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「我慢の限界に達した」パリSGサポーターのブーイングの“真意”について現地メディアが見解

パリSGはメッシ(右)ら選手よりも、首脳陣に対して不満を覚えているようだ。(C)Getty Images
現地時間3月13日に行なわれたパルク・デ・プランスでのリーグ・アン第28節パリ・サンジェルマン対ボルドー戦では、異様な光景が見られた。ホームチームのサポーターが、相手ではなく自チームの選手、それもリオネル・メッシ、ネイマールというチームのトップスター2人に対して、ブーイングを浴びせ続けたのだ。

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試合前のメンバー発表時から、試合中に彼らがボールを持った際、スタンドから容赦なく非難の口笛や罵声が浴びせられたのは、4日前に行なわれたチャンピオンズ・リーグ(CL)ラウンド・オブ・16のレアル・マドリー戦で、ファーストレグを1-0で制したものの、セカンドレグで1-3の敗北を喫し、逆転での敗退を強いられたことに対する、サポーターたちの怒りの表われだった。

この行為に対し、マウリシオ・ポチェティーノ監督は「アンフェアだと感じている。ファンからこのような扱いを受けるべきなのは、メッシとネイマールだけではなく、我々全員だ。彼らはワールドクラスの選手であり、尊敬されるべきである。負けた時の批判も、勝った時の称賛も、それは常にチームに対してのものでなければならない」と主張している。
このボルドー戦では、メッシの妻であるアントネラ・ロクソさんが観戦に訪れており、夫がブーイングを受け続けるのを悲しそうに見守る様子が複数メディアから報じられたことで、パリSGのサポーターに対しては批判的な意見が世界中から寄せられているが、一方で結果を残せていないスーパースターたちに対する彼らの姿勢は正当なものであるという声も少なくない。

そんな中、フランスに本社を置くスポーツ専門放送局『EUROSPORT』は、この一件について「サポーターたちのこうした動きは今回に始まったものではない。そして彼らの動きは、クラブの計画性の欠如に起因している」との見解を示した。

同メディアによれば、パリSGはフランス国内では圧倒的な強さを誇っているものの、「CLのような世界的なレベルのコンペティションで成功するようには作られていない」チームであり、その最終的な責任は、クラブを運営する人々、つまりナセル・アル・ケライフィとスポーツディレクターのレオナルドにあるという。
「先週水曜日(CLマドリー戦)に起こったことにより、サポーターたちの我慢は限界を迎えた。パリSGはリーグ1では無敵の状態にあるため、彼らの唯一の目標はCLしかない。しかし今回、マドリー戦での逆転敗退は、これまでのバルセロナ戦(2016-17シーズン)やマンチェスター・ユナイテッド戦(18-19シーズン)の失敗の再現のように見える」

「サポーターは、このクラブのチームが全く前進していないことを、ずっと以前から認識している。パリSGは、チームを“構築”するのではなく、選手を“蓄積”している。チェルシーやリバプールの姿勢とは異なり、優れた特定の選手がチームを改善していくというのが、パリSGの考え方だ。クラブ首脳陣は『フットボールマネージャー』をプレーするがごとく、輝かしく名誉あるものを買い漁っている。サポーターがアル・ケライフィ会長とレオナルドSDを非難するのは、そのためだ」

サポーターの本当の標的はクラブ首脳陣であると指摘した同メディア。では、なぜ怒りの矛先を2人のスーパースターに向けたのかといえば、彼らが首脳陣の「誤ったチーム作り」の象徴であるからだ。
「CLマドリー戦で、キリアン・エムバペは完璧だったが、メッシは何もしなかった。ネイマールは最悪とまではいかなかったものの、2017年の加入以来、ここまで期待されるレベルに達していない。しばしば怪我で戦線離脱し、疑わしいライフスタイルを持っているネイマールは2025年まで契約を結んでおり、メッシはいまだリーグ1で2ゴールを挙げただけだ(契約期間は2023年まで)。そしてサポーターたちは、3人のストライカーのうち、最もパリSGを立て直すに相応しい存在(エムバペ)を今夏に失うことになる」

同メディアは、このように記事を締めている。2011年にカタール資本が投入され、19-00シーズンに初めてCL決勝に駒を進めたパリSGだが、獲得した27のタイトルはいずれも国内のもの。近年はトーマス・トゥヘル監督、チアゴ・シウバ(いずれもチェルシー)のケースなど、誤った“人事”も目立っている金満クラブが、今回のサポーターのアクションを受けて、どのような反応を示すかが注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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