ロシアの新王者メドベージェフがスポーツ界での母国選手の締め出しに見解。テニスは「そうならないことを祈る」と制裁回避を願う<SMASH>
すでに多くの人命が奪われ、状況が悪化の一途をたどっているロシアによるウクライナ侵攻。男子テニス世界1位のダニール・メドベージェフ(ロシア)は、スポーツ界でもロシア選手を追放する動きが加速していることを踏まえ、自身の先行きに不安を感じているという。
2月28日に発表された世界ランキングでノバク・ジョコビッチ(セルビア)に代わり、新たに1位の座に就いたメドベージェフ。今季は1月の全豪オープンで準優勝、2月のメキシコ・オープンではベスト4に進出するなど、ここまで好調を維持している。
そんな25歳の新世界王者は、母国によるウクライナ侵攻が発生した直後から「世界中で平和を促進したい」と強く反戦の意を示していた。さらには3月1日にATP(男子プロテニス協会)、WTA(女子テニス協会)が共同でロシア、ベラルーシ選手の国名や国旗の使用禁止を発表すると、自身の公式インスタグラムのプロフィール欄から母国国旗を削除。自分の信条を明確に示すべく早々に行動も起こしていたのだ。
そんな中、3月10日に開幕した「BNPパリバ・オープン」(3月10日~20日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/ATP1000)に第1シードで出場するメドベージェフは大会開幕前の記者会見に出席。母国ロシアをめぐる世界情勢が自身のキャリアに大きな影響を与える可能性があることに懸念を示しつつも、「できる限りテニスの普及に全力を注いでいきたい」とした。
「特にチームスポーツでは、このような決定(ロシア選手を追放すること)が下されることもある。テニスは、おそらく世界で最も個人的なスポーツの1つだと思う。みんな、いろいろなところに住んでいる。そういう状況になる可能性は常にあるけれど、そうならないことを祈るよ」
さらに会見では世界1位となったことへのプレッシャーにも言及するとともに、インディアンウェルズ大会に臨む上での意気込みも語った。
「もちろん重圧はあるけど、同時にモチベーションも高いよ。ベストを尽くしたいと思っている。どの大会でも同じだが、できるだけ多くのポイントを獲得することを目指している。ここでは1000ポイント(優勝者に与えられるポイント)だ。もちろんドローはとてもタフで、強いプレーヤーがたくさんいるから、それをものにするのは簡単ではないよ」
なお、メドベージェフは第1シードのため1回戦は免除。初戦となる2回戦では、トマス・マチャック(チェコ/世界158位)とアレクセイ・ポピリン(オーストラリア/89位)による1回戦の勝者と対戦する。
文●中村光佑
【連続写真】メドベージェフの余分な動きがない安定感抜群のバックハンド!
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