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木下アビエル神奈川,卓球,Tリーグ

【藤井寛子に聞く】悲願の年間王者に向け死角なし。石川佳純、平野美宇擁する木下アビエル神奈川を徹底解説

ニッセイから移籍の平野美宇と長﨑美柚 「平野は完成形に近づいている」

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平野美宇

ーー平野美宇選手の卓球はどのように評価されていますか?

藤井:平野選手も小さい頃から見ていますが、小学生の時はどちらかというと基本に忠実な、オーソドックスな右のシェイクの裏裏というイメージが強く、エリートアカデミーに入ったときにも、コーチと基礎技術を高めるための練習を沢山しているのを見ていました。

国内でも国際大会でも最年少優勝の記録を塗り替えて、素晴らしい成績を出したんですけど、そこで研究されたときに、プラスアルファが少しなかった部分があったと思うんですよね。

ここは石川選手に似た部分があるなと思っているんですが、足りないものが何かを突きつけられたときに、「自分にはできない」とか「今の私では無理」ではなくて、乗り越えながら自分の卓球を進化させてきた選手のもう1人だなと思っています。

逆に他の代表選手たちは自分の良いところをどんどん伸ばしていって強くなってきた印象があるんですけど、石川選手、平野選手は、成績が出たところから一度自分を壊して、さらに卓球を高めていったという共通の部分がある気がしています。

ーー平野選手はとにかく「速い卓球だな」という印象です

藤井:速いですよね。特に2017年にアジア選手権で優勝したときは速かったですよね。速さだけがクローズアップされすぎて、ちょっと苦しんだ部分なのかなと私は思っています。そこだけじゃないので彼女の良さは。

最近また強くなってきているのは、技術、戦術に深みが出てきているところ。得意の速攻プレーを中心に展開したり、敢えてテンポを落として待ちを外すなど、相手や戦況を見ながら、戦い方を変えています。

苦しいオリンピック代表選考レースを戦い抜いて、団体戦の出場権を得て、オリンピックでメダリストになって、それでもなお成長しているんですよね。

苦しい時期は、速さに対して相手が対策をしてきて崩されていたので、そこからさらに緩急や力強さ、そして卓球に向かう気持ち、意欲の部分も同時に強化していきましたよね。平野美宇選手の卓球というのが、まだ完成形ではないと思いますけど、それに近いものになってきてるんじゃないかなと思っています。

ーー最後に直近の世界選手権で活躍した、長﨑選手はどうでしょうか。

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長﨑美柚

藤井:彼女はちょうどエリートアカデミーに入ったときに私が練習相手をしたことがありましたが、小学生とは思えないほどのボールの重さ、回転量、パワーがあるんですよね。

さらに彼女の特徴としては、体のしなやかさがある中で、強さが出せるというのが持ち味です。ふと力を抜いているところからドーンと威力があるボールが来るので、相手はなかなか待ち構えづらいです。

また、サーブレシーブも威力がありますね。レシーブはチキータの技術も日本女子では一番かなと思うぐらい、威力も速さも感覚も良く、相手にとっては脅威です。

サーブは左利きで投げ上げサーブが特徴です。小学生のときから出しているのですが、相手は安易にレシーブすると威力あるドライブを打たれると思うので、無理をさせられます。

そういうところで相手に自分の強さを示せる技術を多く持ってる選手かなと思います。

ーー今年の木下アビエルは、日本生命、日本ペイントと比べても穴の無い布陣ですね。初の年間王者になれるのか注目したいと思います。ありがとうございました。

藤井寛子,二株麻依,卓球
写真左:藤井寛子、右:二株麻依(取材者)

★「木下アビエル神奈川」の次の試合★
11月19日14:00~仙台市宮城野体育館にて
「木下アビエル神奈川」VS「トップおとめピンポンズ名古屋」

 

■プロフィール

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藤井寛子(ふじい・ひろこ)
1982年生まれ。奈良県出身。両親が主宰する卓球クラブで卓球を始める。四天王寺高等学校、淑徳大学を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。全日本選手権女子ダブルスで5回の優勝、シングルスでは3回の準優勝の経験がある。現在はYOYO TAKKYU西日暮里店のコーチとして活躍。オリンピックなどのテレビ中継で、解説者を務める。

写真提供:Rallys

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