元Jリーガー主導のもと、子どもたちに夢を運ぶ新プロジェクトが始動

元Jリーガーが主導する「PEACE UNITED PROJECT」とは?

子供たちに、平等に夢を追いかけてほしい — その想いに、元Jリーガーや現役Fリーガーが賛同し、1つのプロジェクトが動き出している。

7月18日、東京都府中市のグラウンドで小中学生に向けたサッカークリニック「PEACE UNITED FUCHU」が行われた。当日は、元Jリーガーの長谷川太郎氏を筆頭に、現役ビーチサッカー選手も講師として参加。ゲーム形式の練習を中心に、1時間半にわたって子供たちと汗を流した。

経済的事情で子供たちの習い事の費用負担に悩む家庭のために、安価で参加しやすいスポーツ系スクール活動支援プロジェクトとして始動した「PEACE UNITED PROJECT」。その事業の一環で行われた今回のクリニックは、サッカーの指導者だけでなく、フットサルとビーチサッカーというサッカーから派生した2競技の現役選手も講師に招き、幅広く技術を学べるプログラムとなっている。参加費も1回1000円と、通いやすい金額に設定されている。

クリニックにコーチングスタッフとして参加しているのは、長谷川氏が代表を務めるTRE2030 STRIKER ACADEMYの講師陣と、ビーチサッカーリーグの所属選手、そして日本フットサルリーグ(Fリーグ)に所属する府中アスレティックFCの現役選手である。また、30日には特別ゲストとして招かれたFリーグ・ヴォスクオーレ仙台の狩野新選手による指導も行われた。

PEACE UNITED PROJECTの事業活動は今回で2回目となる。初回は3月に行われ、長谷川氏をはじめ、元フットサル日本代表の藤井健太氏やビーチサッカー日本代表の原口翔太郎選手など、そうそうたる顔ぶれが揃っていた。

将来的な地域密着型クラブチーム設立へ

スポーツのスクールやクリニックが全国各地で数多く行われている中で、このプロジェクトがなぜ、習い事の費用負担に悩む家庭へフォーカスを当て始動したのか。その理由には、長谷川氏が海外で直面した、とある実体験があった。

同氏は中学、高校と柏レイソルの下部組織で育ち、1998年にトップチーム昇格を果たす。その後は2002年にアルビレックス新潟、2003年にヴァンフォーレ甲府へ移籍すると、2005年には17ゴールを挙げJ2日本人得点王に輝き、甲府をJ1昇格に導いた。2014年には日本を離れインドでプレーし、翌年に現役を引退している。

Jリーグ5クラブを渡り歩いた長谷川氏には、インドで目に当たりにした忘れられない光景があるという。

長谷川太郎氏

「インドでプレーしていた時には、経済的な問題で勉強やサッカーをできない子供たちがたくさんいた。彼らは生まれながらに夢を諦めなければいけなかった」

インドと同様とは言えずとも、日本にも経済的に裕福でない家庭は存在する。そんな子供たちに夢や希望を与えたいと思考していた長谷川氏と、柏レイソル下部組織時代の旧友である鴨川司氏の想いがマッチして実現したのが、PEACE UNITED PROJECTだ。現在はサッカーに関するプロジェクトのみが展開されているが、今後は様々な競技の事業を行い、スポーツを通して子供たちの人間形成を図る方針である。

現在行われている府中市でのクリニックは、先に述べたような習い事の費用負担に悩む家庭向けに限定した事業ではないが、今後はそういった家庭を対象とした様々な事業を考案していく予定だという。また、同クリニックは将来的に地域密着型のクラブチームとして活動を拡大していく方向で、将来的にはプロ選手の輩出も目指している。

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