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【藤井寛子に聞く】悲願の年間王者に向け死角なし。石川佳純、平野美宇擁する木下アビエル神奈川を徹底解説

“日本代表の顔” 石川佳純は何が強いのか?

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石川佳純

ーーTリーグ開幕以来、アビエルを牽引し続けてきた石川佳純選手の特徴についても教えて下さい。

藤井:まず日本代表ではずっと右利きの選手が多かったので、石川選手が左利きというのが分かりやすい特徴になっていました。ただ石川選手の本当の凄さは、相手を見る目というのがすごく長けているのと、あとはどんなときでも自分を進化させようする姿勢が飛び抜けている点ですね。

特に印象的だったのはボールのルール変更があった時です。

ーーボールの材質がセルロイドからプラスチックに変わった時なので、2015年頃ですね。

藤井:はい。一般的に実績のある選手は、従来のプレースタイルをさらに強くしていこうと考えるのですが、当時は石川選手よりも若い選手が育ってきている中で、ボールの材質も変わりました。

それまでのプレースタイルで成績が出ている中でしたが、さらに勝ち続けるために自分の卓球を改革したんです。あの時に大きく戦術や技術を変えたことで、今の石川佳純選手があります。

ーー今の選手は伊藤美誠の美誠パンチに代表されるように、独特の打ち方や戦術を持っているように見えます。一方で石川選手はわりとキレイな卓球をする方だなと思うんですけれども、個性溢れる若手選手たちにどのように対抗しているのでしょうか。

藤井:もともと攻守のバランスがすごく良い選手、基本技術も、フットワークもしっかりしている選手ですけど、やはり欠けているというか、少し足りなかった部分って威力だったりとか、新しい技術をなかなか試合の中では使いづらい部分があったかと思うんです。でも、それでは勝てないって思ったときに、どんどん新しい技術に挑戦してきました。その対応能力というところも、人並外れたものを持ってると思いますね。

ーー今季のTリーグでも2ゲームを先に取られてからの逆転勝ちなど勝負強さを見せています。

藤井:悪い流れを断ち切ることは簡単にできることではありません。ですけど、石川選手は逆境に強い。逆転のスペシャリストでもあります。初出場した2009年の世界選手権では当時16歳の石川選手がゲームカウント0-3の3-9から世界ランク10位の選手に大逆転したこともあるんですよ。すごく印象深いです。
自分にとって流れが悪いときにスパッと切り替えて、そこから吹っ切れたように全く違う戦い方ができるところ、何度も国際大会でも見てきましたからね。

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(Photo by Sergey Pakulin)


(次のページ「ニッセイから移籍の平野美宇と長﨑美柚 「平野は完成形に近づいている」へ続く)

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