板倉滉,サッカー,ワールドカップ

森保ジャパン、守りの要に名乗り 「第3の男」板倉滉の強さとは?

板倉滉(Photo by Christian Verheyen/Borussia Moenchengladbach via Getty Images)

(大会直前のため再掲載)

2022年11月から行われるカタールワールドカップ(W杯)で日本はE組に入り、ドイツ、コスタリカ、スペインという世界の強豪国を相手に戦いを挑む。そこで、サムライブルーの一員として本大会での活躍が期待される選手たちにスポットを当てて、そのキャリアを振り返っていきたい。今回紹介するのは今季からドイツ・ブンデスリーガ1部のボルシアMGにステップアップを果たし、吉田麻也、冨安健洋に次ぐ存在として日本代表でも評価を高めるディフェンダー・板倉滉(いたくらこう)だ。(文・井本佳孝)

J屈指の名門・川崎ユース出身

1997年生まれの板倉は神奈川県横浜市出身の25歳。Jリーグ屈指の名門川崎フロンターレの下部組織で育ち、2015年にトップチーム昇格を果たした。選手層が厚い川崎ではトップに定着できなかったが、2018年にベガルタ仙台へのレンタル移籍でJリーグでの経験を積んだ。そして、2019年1月にはイングランド・プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティに完全移籍を果たした。

その後レンタルで加入したオランダ・エールディビジのフローニンゲンでは、加入初年度こそ出場機会に恵まれず苦しい時間を過ごしたが、2019-20シーズンからはポジションを掴み、最終ラインの一角としてレギュラーに定着する。そして迎えた2020-21シーズンにはリーグ戦34試合に出場するなど活躍が評価され、同クラブでは堂安律(2017-18シーズン)以来日本人2人目のクラブ年間MVPに輝いた。

2021年夏にはドイツのシャルケに加入し、ブンデスリーガ2部に戦いの場を移す。すると、前年度に2部降格した名門の復権を担う1人としてシーズン通してレギュラーとして活躍し、31試合の出場し4ゴールと守備だけでなく攻撃面でも結果を残した。シャルケの1年での1部復帰と2部優勝に大きく貢献した板倉に対して、同クラブは完全移籍での獲得を希望したが経済面で断念。今夏複数クラブが興味を示した板倉はブンデスリーガ1部のボルシアMGに完全移籍で加入している。

高さと足元の技術を兼ね備える

板倉の持ち味は対人守備の強さで、相手から入った縦パスを刈り取るディフェンスや、相手FWとのぎりぎりの攻防で見せるスライディングなど、ダイナミックでスケールの大きなプレーが特徴だ。

また、186cmと身長にも恵まれており空中戦でも強さを発揮し、セットプレー時には高さを活かしたヘディングでも強さを発揮する。ボルシアMGのリーグ開幕戦となったホッフェンハイム戦では早速アシストを記録するなど、その特徴を存分に活かしたプレーを新天地で見せつけている。また、パスワークを持ち味とする川崎出身選手らしく足元の技術にも長けており、後方から中盤、またはフォワードへと鋭いパスを供給する。さらに、CBだけでなくボランチでもプレーが可能で、中盤から最終ラインにかけてをカバーできるマルチな能力も板倉にはある。

毎年着実に成長を果たし評価を高めている板倉にとって、初の5大リーグの1部カテゴリー挑戦となるボルシアMGでどのようなシーズンを過ごすかは、今後の自身の評価を左右する上で大きなターニングポイントとなる。W杯で対戦するドイツ代表の主力が所属するバイエルン・ミュンヘンや、かつて香川真司が所属した名門ドルトムント、近年そのアグレッシブなスタイルで上位に定着したライプツィヒなど欧州でも名高いチームとの戦いに挑む。フローニンヘンやシャルケで見せてきた年間を通した安定したパフォーマンスをカテゴリーが上がった環境で披露できるかは、さらなるキャリアを切り開く上で求められる。

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