのは、社員の一体感が高まることです。

企業理念を通じて一体感を醸成することは相当難しいです。それこそ「毎日社訓を唱和しましょう」というように、半強制的なアプローチをすることになりかねません。でも、スポーツがあることで、その最初のハードルが一気に下がるんです。「今日は一緒に応援して楽しかったね」と。応援を通じて1つになれる。これも一体感ですよね。

だからこそ私達は、一体感を埋めるエンターテインメントを会社として大切にしていきたいと思っています。アースフレンズの応援もそのひとつ。ファンクラブに入会して観戦することはできても、自分の会社のロゴが胸に入ったユニフォームを着ている選手を応援することは、ひとりではできません。

他にも、冠試合でイベントをしたり、バーベキュー日本チャンピオンを招いてバーベキューのイベントをしたり。日本バーベキュー協会というものがあるんです。「肉はベーコンの油種を使って焼くと美味しくなる」などといったバーベキューならではの料理の仕方や道具について教えていただきました。このように、ひとりではできないエンタメをいかに会社として提供するかを考えています。

近年、ワークライフバランスが問われるようになりましたが、そもそもこの言葉がある時点で「ワークとライフは相反するもの」だと捉えられていますよね。働くことは、つまらなく自分を犠牲にしてやることだ、と。確かにルーティンワークでつまらないことはあります。ですが一方で、自己実現の面白さがあったり、仕事とプライベートが繋がって楽しさを感じたりします。私達は常に、“楽しさを忘れない”会社でありたいです。だからこそエンターテインメントを重視したいですし、アースフレンズへの協賛はその部分を大きく担っています。

あと、アースフレンズとの関わりに積極的な社員が出てきたことは嬉しい誤算でした。これまでは社内で私がリードしていく部分が多かったのですが、自ら社内営業をしたりと、自主的に動く社員が増えました。朝礼や、事あるごとに「週末にアースフレンズの試合があるので来てください」と社内でお互い言い続けたんです。実際、スポンサーになって初のホームゲームには、東京にいる約90人の従業員のうち70人が来ました。

地道ではありますが、泥臭く一人ひとりに営業をかけることも重要だと感じました。社内だけでなく、社外でもしっかりと周りに言い続けていくべきですね。

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