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中国テニス選手、消息不明もIOCが動かないワケ。五輪開催に海外メディアは強い懸念「何も見なかったことにする」

不倫告発で消息不明となっているペン・シューアイ。世界各国のメディアが取り上げている。(C)Getty Images
中国前副首相から性的暴行を受けていたと告発後、消息不明となっている女子テニスのペン・シューアイ。彼女の身の安全が心配されるなか、来年2月に北京で予定されている五輪開催を懸念する声も広まっている。

事の発端は、11月2日、元副首相に性的関係を繰り返し強要されたとSNS(ウェイボー)で訴えたペンの投稿だ。赤裸々な告発文はすぐに削除され、彼女はその後、行方が分からなくなった。

17日には、ペンがWTA(女子テニス協会)のスティーブ・サイモン会長らに送ったとされる「告発の内容は真実ではなく、今は自宅で休んでいる」といったメール文が、20日にはペンが室内で猫と遊ぶ姿が、それぞれ中国国営放送『CGTN』によって報じられた。

しかし、いずれも本人によるものではなく、国営メディアからの発信であり、信憑性が欠けている。中国の人権問題を研究するヤキュ・ワン氏は、オーストラリア放送局『SBS』で、こう指摘する。

「世界中の人がどこにいるか尋ねていて心配しているの時に、普通の人であれば猫と遊ぶ幸せな写真の投稿では終わらない」
そして同メディアは「『ペン・シューアイに対する懸念は高まり、2022年北京五輪の開催を中止する強硬路線を取る可能性がある』とIOCディック・パウンド氏が言っていた」と伝えている。

一方、行方が分からななくなってから3週間が経過するも、IOCが動かないのには理由があると、米メディア『Lancaster Online』が取り上げている。

IOCの動向について「2月4日から北京で開催される10億ドル規模のイベントを揺るがさないため、この馬鹿げて下手な策略を何も見なかったことにするようだ」と報じた同メディアは、「オリンピックの重要人物たちは政治には関わりたくないとナンセンスなことを言う」と沈黙する人たちに焦点をあてた。

五輪開催を懸念するまでに発展した同事件。まずはペンの安否を願うとともに、一刻も早く事件が収束することを祈りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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