卓球で強くなる秘訣とは!再開時の注意点を解説

藤井寛子,卓球,YOYO TAKKYU

都内の卓球教室でコーチを務める藤井寛子さん。老若男女、さまざまな教え子を見つめる中で、強くなる人には共通する特徴があると言う。また、大人になって卓球を再開した人が気をつけるべきポイントとは。(取材・文/二株麻依)

強い人は楽しみながら研究している

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――強くなる人に共通する特徴はあるのでしょうか?

藤井寛子(以下、藤井):まずは競技自体を楽しめること。嫌々だったり、やらされていると思ったりしていると、なかなかその競技に向き合えませんし、勝負だけに固執すると思います。その点で卓球はすごく特殊な競技でもあると思うんですよね。ラケットを使いますし、回転がすごく大きく関わってきます。前回お話しましたように、ただ筋力が強ければ勝つ、背が高いから勝つ、ということではないんですよね。小柄でも、自分に合ったラケットやラバー、プレースタイルを、指導者と相談して見つける。そこから、どうやったらボールがうまく返るのかや、こう打ったらこういうふうに曲がるんだとか、うまく自分で楽しみながら研究できる人は強くなる素質を持っていると思います。

最低でも週3回の練習が必須

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――強くなるための適切な練習頻度はどれくらいでしょうか。

藤井:週1回の練習で強くなるだろうって思っている人が多いんですが、卓球は感覚がとても大事なスポーツなので、週1回だとなかなか強くなりません。理想は、最低でも週3~4回。やっぱり競技としてやりたい人は、それぐらい練習してもらえたら良いなと思います。

――週1回と週3回の練習で顕著に違ってくるのでしょうか?

藤井:全然違います。特に子どもだと、忘れちゃうんですよね。元に戻っちゃうんです。1回の練習でうまくできるようになったことがあっても、1週間後に来たら振り出しに戻っていて、思い出すところから始めなくちゃいけなくて。3歩ぐらい進んで2歩下がる、そんな感じです。だから、伸びしろがあったとしても、もったいないなって。歯がゆいです。「全国大会に出たい」と言う子でも、現実的には週3~4回の練習では厳しいです。子どもたちの限られた時間でどうやって競技力を上げていくかも課題ですね。

大人の卓球再開。体をケアして生涯スポーツに。

――学生時代に部活でやっていて、大人になって再開するパターンもあると思いますが、そうした人たちが再開するときのアドバイスはありますか?

藤井:何と言ってもケガをしないことです。一番大事なことだと思いますね。昔の動けた頃のイメージがあると思いますが、その当時の自分とは違います。準備体操をしっかりしていただけたらと思います。卓球はそんなに動かないと思って、準備体操をせず打ち始める人が多いんですよね。大きく激しく動くことは少ないかもしれませんが、関節部分や、アキレス腱など、様々なところでケガのリスクがありますので、気をつけていただきたいです。

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私の母も卓球指導者ですが、アキレス腱を切りました。50代後半でしたが、人数が足りないから一緒に試合に出てもらえないかと誘われた試合でやってしまって…。私に電話がかかってきたと思ったら、ピーポーピーポ-って救急車の音がして、「アキレス腱を切った」って。ケガをしてしまってはやりたいスポーツもできなくなってしまうので、準備運動や運動が終わった後の整理体操もしっかりやっていただきたいです。体のケアをしっかりやれば、ずっと長く楽しめる生涯スポーツです。(続く)

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■プロフィール

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藤井寛子(ふじい・ひろこ)
1982年生まれ。奈良県出身。両親が主宰する卓球クラブで卓球を始める。四天王寺高等学校、淑徳大学を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。全日本選手権女子ダブルスで5回の優勝、シングルスでは3回の準優勝の経験がある。現在はYOYO TAKKYU西日暮里店のコーチとして活躍。オリンピックなどのテレビ中継で、解説者を務める。