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笑顔、笑顔もやはり最後には… 苦節8年を思い返してあふれた涙【2023年下半期の1ショット】

涙が止まらなくなった蛭田みな美(撮影:上山敬太)

2023年下半期は、ツアー界でどんな話題があったのか? ALBA Net恒例のライブフォトで閲覧された写真の上位20位を抽出し、それぞれ振り返ってみたい。今回は、念願の初優勝を彩った涙のシーン。

プロ8年目。これまでシード獲得経験すらなかった蛭田みな美が、「CAT Ladies」で初優勝を飾った。かつて「日本ジュニア」「日本女子アマ」を制した逸材が、やっとやっと栄冠に輝いた。

正規の18番(パー5)では3パットをして、プレーオフにもつれ込むことになった。相手は(当時)ツアー通算5勝の若き実力者・西郷真央。プレーオフの舞台はついさっきミスしたばかりの18番だ。ティショット、2打目を手堅くフェアウェイに運んだ西郷に対して、蛭田はティショットを右に曲げて、3打目はラフから157ヤードも残った。

だが、ここで“奇跡”が生まれる。7番アイアンで放った一打がグリーンを捉えると、傾斜で転がって1メートルについた。「グリーンセンターに乗せれば傾斜で寄っていくのは分かっていたけど、実際にそこに打てたのは奇跡」とキャディを務めた父・宏さんと声をそろえるようなスーパーショット。初優勝を手繰り寄せた、忘れられないシーンになった。

ウイニングパットを沈めて笑顔。先輩プロの藤田さいきが涙を流しながら駆け寄り、ハグで祝福されるときも笑顔。ゼネラルプロデューサーの戸張捷氏による優勝インタビューでも笑顔。だが、これまでの苦しい8年間についての質問が投げかけられると一気に表情が崩れ、涙があふれて止まらなくなった。

「自分でも信じられなくて…。今まで応援してくださったみなさまに、お礼を言いたいです。本当にありがとうございました」

あふれ出る涙で、言葉をつむぐことができず、優勝スピーチは簡潔だった。それでも、その言葉と涙から十分に想いが伝わってきた。地元・福島からは母、姉、兄も駆けつけていた。家族5人で一枚の写真に収まり、箱根が感動に包まれた。

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