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「失われたアート」ミドルレンジで輝きを放つデローザンをレジェンドたちが称賛!伝説チェンバレン超えの新記録も達成<DUNKSHOOT>

3ポイント全盛の現代において、ミドルレンジを主戦場に高得点を連発するデローザン。その活躍に注目が集まっている。(C)Getty Images
今季からシカゴ・ブルズへ加入したデマー・デローザンの勢いが加速している。

キャリア13シーズン目のスウィングマンは、今季3度の週間MVPに加え、2018年以来5度目のオールスター選出も飾っており、32歳ながら自己最高級のシーズンを送っている。

昨年12月にロサンゼルス・レイカーズのカーメロ・アンソニーが「彼はミドルレンジをうまく活用している。多くの人たちがそのこと(ミドルレンジシュート)をゲームの一部として信用しようとしていないことは知っている。でも俺は失われたアートだと思うね。デマーはそれを見事に習得した1人なのさ」と絶賛していたように、この男の真骨頂はミドルレンジゲームにある。

自由自在なボールハンドリングからプルアップジャンパーを決めるだけでなく、多彩なステップやフェイク、スピンムーブなどで相手選手を惑わせてリングを射抜くことで高得点を連発している。
現地時間2月16日(日本時間17日、日付は以下同)に『NBC Sports Chicago』へ掲載された記事では、トレイシー・マッグレディ(元オーランド・マジックほか)とドゥエイン・ウェイド(元マイアミ・ヒートほか)が『TNT』の番組内でデローザンを絶賛したことを紹介している。

「(彼は)MVP候補で話題にすべきだ」とマッグレディが口にすると、ウェイドもそれに賛同するように賛辞を述べる。

「俺はデマー・デローザンが自身のゲームを変えなかったことが大好きでね。デマーが何歳か俺は知らないが、30代なのは確かだ。彼はすでに得意としていたスキルをさらに磨き上げたんだ。

彼がサンアントニオ(スパーズ)へ行って、そこでもオールスター級のプレーをしていたのに、皆は忘れてしまったのさ。そして今の彼がやっていることは、新たなレベルへ昇華したということだ」

デローザンはトロント・ラプターズ在籍時の2018年を最後にオールスターから遠ざかっていたものの、昨季まで3シーズン所属したスパーズでも平均21.6点、5.3リバウンド、6.2アシストをマーク。パサーとして向上したほか、一昨季にはキャリアハイとなるフィールドゴール成功率53.1%を残した。
「俺はデマーを見るのが大好きだ。あのミドルレンジは脅威だしね。彼は“Mr. Consistent(一貫した男)”だ。(ブルズは)彼にとってうまくフィットすると俺には分かっていたよ」

マッグレディがそう話していた通り、今季デローザンはミドルレンジからリーグ最多となる平均9.4本のショットを放ちながら、フィールドゴール成功率50.2%という高確率を残している(2月16日時点)。第4クォーターになるとその数字は54.1%まで跳ね上がり、勝負どころでも存在感を放っている。
さらには2月6日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦から6試合連続で35得点、フィールドゴール成功率50%以上と、ウィルト・チェンバレン(元ウォリアーズほか)と並ぶNBA史上1位タイの快記録をマーク。

そして迎えた16日のサクラメント・キングス戦でも、デローザンはフィールドゴール成功率59.3%(16/27)の38得点に6リバウンド、6アシストの活躍でブルズを125−118の勝利に導き、7試合連続のNBA新記録を樹立した。1963年にチェンバレンが達成した記録を、実に59年ぶりに更新したのである。

5連勝のブルズは今季戦績を38勝21敗(勝率64.4%)とし、マイアミ・ヒート(37勝21敗/勝率63.8%)を抜いてイースタン・カンファレンス首位へ浮上。その原動力となっているのは、もちろんデローザンだ。11日に『NBA.com』が発表したMVPランキングでは9位だったが、ここ数試合の活躍で順位を上げていくに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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