カタールW杯で板倉滉がさらなる進化を遂げる インターセプトとフィード力はすでにワールドクラス
写真:板倉滉(7044sueishi/アフロ)
FIFAW杯カタール2022もすべての国が1戦目を終え、すでに多くのドラマが生まれている。
日本の初戦も特にドラマチックで、ドイツ戦の勝利は世界中にそのニュースが駆け巡った。
そんな日本代表において現在最も頼りになる選手の1人が「板倉滉」だ。
膝の靭帯断裂から奇跡の復活、板倉滉の存在が日本にもたらしたもの
「この男がW杯に間に合ってくれて本当に良かった」
日本のサッカーファンの多くは、そういった感情を持っているはずだ。
昨季シャルケをMVP級の活躍でブンデスリーガ昇格へ導き、今季移籍したボルシアMGでも開幕から素晴らしいプレーを見せていた。
2週連続のブンデスリーガベスト11に選ばれるなど、一気にワールドクラスのDFに駆け上がるはずだったが、そんな板倉に悲劇が訪れる。
9月中旬のトレーニング中に膝の靭帯を部分断裂してしまったのだ。
日本代表においても欠かせない選手となってきていただけに、多くのファンは「板倉がいなければドイツやスペインには絶対に勝てない」とショックを受けた。
しかし、彼はW杯初戦のドイツ戦のピッチに立っていた。
そして90分間フル出場し、ドイツの分厚い攻撃を跳ね返し続け、浅野拓磨の決勝点に繋がるロングフィードも決めたのだ。
怪我の直後、彼はTwitterに「やるよ俺は!」とつぶやいている。
怪我を回復させ、少しずつリハビリを進めながら、無理だと思われたW杯を目指した。
W杯直前のリーグ戦で復帰したものの、数分間の出場のみであったため、トップコンディションとは程遠い状態だったが、カナダとの親善試合で後半22分までプレーし、一気にコンディションを上げた。
ドイツ戦でのインターセプト数はチームナンバーワンであり、ボールを奪った後も非常に落ち着いたプレーを見せた。
吉田がどっしりと構える「静」のCBならば、板倉は果敢に相手FWにプレスを掛けボールを前に持ち出してMFやFWにパスを供給できる「動」のCBだ。
川崎フロンターレで共にプレーしていた元日本代表MFの中村憲剛は、「板倉がこれほどの選手になるとは思っていなかった」と言っていたが、現在のプレーレベルが板倉の限界点ではないだろう。
カタールW杯で日本をベスト8に導く活躍を見せ、一気に日本のディフェンスリーダーになっていくはずだ。
そしてブンデスリーガ屈指のDFとなり、さらなるビッグクラブへのステップアップも狙えるだろう。
W杯には魔物が棲んでいるがゆえに油断は禁物だ。
しかし、板倉滉が本格復帰した現在の日本代表には、期待せずにはいられない。
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