
写真:試合会場の様子/提供:3x3.EXE PREMIER
みなさんは3人制バスケの公式戦を見たことがあるだろうか。実は私も、まだ生では観ていない。 日本には世界初かつ最大の、3人制バスケットボールのプロリーグがある。 3x3.EXE PREMIER(スリーエックススリー エグゼ プレミア)である。

写真:試合会場の様子/提供:3x3.EXE PREMIER
実は筆者は、日本の卓球トップリーグである“Tリーグ”のチーム経営に携わった経験があり、マイナースポーツ(あくまで現在の野球やサッカーに比べてだ)が、いかに社会的認知を獲得し、マーケットを形成していくか”という果てしない試みの当事者経験もある。
今回、3x3.EXE PREMIERのリーグ広報の小林亘さんと、事務局の山田めぐみさんに話を聞いた。 聞けば聞くほど、スポーツと社会の多様な関わり方を提示している、もっと知られるべき革新的なリーグだと思った。

写真:試合の様子/提供:3x3.EXE PREMIER
そもそも3人制バスケとは
3x3(スリーエックススリー) は、FIBA(国際バスケットボール連盟)が統一ルールを定めた3人制バスケットボールのことだ。 5人制バスケのだいたい半分、と考えるとイメージしやすいかもしれない。ハーフコートで、試合時間は10分1本勝負。ショットクロックというシュートを打つまでの制限時間も、5人制バスケは24秒以内、3x3は12秒以内だ。
その制限によって生まれる魅力を、リーグ広報の小林さんはこう説明する。
「5人制とは違い、リバウンド後にすぐに攻撃に移るので、攻守の切り替えが非常に速い。3x3ならではの醍醐味の一つです」。
もともと“ストリートバスケ”として世界各地で楽しまれていたが、2007年からFIBAが競技化を推進。2017年、IOC総会でオリンピック正式種目として採用され、東京2020で初開催。2024パリ、2028ロサンゼルス五輪でも継続実施が決定している。 「3x3がオリンピックの正式種目となった2017年が、日本では転機となりました。リーグの来場者が一気に増えましたし、メディアからの問い合わせも増えて、フェーズがひとつ上がった実感がありました」(事務局の山田さん)。

写真:試合会場の様子/提供:3x3.EXE PREMIER
正式な読み方は“スリーエックススリー”
ちなみに、3人制のバスケのことを“3on3(スリーオンスリー)”、3x3(スリーバイスリー)と呼ぶことも多いが「国際バスケットボール連盟としてはずっと“スリーエックススリー”で統一しています」(リーグ広報・小林さん)とのことだ。

写真:試合会場の様子/提供:3x3.EXE PREMIER
その「3x3」の後ろにつく「EXE(エグゼ)」とは、Executable(実行可能な)の略である。
「ボール1つとフープ1つがあれば、すぐに誰でも楽しめる3x3を、自分らしいスタイルでエグゼ(実行)しよう」という、思いが込められている。 そして、EXEブランドの1つであるプロリーグが「PREMIER」である。 これが、3x3.EXE PREMIER(スリーエックススリー エグゼ プレミア)というリーグ名の由来である。
世界最大の3人制バスケプロリーグ
さて、3x3のプロリーグ「3x3.EXE PREMIER」は、2014年、世界初の3人制バスケのプロリーグとしてFIBAの承認を受けて、日本で発足した(当初7チーム)。 FIBA承認かつJBA(日本バスケットボール協会)公認のリーグであり、民間企業のゼビオグループがリーグ運営を行っている。
「2019年に、タイ、ニュージーランド、韓国、そして日本の4カ国が参加するグローバルリーグになりました。それ以降は5カ国程度をキープをしつつ、加盟いただくチームは右肩上がりで増え、現在は107チームが参加する、世界最大の規模になっています」(事務局・山田さん)
試合はたったの10分、でも1日15試合
3x3.EXE PREMIERの試合は、1試合10分 or 21点先取というルールで行われる。 5人制バスケットの場合、FIBA(Bリーグ・ワールドカップ・オリンピック含む)の公式試合時間が40分(10分×4クォーター)なので、いわばその1クオーター分だけの、コンパクトでスピーディーな展開だ。

写真:試合の様子/提供:3x3.EXE PREMIER
その代わり、レギュラーシーズンの場合、1日でなんと約15試合が行われる。12チームが参加、4ブロックに分かれて予選を戦い、勝ち上がっていく方式である。 試合会場は、通常の5人制バスケと違い、駅前広場や海を背にした漁港、ショッピングモールや複合施設など、ストリート発祥ならではの自由な発想で開催される。 例えば、2024年5月には地元チーム「YAIZU CITY UNITED.EXE」が誘致する形で、なんと焼津漁港の特設会場で3x3.EXEの公式戦が行われた。 え、雨天決行なのか、と思わず尋ねると、屋外会場予定の場合は、近隣に屋内代替会場を用意したうえで実施するとのことだ。

写真:焼津の漁港に特設会場を作って公式戦開催/提供:3x3.EXE PREMIER
スポーツと社会の豊かな関わり方を
3x3.EXE PREMIERは、単なる“3人制バスケットのプロリーグ”ではなく、スポーツとこれからの社会の豊かな関わり方を模索する挑戦のように見える。 リーグもチームも多様な魅力を携えながら、成長を続けている。
2025シーズン時点で、3x3.EXE PREMIERの加盟チーム数は男子36、女子9。 次回の記事では、その革新的なリーグ運営をより深堀りしつつ、“デュアルキャリア”を生きる「3x3.EXE PREMIER」の選手たちのリアルに迫る。

写真:試合の様子/提供:3x3.EXE PREMIER

写真:試合の様子/提供:3x3.EXE PREMIER

写真:試合の様子/提供:3x3.EXE PREMIER
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