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南野拓実の価値高まるも、リバプールでの未来に現地メディアやOBは悲観的。「多額の売却益」を置き土産にリーズ移籍か

クラブOBのコリーモアは「今季、ミナミノが果たしているのは並外れた仕事」と南野を評価した。(C)Getty Images
現地時間3月8日に行なわれたチャンピオンズ・リーグの決勝トーナメント1回戦セカンドレグで、リバプールはインテルに0−1で敗れたが(合計スコア2−1で勝ち抜け)、この一戦で南野拓実はベンチ入りするものの、最後まで出番は訪れなかった。

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前線は、モハメド・サラー、サディオ・マネ、ディオゴ・ジョッタが先発出場し、83分にルイス・ディアスがジョッタに代わって出場。ちなみに3日前のプレミアリーグ第28節ウェストハム戦では、ディアスがスタメンでジョッタがベンチスタートだったということで、改めてこの4選手(他に筋肉異常で欠場したロベルト・フィルミーノもいるが)が南野にとっては厚く高い壁であることを感じさせる。

しかし、そんな日本人アタッカーも3月2日に行なわれたFAカップ5回戦ノリッジ戦ではチームの全得点となる2ゴールを挙げて最高殊勲者となっており、現地メディアやOBなどから賛辞を贈られている。与えられたチャンスの中で最大限の仕事を果たしているだけに、南野にとっては現状がもどかしいものと映っているのかもしれないが、ユルゲン・クロップ監督にとっては、バックアップ組(ディボック・オリギも含めて)も結果を出し続けている状況は理想的なものと言えよう。
そして、リバプールの専門メディア『LIVERPOOL.COM』によれば、これは指揮官だけでなく、クラブ経営においても理想的なものとなる可能性があるという。「FA杯でリバプールを準々決勝に導く重要な2ゴールを挙げた日本代表は、今季の公式戦で90分あたり平均1.01得点を記録している」と南野を称賛する同メディアは、以下のように続ける。

「さらに、7200万ポンド(約110億円)でマンチェスター・ユナイテッドに加入したジェイドン・サンチョ、1億ポンド(約152億円)でマンチェスター・シティに加入したジャック・グリーリッシュと、昨夏の移籍市場で最も高価だった2選手よりも多くのゴールを南野が決めたのは、非常に印象的なことだ」

「今年1月、冬の移籍市場でリーズは2000万ポンド(約30億円)でミナミノを獲得する動きを見せたが、彼が今後も活躍することでリバプール内での評価を上げることになれば、他クラブが獲得のために提示すべき額は上がる可能性がある」 在籍している間は結果を出し続け、さらに退団するのであれば多くの移籍金を残す可能性を持つという、2つの意味でリバプールに貢献する南野。問題は、彼を高値で獲得するクラブがあるかどうかということだが、この点では様々なメディアがリーズの変わらぬ関心を報じている。

同メディアは、南野が2020年に1月にレッドブル・ザルツブルクからリバプールに移籍した際、当時のザルツブルクの監督であり、現在はマルセロ・ビエルサに代わってリーズを率いているジェシー・マーシュが地元紙『Liverpool Echo』に対して「外交的ではないが、トップクラスの選手」「誰よりも早くジムに来てトレーニングを行なう」「素早く判断して、素早くボールを動かせる。試合の組み立てを理解しており、一緒にプレーするのが楽しい」「(移籍金は)安すぎる!」と語っていたことを紹介した。

このアメリカ人指揮官の南野に対する評価は現在も変わらず、リーズの強化スタッフも同意見であるとのことから、彼らが来季、プレミアリーグに残留することができれば、リバプールからの要求額が上がったとしてもこれに応えることが予想される。そして、「リバプールはバックアップ選手の売却で多額の利益を得られるとともに、これまで慌ててミナミノを売却しなかったことが正しかったことも証明される」と、同メディアは記事を締めている。
『Liverpool Echo』紙も、現時点で挙げられている補強と売却の可能性として、アーセナルのブカヨ・サカ、ザルツブルクのカリム・アデイエミとともに南野を取り上げ、理由としてリーズの関心とマーシュ監督からの評価の高さを挙げている。

また、リバプール専門メディア『EMPIRE OF THE KOP』はクラブOBであるスタン・コリーモアの「今季、ミナミノが果たしているのは並外れた仕事で、注目に値するものだが、彼が今後もメンバーに入り続けることでチームがタイトルを獲得するのに十分な強さを保てるかどうかは疑問だ」とのコメントを紹介した。

リバプールでの未来については、やはり選手層の厚さゆえに悲観的な展望が現時点でも多いようだが、残りのシーズンでもゴールを重ねていくことが彼のキャリアに好影響を与えることは間違いないだろう。リバプール加入以来、最も高い評価を得ているシーズンの終わりに、どのような事態が待ち構えているかが非常に興味深いものである。

構成●THE DIGEST編集部

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