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卓球界に医療革命を 「ケガで悩むプレーヤーを“激減させる”」新しい医療の可能性が無限大だった

卓球×ビジネス 卓球界に医療革命を 「ケガで悩むプレーヤーを“激減させる”」新しい医療の可能性が無限大だった

2022.06.01
この記事を書いた人 山下大志Rallys副編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏 @YamashitaRallys 卓球界のケガ治療に新しい風が吹くかもしれません。

Tリーグの琉球アスティーダが、セルソースとオフィシャルスポンサー契約を締結し、「PFC-FD™」療法を導入することになったからです。

琉球アスティーダ
写真:左から裙本理人(セルソース株式会社代表取締役社長CEO)、早川周作(琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社代表取締役)/提供:琉球アスティーダ「PFC-FD™」療法とは、PRP療法をセルソースの技術により含まれる成長因子の量を増やしつつ、身近にしたものだそうです。たまたま野球ファンだった筆者は、大谷翔平選手や田中将大投手が右肘のケガから早期復帰を果たしたのがPRP療法のおかげ、ということはぼんやりと知っていました。

今回の取り組みについて調べてみると、何やら凄そうな医療技術が導入されることだけはわかりましたが、実際何がどうなるのかは筆者も理解が及びません。

写真:開発イメージ/提供:セルソース株式会社
提供していただいた写真も何やら凄そう(写真提供:セルソース株式会社)そこで、人気YouTuberのヒカルさんの動画にも出演していたセルソース株式会社の裙本理人(つまもとまさと)代表取締役社長CEOに、再生医療の実態について質問をぶつけてみると、卓球界の未来に及ぼす好影響が見えてきました。

写真:裙本理人代表取締役社長CEO(セルソース株式会社)/提供:セルソース株式会社
【裙本理人(つまもと まさと)】1982年生まれ、兵庫県出身。2005年神戸大学発達科学部卒業後、住友商事に入社。2014年、再生医療等安全性確保法が施行されるタイミングで住友商事を退職し、再生医療関連の事業をスタート。2015年、セルソース株式会社を設立し代表取締役に就任。(写真提供:セルソース株式会社)このページの目次

  • [5 PFC-FD™療法で怪我に悩む選手が激減する卓球界へ]()

PFC-FD™療法が卓球界に

——セルソースさんはプロ野球の埼玉西武ライオンズやJリーグの浦和レッズ、青山学院大学駅伝チームと様々なスポーツをサポートされてるんですよね? 裙本理人社長:我々としては、何か特定のスポーツに絞ってプロモーションしようとは考えていません。会社の在り方として、アスリートを医療の面でサポートして、活躍してもらいたいというのがまず大前提にあります。 私自身もスポーツは好きですし、スポーツで人格や人脈が作られたので、「スポーツに恩返しをしたい」と思っていたこともあります。

今回、たまたま早川さん(琉球アスティーダ代表)とご縁があって、今回は琉球アスティーダをサポートさせていただくことになりました。

写真:裙本理人代表取締役社長CEO(セルソース株式会社)/提供:セルソース株式会社
写真:大学まで剣道をプレーしており、今はトライアスロンの国際大会にも出場しているバリバリのアスリートの裙本社長/提供:セルソース株式会社——裙本社長は、卓球や琉球アスティーダのどこに魅力を感じたのでしょうか? 裙本理人社長:幅広い年齢層でプレーヤーがいて、競技人口が多いということがまず1つあります。 また、東京五輪で銅メダルを獲って今季から入団する張本智和選手は、私もテレビで見ていた選手の1人ですし、このタイミングでアスティーダにいらっしゃるのはサポートしがいがあります。

写真:琉球アスティーダスポーツクラブ代表の早川周作氏と張本智和(写真右)/撮影:ラリーズ編集部
写真:琉球アスティーダスポーツクラブ代表の早川周作氏と張本智和(写真右)/撮影:ラリーズ編集部裙本理人社長:リオ五輪で銀メダルを獲った主将の吉村真晴選手も、再び日本代表を目指し、アジア競技大会予選ではシングルス枠を掴み取りました。若年層が強い卓球という競技で年齢的には上の方になった吉村選手の活躍は、卓球ファンに勇気と希望を与えるんじゃないかなと思っています。 2人ともパリ五輪を目指しているということで、我々もサポートできればなと思っております。

写真:吉村真晴(琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部
写真:吉村真晴(琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部
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ところでPFC-FD™療法とは?

吉村
写真:3rdシーズンプレーオフファイナルでの吉村真晴(琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部——今回は琉球アスティーダをサポートするにあたり、「PRP由来サイトカインPFC-FD™を用いる医療体制を導入」とのことで、調べさせてもらったのですが…。 裙本理人社長:ええ。 ——野球の大谷翔平選手や田中将大投手が受けた「PRP療法」が、再生医療にあたるということはなんとなくわかったものの、卓球界ではほとんど聞いたことがなく実際どういうものなのかはあいまいで…。 裙本理人社長:まず再生医療等と聞くと、未来の医療を想像されると思うんですが、我々が展開している医療はすでに4万人近くが実際の臨床現場で治療を受けています。なので実はすでに身近な医療だということが1つあります。 具体的には、患者さまの血液を我々がお預かりして、成長因子を抽出して増やし、怪我した部位に注入するというものが「PFC-FD™」治療になります。

自分の体の素材を活かした治療であるところと、手術を伴わない治療というところもポイントです。

写真:開発イメージ/提供:セルソース株式会社
なんか凄そうなことはわかってきました(写真提供:セルソース株式会社)——なるほど。 何か薬品を打ち込むのではなく、自分の身体の中にある良い成分を整えて入れる、みたいなイメージでしょうか?

裙本理人社長:そうですね。 例えば、関節の痛みは、軟骨が磨り減って骨同士が接触して炎症が起こり、痛みが生じています。つまり、痛みをとるためには炎症を抑えなきゃいけない。

これまでは痛みをとれば、正しい歩行ができたり、正しい筋トレができたりして、筋力がついて結果的に膝の痛みがとれるので、「痛み止めを打って感じなくする」だったり「炎症部にヒアルロン酸を用いて滑らかにして痛みを感じさせない」だったりという対応が多くありました。

——確かに、そういう治療は良く聞きます。 裙本理人社長:そこがPFC-FD™療法ですと、血液の中の血小板という成分が放出する成長因子が炎症を抑える抗炎症作用を持っているので、それを我々の技術で取り出して、患者さまの痛みのある膝や手首などに注射します。 自分の血液で作られた物なので安心安全ですし、抗炎症作用のあるものを打ち込むので根本的に痛みがとれ、すぐに正しいリハビリができ、早期復帰に繋がります。

また、PFC-FD™療法は、PRP療法よりも約2倍の成長因子が含まれており、それを患部に局所的に投与することができるため、より高い効果が期待されます。

——大変初歩的な質問で恐縮なのですが、ドーピングではないということですよね? 裙本理人社長:ドーピングの定義は「能力を高めるもの」です。これは治療ですのでドーピングには該当しません。 なおかつ化学物質ではなく、自らの血液を用いるので、明確にドーピングではないです。

写真:裙本理人代表取締役社長CEO(セルソース株式会社)/提供:セルソース株式会社
どんな質問にも優しく答えてくださいました(写真提供:セルソース株式会社)## 卓球愛好家にもPFC-FD™療法を

PFC-FD™
写真:セルソースが調製方法の特許を取得しているPFC-FD™/提供:セルソース株式会社——卓球は膝や股関節、肘などの怪我が多いので、そこから早期復帰できる治療はメリットが大きいですね。 裙本理人社長:怪我で思う存分パフォーマンスを発揮できないことは、アスリートにとっては悲劇です。 そこを可能な限り早期に、再生医療の力で治すことは、ものすごく意義があるんじゃないかなと考えています。卓球は幅広い年齢層で競技人口が多いスポーツですし、東京五輪では金メダルを獲って盛り上がっています。

写真:水谷隼(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
東京五輪混合ダブルス金メダリストの水谷隼さん 卓球界の顔としてテレビなどに積極的に出演している(写真は引退セレモニー時)裙本理人社長:卓球界には、膝や股関節などが痛い状態でプレーされている方がおそらくたくさんいらっしゃると思うので、卓球愛好家の方に再生医療が届いたら人生がよりハッピーになるはずなので、ぜひ琉球アスティーダを通じて広げて生きたいなと思っています。 吉村真晴
写真:吉村真晴(琉球アスティーダ)が優勝シャーレを掲げた3rdシーズンプレーオフファイナル/撮影:ラリーズ編集部——え!?ということは普通の一般の方でも受けられる治療なんですね! てっきりアスリート向けの治療かと思っていました。

裙本理人社長:そうなんです。 先ほど4万人近くが受けているとお伝えしましたが、実はほとんどがアスリートではなく一般の方です。

——そこまで身近だったんですね。 もしこのPFC-FD™療法を受けたいとなった場合は、どういう流れになるんですか?

裙本理人社長:まず、我々が提携している医療機関さまが今全国で1,200ぐらいあるんですが、そこに行って診察を受けていただきます。先生と話して「この怪我はPFC-FD™療法だね」となれば、まず血液を50cc採血させていただいて、その日は終了です。 その血液がセルソースに送られて来て、我々のラボで患者さまごとのオーダーメイドで、血液の中の血小板由来の成長因子を取り出して作るということになります。

開発イメージ
イメージはこんな感じ(写真提供:セルソース株式会社)裙本理人社長:血液を採った約3週間後に、また同じ病院に行っていただければ、セルソースからその患者さまのためだけに作った「血小板由来の成長因子」が届いてあるので、それをドクターに注射で打ってもらうということになります。 Rallys×パンダーニ コラボユニフォーム登場 オンライン限定販売ハイテンション裏ソフトラバー REDMONKEY ぼくらが欲しいラバーを作りました。Rallys編集部TAKUMANA もっと気持ちよく練習しよう。 NEW Original Tee ¥2,990## 事前に準備し海外遠征にも持ち運べるPFC-FD™

写真:開発イメージ/提供:セルソース株式会社
写真:PFC-FD™をそれぞれの患者の血液からオーダーメイドで作る/提供:セルソース株式会社——注射を打ってあとは安静にしておけばいいんですか? 裙本理人社長:そうです。なので患者さまからすると病院に行って1回採血して、3週間後にもう1回注射をするだけで、体へのダメージがほぼないに等しいんです。手術と違って長いリハビリ期間がないですし、早期復帰が期待できます。 加齢とともにまた関節が痛くなったり、プレーしていてまた痛くなったりはするんですけども、やらなかった時に比べては巻き戻って回復しています。膝のデータで言うと、2年ぐらいは痛みがとれていますね。

写真:開発イメージ/提供:セルソース株式会社
送られてきた血液からオーダーメイドで作る(写真提供:セルソース株式会社)裙本理人社長:加えて、怪我したときのために体制を整えておくことも可能です。事前に血液を採っておいて、凍結乾燥で保管しておいて、痛みが出たら打つというのは、多くのアスリートがやっています。 事前に採血してPFC-FDを作製し、医療機関さまで保管しておくことができるのが、我々のフリーズドライ(FD)の特徴です。今までの類似の治療ですと、保管性がなかったのですが、我々は国内でも特許をとって展開をしています。例えば、海外遠征にも持っていき、もし怪我した場合はその場でドクターがいれば治療が可能です。

写真:PFC-FD™/提供:セルソース株式会社
PFC-FD™のFDはフリーズドライの略でした(写真提供:セルソース株式会社)——卓球は海外での試合も多いですし、そこで早く治療できて早期復帰に繋がる技術があるのは安心ですね。 写真:世界選手権ヒューストン大会の様子/撮影:ラリーズ編集部
海外遠征の多い卓球界 写真は世界選手権ヒューストン大会の様子## PFC-FD™療法で怪我に悩む選手が激減する卓球界へ

写真:裙本理人代表取締役社長CEO(セルソース株式会社)/提供:セルソース株式会社
写真:裙本理人代表取締役社長CEO(セルソース株式会社)/提供:セルソース株式会社——かなり革命的な治療だということはわかったんですが、実際どの辺の怪我まで使えるものなんですか? 裙本理人社長:卓球は、日頃の練習や試合で反復して膝や肘を曲げ伸ばしすることによって、関節が摩耗していくという感じだと思います。そういう関節部位の違和感の治療には効果が期待できると思います。 適用部位は膝、股関節、肩、肘など、実症例があるものと卓球の怪我はかなりマッチする部分があります。

——卓球に合っている治療でもあるんですね。 野球では靭帯損傷などの治療にも使われていました。

裙本理人社長:アキレス腱断裂など筋断裂にも打って、早期修復した例もあります。 筋断裂までなると手術は必要になるんですが、オペ後にリカバリーを早くするという意味で、PFC-FD™を用いた治療を併用して局所に打ち込むと、修復が早まるという使い方もあります。

——なるほど、単体だけでなく。手術との併用で治りを早めるという使い方もできるんですね。 これも気になるんですが、治療には実際いくらくらいかかるものなんでしょう?

裙本理人社長:自費診療で医療機関さまによるんですが、1回の治療がだいたい15~20万円前後で提供されている医療機関さまが多いようです。 ただ、手術よりも復帰も早いし、もし高齢の方が膝が痛くてあんまり動けないところをその水準の価格で活動量が増えるのってものすごい価値だとは思っています。

——今後、再生医療というのが当たり前になっていくと、卓球界の未来が変わっていきそうですね。 裙本理人社長:卓球界でも、選手が怪我で現役引退とか半年間棒に振るとかがあるとは思います。 それがこのPFC-FD™療法などの医療で、怪我を先延ばしにでき、悲劇が少なくなります。これが一番良くて、怪我で悩む選手の数が激減するというところが一番の明るい未来だと思います。

まずは琉球アスティーダから始まり、今後、日本卓球界のみならず世界の卓球界でも、トップアスリートのみならず一般のプレーヤーでも、PFC-FD™療法など新しい種類の医療による怪我の治療が当たり前になっていくのかもしれません。

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