「身体が変わってテニスが良くなった」覚醒した木下晴結15歳。全豪OPジュニア予選を目指し大会に挑む<SMASH>
日本ジュニアテニス界で今最も勢いがある選手と言えば、木下晴結(キノシタハユ)15歳だ。彼女は、9月開催の兵庫国際ジュニア1、10月の世界スーパージュニア、ジャパンオープンジュニア(全てグレード4)の3つの国際大会に優勝したのだ。
その後、全豪オープンジュニアの前哨戦である「トララルゴンジュニア国際」のワールドカードをかけた大会も制し、15歳以下の全国選抜ジュニアでも頂点に立った。
今年の国際大会では18勝1敗という驚異の成績を出しており、2020年のITFジュニア年末ランキングは1506位だったが、今は291位にまで上げている。
木下はジュニア育成プロジェクト「リポビタン Presents 伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」の2期生。11月26日・27日に愛媛で行なわれた合宿で活躍の要因、そして今後の目標を聞いた。
まずは、覚醒した理由について聞くと、「自分は変化やきっかけを感じてなくて」と答えに困ったものの、「コロナ禍で練習してきたものが出せたのかなと思っています。試合がなかったので身体をしっかりと作りました。あと、その期間に身長も10センチぐらい伸びました。身体が変わって、テニスが良くなったと思います」。
今は167センチになり、プレーも変わった。「小さい時はボールが跳ねて打点が高くなると力が入りませんでしたが、今は簡単には崩れなくなりました」。
今の課題は、「威力があって武器になるフォアハンドにしたい。あと、もっとネットプレーを使って多彩な選手になりたいです」と言う。
前回のキャンプでは伊達公子さんから、高い打点でのフォアの打ち方と、遠いボールをスライスでしのぐのではなく、スピンをかけてしっかりと返すことを指導されていた。その点については、「フォアの高い打点は、試合でも少し良くはなってきましたが、まだ精度が高くありません。スライスは意識の問題なので簡単に変えることはできます」。
自分の慣れたプレースタイルを変えるのは難しいものだが、木下は意識して変えることができていると言う。キャンプ中でのポイント練習でも、積極的にネットに出るプレーを取り入れていた。こういう強い意識を持って練習や試合に取り組める点も彼女を強くした要因だろう。
木下は12月6日からインドのITFジュニア大会に出場することを決めた。グレードがB1と高く勝てば獲得ポイントが大きいからだ。「全豪オープンジュニアの予選にかかることを考えると、ベスト4とかに入ると見えてくるかな」。前哨戦のワイルドカードを獲得しているため、全豪オープンジュニア予選の出場を狙っての選択である。
「ここまできたら、インドでポイントを取っていきたいなと思います」。新型コロナ感染拡大の影響で、久々の海外遠征。「どんな感じで戦えるのか、久しぶりなので楽しみです」と覚醒した自分がどれだけ海外の選手と戦えるのか期待感もある。
その大一番に向けて、伊達公子×YONEX PROFECTキャンプに参加できたことはプラスになった様子。「色々な選手がいて、経験者もたくさんいて、刺激になりました。行く直前の練習として、良い機会だったと思います」。
実際、近藤大生プロとのラリーでは、激しいボールを打ち合い、「球の質がぜんぜん違います」と、プロレベルを経験することができた。その時の疲労が翌日に残るほど必死で食らいついていった木下。これからますます強くなりそうだ。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【PHOTO】「リポビタン Presents伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」ジュニアたちが成長するキャンプの様子
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