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「自分に一番価値がある時にやる」西岡良仁が現役中にジュニア大会を開催する意図<SMASH>

西岡良仁はプロを目指すジュニアたちに、ツアーレベルで戦う自身の経験を伝えたいと考えている。写真:本人提供/左、(C)Getty Images/右
「僕にとっても一つ成長できるものであり、参加選手には、将来の糧になるような大会にしていきたい」。ことの起点にあったのは、自身の経験に根差した、そんな純粋な想いだという。

プロテニスプレーヤーの西岡良仁が、自ら主宰するジュニア(16歳以下)対象の大会。日本テニス界の未来を担う者たちに、世界へと羽ばたく機会を与えたい。自分の経験や考えを、なんとか後進たちに伝えたい――。そのための舞台こそが、12月11日~12日に開催される、彼のニックネームを冠した“Yoshi‘s Cup”だ。

現在26歳の西岡は、長くトップ100に定着し、今年の東京オリンピックにも出場した現役選手。前十字靭帯損傷の大けがを乗り越え、心技体に経験が加味されたこの先で、さらなる飛躍を狙っている。

そんな彼のオフコートの活動に対し、「引退してからやればいい」という声もある。だが本人は、「僕は、今しかないって思っている」と断言した。

「現役選手が発する言葉だから、ジュニア選手も耳を傾けてくれると思う。今という、自分に一番価値がある時にやることが、一緒に仕事をする人にも聞く人にもメリットはあると思います」
それだけの覚悟と目的意識を持ち、西岡はこの大会設立に取り組んできた。もっとも世界に目を向ければ、現役選手が大きなツアー大会のトーナメントディレクターを務める事例も少なくない。世界を知る西岡だからこそ、自然と生まれた発想だとも言えるだろう。

そのYoshi’s Cupの革新性は、一つには、選手に賞金が出る点だ。優勝者には最大100万円。そして西岡が大会でのプレーを見て選出した一名には、最高で50万円が与えられる。それら賞金の財源は、大会スポンサーとクラウドファンディングだ。

賞金の使い道に関しては、特別な制約は設けない。ここにも西岡の、ジュニア選手には“プロ予備軍”として、お金の使い方や重要性を知って欲しいとの意図が込められている。

もちろんそれらのお金は、クラウドファンディングに賛同したファンやスポンサーが、彼らの将来に投じる希望だ。だからこそ西岡は、「お金の出どころなども伝えた上で、選手にはどう使うか考えて欲しい」と言った。今大会では大会初日の夜に、参戦選手とその保護者に向けて、西岡本人がセミナーを行なう予定でもいる。
大会出場選手は、過去の実績などを考慮し西岡が選出した8名。また、西岡が選手たちに出場条件として課したのは、プロや世界を目指す高い目的意識だ。

西岡自身はこのYoshi’s Cupを、将来的には国際トーナメントの出場権を副賞にするなど、ジュニア選手の登竜門的な位置づけを目指しているという。だからこそ、大会の価値や方向性を規定する第1回目を、レベルの高いものにしたいとの思いが強い。
世界各国を転戦し、移動の手間や時差、環境や文化の差異とも日々戦う西岡の情熱や勝負の世界の過酷さは、確かに今の彼だからこそ、直に伝えられるリアリティだろう。

その熱意を、“プロ予備軍”たるジュニアはいかに受け止め、コート上のプレーで答えを示すのか? 日本テニスの未来を彩るための種が、先行き不透明な今だからこそ、重い価値を帯びてまかれる。

取材・文●内田暁

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