「人種差別より悪いのか?」動物虐待した仏代表DFへの誹謗中傷に同僚が問題提起「人々は生計を奪うことを求めている」
世界最高峰とも言われるプレミアリーグで戦うフランス代表戦士の“蛮行”が物議を醸している。
問題視されているのは、ウェストハムに所属するフランス代表DFクルト・ズマだ。かつてチェルシーでもプレーし、2018年のロシア・ワールドカップでは母国の世界制覇に貢献した名手である。
そんな27歳の問題行動が明るみになったのは、去る2月6日だ。自身がフル出場を果たしたFAカップ4回戦のキッダーミンスター・ハリアーズ戦(〇2—1)の翌日にスナップチャットで投稿された映像に、ズマが愛猫を虐待する姿が映っていたのだ。
イングランド5部のダゲナム・アンド・レッドブリッジでプレーする弟のヨアンが笑いながら撮影している動画上で、ズマは小さな猫を蹴り飛ばしたかと思えば、力いっぱいに物を投げつけるなど、やりたい放題。そして最後には顔を叩き、明らかに異常な行動を見せた。
無論、これが世間に明るみになるとズマへの非難が殺到。PSPCA(英国動物虐待防止協会)が調査に乗り出したばかりか、ウェストハムをサポートしていたスポンサーや慈善団体も契約の一時凍結を発表。波紋は広がるばかりだ。
現地時間2月8日に行なわれたワトフォード戦(プレミアリーグ第24節)では、「私の仕事はベストなチームを選ぶこと」と語ったデビッド・モイーズ監督の意向もあって、スタメンに抜擢されたズマ。その起用法には賛否両論が巻き起こった。
もはや社会的問題へと発展しつつある。風当たりが強まるだ。そんなズマに対する反応に、あえて苦言を呈したのが、チームメイトのミカイル・アントニオだ。
SNS上で「彼を解雇すべきだ」といったコメントが相次いでいる事実を知るアントニオは、英衛星放送『Sky Sports』の突撃インタビューを受け、「あいつのやった虐待が人種差別よりも悪いと思うか?」と反応した。
「あいつがしたことを許してほしいとかって言うつもりはない。俺もあの行ないには全く同意できないからね。でも、人種差別で有罪とされながらサッカーを続けている選手がいる。彼らは罰せられたが、出場停止はせいぜい8試合程度だ。
でも、人々はズマに対して『クビにしろ』と求めている。彼の生計を奪うことを求めているんだ。僕はこの疑問をそんなすべての人々に対して尋ねたいね。ズマがしたことは、人種差別で有罪になった連中がやったことよりも悪いのか?」
プレミアリーグでは選手間での人種差別が問題視されてきた。近年でいえば、12年に当時チェルシーでプレーしていたジョン・テリーが、相手選手への人種差別発言で裁判にかけられ、あらゆる証言があったなかで無罪に。リーグ側からは4試合の出場停止処分と罰金を科せられただけだった。
もっとも、ズマ本人は「二度としません」と公式に謝罪をしている。そのなかでサッカー界で長年続いている問題に苦言を呈したアントニオの問いかけも、さまざまな議論を呼びそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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