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「新年になって、前髪の分け方を左から右に変えたら点が入るようになった」【Fの主役は俺だ!全チームインタビュー|水谷颯真|名古屋オーシャンズ】

Fリーグ ディビジョン1、12チームの監督&注目選手を対象にした全チームインタビュー。題して「Fの主役は俺だ!」。コロナ禍を乗り越えてきた各チーム、各選手に、終盤戦への意気込みを聞く。

名古屋オーシャンズの水谷颯真は昨シーズン、Fリーグ選抜で1年間キャリアを積んだ後チームに復帰して、トップ昇格をつかんだ。しかし、その後も出場機会に恵まれず、満足のいくシーズンを過ごしたとは言い難い。それでも復帰2年目の今年は、例年以上の出場機会を手にすることができた。

貴重な左利きの戦力として存在感を放ち、重要な局面でもピッチに立ち、数々の勝利に貢献してきた。絶対王者の次代を担う24歳は今、何を目指しているのだろうか。水谷颯真の胸中に迫る。

取材・文=本田好伸、舞野隼大

※インタビューは1月26日に実施しました


名古屋オーシャンズ|フエンテス監督のインタビューはこちら
その他、全チームの監督、注目選手のインタビューはこちら

まだまだベテラン選手にミスを尻拭いしてもらっている

──今シーズンのこれまでのプレーを振り返っていかがですか?

新型コロナウイルスの影響で中断してしまったときに行ったトレーニングが生かされていると感じています。新加入の外国人選手が来日できず、合流が遅れたイレギュラーなシーズンでしたが、その分、自分としては出場時間も長くなったと思います。その点で言えば、個人的にはプラスに働きました。

──名古屋で試合に出ることが第一目標だったと思いますが、そこはクリアできた。

ただ、外国人選手もそろったことでメンバー争いは激しくなっています。今シーズンは出場時間を与えてもらっていますが、今度は名古屋で中心選手になることが次の目標です。

──中心選手になるために必要なことは何でしょうか?

今シーズンは自分の良さを出せていると感じますが、納得のいくパフォーマンスのときもあれば、うまくいかなかったときもあったので、試合によっては波があると感じています。やはり名古屋の選手は常にパフォーマンスが一定していて、なおかつ水準が高いので、自分もそうならないといけません。まだまだベテランの選手に指摘を受けていますし、ミスを尻拭いしてもらっている。ベテランの選手に分からないことを聞いたら何でも答えが返ってくるので、積極的に質問して、少しでも改善していきたいです。

たとえば、ホームで対戦した浦安戦では、ケガをしている中心選手の代わりにパワープレーの守備に入りましたが、Fリーグ選抜のときとは1点の重みが違うなと感じました。守備における自分の細かいミスが目立ってしまいましたし、失点シーンも相手の動きを先読みしすぎた結果シュートを打たれてしまったものでした。あと、股を抜かれてパスを通されたときは、篠田(龍馬)選手や逆サイドの安藤(良平)選手が頑張ってカバーしてくれました。

──細かい部分を突き詰めないとさらに出場時間を増やしていけない。

そうですね。名古屋には日本代表選手が多いですが、そういう細かいところがしっかりできていますし、自分に足りないところだと思っています。

──今シーズンの3得点は、すべて2021年に入ってから。何か変化があったのでしょうか?

特にないですけど……新年になって、前髪の分け方を左から右に変えたら点が入るように(笑)。

──それは気づかなかった……。ゲン担ぎですか?

勝手にそう思っています(笑)。

利き足の違う選手がいないとやりづらいと気づいた

──左利きという大きな特徴もありますが、何かプレーへのこだわりはありますか?

対角へのパスは常に気にしていますね。あとは、逆サイドで縦にピヴォに当てたときに自分がどんどん関わっていくことは日本代表合宿のときから意識しています。それ以外にも、縦にドリブルすることも一つの武器だと思うので思いきって仕掛けていこうと思っています。

──「左利き」にも、いろんなタイプがいますよね。水谷選手はどんな左利きを目指していますか?

オールマイティにやりたいと思っています。自分はアラ・フィクソなので、後ろでサポートする役割が大きいですが、型にハマって1対1ができなくなるのは嫌ですし、それではチームのマイナスになってしまいます。セットの構成を見ながら自分の仕事を全うできるようにしたいと思っています。

──左利きは重宝されるものですが、自分でもメリットを感じますか?

すごく感じます。たとえば、フィールドプレーヤーの全員が右利きだとやりづらそうに見えるので。実は、U-18のときにゲンさん(高橋優介コーチ)が意図的に左利き4人を起用したことがあったのですが、みんな右サイドに寄って、縦一列に並んでしまったことがありました(笑)。全員が左利きだと全然パスも回らないし、攻め込まれてしまう。そのときに、利き足の違う選手がいないとやりづらいと気づきました。

──今シーズンは2回戦で、なおかつプレーオフがありません。このレギュレーションに対して、名古屋の選手はどのような気持ちで取り組んでいたのでしょうか?

今シーズンが始まってからフエンテス監督はよく「1試合1試合を決勝のように戦おう」と話をしていましたし、選手はその気持ちで戦っていました。試合数も少ないですし、オーシャンズとしても負けられないという気持ちとプレッシャーがあるので、昨シーズンよりも1試合に対する気持ちが違いますね。

──湘南に負けてしまった後はナーバスになったりしませんでしたか?

あの試合は、みんな思うようにプレーできませんでした。もしかしたら、ずっと勝利してきたことで浮き足立っていたのかもしれません。オーシャンズとしては負けてしまうことはダメですが、一度負けたことで逆に、そこで気持ちをリセットできたのかなとポジティブに捉えています。

──優勝が決まりそうな試合も、決まった後の試合も同じ感覚。

いつも練習の雰囲気は変わらないですし、優勝や先のことは考えずに戦うだけだと思っています。

──昨シーズンは、プレーオフで対戦したバサジィ大分の瀧澤太将選手が主力としてピッチに立っていました。一方で、優勝を決めた名古屋の輪の中で、水谷選手は端にいました。あれから1年が経って、今は名古屋で長い時間ピッチで過ごせています。この先、どんな決意で戦っていくのでしょうか?

実は、今シーズンはホームのY.S.C.C.横浜戦で一度メンバー外になってしまいました。そのときは、チームメートの同じ左利きの選手をライバル視しすぎていました。考えすぎて、自分のプレーができていなかった。それからは周りに捉われず、自分にベクトルを向けることがすごく大事だと考えるようになりました。

──名古屋の選手はよく自分に矢印を向けることが大事だと話していますよね。

まさに、そのことを(星)翔太さんに相談をしたら「それは合っていると思う」と言われました。周りに捉われるのではなく、むしろよく見て、「あの選手はできていて、自分にはできていないこと」を見つけて、それからはベクトルを自分に向けて取り組んでいくようにしています。

──この先、水谷選手はチームの中心選手になっていかないといけないですよね。

世代交代はいずれやってくると思いますし、次の選手が引っ張っていかないといけません。自分自身、やらなきゃいけないという意識も上がってきています。もっともっとできることを増やさないとオーシャンズの強さを維持できなくなってしまいますから、今は特に、個人のレベルアップが必要だなと思います。

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