【海外サッカー】名将ベンゲルのもとで開花したアーセナル 日本人ともゆかりの深いチームの実像
稲本、宮市ら日本人選手も所属
そんなアーセナルだが、これまで4人の日本人選手が所属しているのも日本において人気、知名度が高い理由の一つだ。日本代表のボランチとして活躍した稲本潤一が2001年にガンバ大阪から加入し、アーセナルにおける日本人第1号となった。中盤に多くのタレントを要したアーセナルにおいて、稲本はトップチームでポジションを得ることこそできなかったが、プレミアリーグのフラムやトルコのガラタサライ、ブンデスリーガのフランクフルトなどでプレーし、日本を代表する選手として活躍した。
その後、今は横浜F・マリノスに所属する宮市亮が、2010年12月に中京大中京からアーセナルに加入して、同クラブ2人目の日本人選手になった。この移籍も監督だったベンゲルから高い評価を受けて実現したもので、日本人選手のアーセナル加入にベンゲルが一役買っていたことが窺える。また、森保ジャパンの一員として名を連ねる浅野拓磨も2016年にサンフレッチェ広島から完全移籍で加入している。浅野は労働許可がおりなかったこともありレンタルでの移籍を経験し、今はドイツに活躍の舞台を移し、ボーフムの一員としてカタール・ワールドカップでの代表入りが期待される。
冨安健洋(Mike Hewitt / getty images sport)
そして現在所属するのが日本代表でも最終ラインの主力を担う冨安健洋だ。昨夏にイタリア・セリエAのボローニャでの活躍が認められアーセナル移籍を果たした冨安は、右サイドバックのレギュラーにいきなり抜擢されると、スピードや1対1の強さ、両足でのビルドアップ能力などを武器に開幕当初低迷していたアーセナルの最終ラインに安定感をもたらした。途中で故障離脱もあり年間通したパフォーマンスを見せることはできなかったが、これまで日本人選手が阻まれてきたアーセナルのトップチーム定着に成功し、活躍を続けている。アーセナルがチームとして成長を果たし、プレミアリーグやCLのタイトルを争うチームに復権することで、冨安の選手としての価値もさらに高騰するだろう。
若手中心に成長を果たす近年のアーセナル
近年のアーセナルのチームとしての魅力は、同クラブでのプレー経験もあるミケル・アルテタのもと、将来有望な若手を中心としたチーム構成で低迷期を脱し、右肩上がりに成長を見せている面だ。昨夏の冨安の加入もアーセナルが進めるチーム構想にハマる選手として向かい入れられており、イングランド代表である20歳のブカヨ・サカや24歳の守護神アーロン・ラムズデール、今季からチームの主将を務めるノルウェー代表で23歳のマルティン・ウーデゴールらが主力を担っている。『オール・オア・ナッシング〜アーセナルの再起〜』では、そんなチームが昨季成長していった中で、ピッチ内外で起こる紆余曲折の模様を監督、選手、スタッフらの生の声とともに体感することができる。
知将として長年チームを率いたベンゲルや稲本をはじめとした日本人選手の所属、若手を中心とした近年のチーム構成など、アーセナルには注目すべきポイントが詰まっている。今季も群雄割拠のプレミアリーグで世界最高峰の争いが繰り広げられる中、冨安も所属するアーセナルには引き続き注目だ。
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