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“崖っぷち”アズーリのバロテッリ再招集に国内外メディアが様々な反応!「集団のバランスを崩す可能性が高い」「劇的なチャプターが用意されている」

約3年半ぶりに代表活動に参加したバロテッリ。アズーリの救世主になれるか?(C)Getty Images
 イタリア代表は1月26~28日の3日間、コベルチャーノで行なうトレーニングキャンプメンバー35名のひとりとして、“悪童”マリオ・バロテッリを約3年半ぶりに招集した。

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 この合宿は、3月に行なわれるカタール・ワールドカップ欧州予選プレーオフに向けたものだが、「アズーリ」は24日に準決勝で北マケドニアをホームで迎え撃ち、勝った場合は29日にポルトガル対トルコ戦の勝者とアウェーで対戦するという、本大会に向けての厳しい試練を乗り越えるための非常に重要な強化の機会となる。

 昨夏に1年遅れで開催されたEURO2020を見事な内容で制して53年ぶりに大陸王者に輝いたものの、今予選ではスイスの後塵を拝してストレートインでの突破に失敗。プレーオフでは厳しいドローに組み込まれ、さらに主力のFWフェデリコ・キエーザが右膝の重傷で戦線を長期離脱したことで、前回ロシア大会に続いての連続予選敗退も噂される状況となっている。

 そんな中、ロベルト・マンチーニ監督がカリアリのブラジル人でイタリア国籍も有するFWジョアン・ペドロに注目して話題となっていたが、それをかき消してしまったのが、現在はトルコのアダナ・デミルスポルでプレーする31歳のバロテッリだ。代表キャップ数36で14得点を記録している彼は、2018年9月のポーランド戦(UEFAネーションズ・リーグ)以来の代表招集となる。
  トルコでは今季、公式戦で21試合出場9得点5アシストというまずまずの成績を残しているバロテッリだが、稀代のトラブルメーカーはあまりに好不調の波が激しいため、ひとつのクラブに定着することができず。2007年のプロデビュー後、3シーズンもったクラブがインテル、マンチェスター・シティ、ニースだけで、近年は期待に応えられずにマルセイユ、ブレシア、モンツァ、アダナと毎年移籍を繰り返し、完全にサッカー界のトップシーンからは姿を消していた。

 そんな彼の再招集に対しては当然賛否両論で、スポーツ紙『Corriere dello Sport』はファンの反応を紹介。「スーパーマリオが帰ってきた」「ゴーゴー、マリオ!」といった歓迎の声はやはり少数派で、「え? ちょっと待って……」「何をバカなことをしてんだ……」「予選で敗退したら、それはバロテッリを呼んだからだ」「アインシュタインは、違う結果を期待して何度も同じ行動を繰り返すことを『狂気』と定義している」「マリオが得たチャンスの半分でも、自分に与えてほしい」といった否定や皮肉まじりの意見が大勢を占めた。

 対してバロテッリ本人はやる気十分であり、「代表メンバーに選ばれることは、いつも素晴らしいし、毎回も非常に感動するものだ。俺は31歳になったが、まだ若く、本来なら代表招集が当たり前のことでならなければならない。そうでないことの方がおかしいという状況であるべきだ」と自信満々に語っている。

 そして、3年半ぶりに声をかけてくれた指揮官については「マンチーニ監督とは、時々連絡を取り合っていたし、関係もうまくいっている。俺にとっては、サッカー界での父親であり、それは今も変わっていない。彼の下でプロとしてのキャリアを始めることができた。だから、いつか引退する時が来たら、その時も彼の下にいたい」と信頼のコメントを発した。
  この、インテル、マン・C、アズーリでの“師弟関係”がまた復活したことについて、『Corriere dello Sport』紙は「欧州王者の監督であるマンチーニは、ジョルジーニョの2つのPK失敗によってそのキャリアが困難を迎えたが、彼が完全に狂ってしまったとは信じがたい。指揮官がバロテッリをアズーリに呼び戻したのは、このFWがチームに救いの手を差し伸ばせると確信しているからだ」と綴り、17歳のマリオ少年を抜擢してからの両者の関係の経緯を紹介している。

 インテルで3度のスクデット獲得を経験し、マンCでは44年ぶりのリーグ優勝やFAカップ制覇に貢献、EURO2012ではアズーリを決勝へ導くなどの実績を積み重ねてきたバロテッリに対し、彼の「発明者」(同メディア)であるマンチーニは、たとえ2013年に掴み合いの喧嘩を起こしたとしても、この教え子を高く評価し続け、「バロンドール受賞に値すると確信してきた」という。

 同メディアは、この招集を「正しかった理由&間違いだった理由」という正反対の2つの見地から検証し、前者では「もはやマリオがバロンドールを手にすることはないだろうが、彼には再び歴史を創る可能性がある。結局のところ、タイトル獲得数を見れば、彼は現在のアズーリの中では最も成功した選手のひとりであり、マンチーニの賭けの最後に、イタリアを本大会に導いたのがバロテッリだったということになれば、それは素晴らしいことではないだろうか?」と綴っている。
  逆に後者では、ここ数年の不振と、彼のトラブルメーカーぶりを重視。「チーロ・インモービレを理想的なCFと見なしていないマンチーニの最後の試みは、アズーリの歴史の中でも最も団結したグループのバランスを崩す可能性が高いだろう。それでも、バロテッリを招集することは、本当に価値のあることだろうか?」と疑問を投げかけた。

 この件には英国の日刊紙『Daily Mirror』も注目しているが、その視点はやはり懐疑的なものであり、バロテッリが久々に参加したアズーリでまずやるべきこととして、「チームメイトからの尊敬を集めること」を挙げる。その理由として、チームの大ベテランでキャプテンのジョルジョ・キエッリーニが以前に出版した自伝の中で、2013年のコンフェデレーションズカップでのバロテッリの態度を「チームを尊重しないネガティブな人物」「我々は全く助けなかった。平手打ちにするに値する」と痛烈に批判したことを挙げている。

 ただ、そんな同メディアも「今は誰もバロテッリが優れた存在になることを期待していないだろうが、おそらく彼とイタリア代表とのパートナーシップには、まだ書かれていない別の劇的なチャプターが用意されている」と記事を締めており、バロテッリが再度、国際舞台で輝きを放つ可能性を否定していない。

 彼と同じく「悪童」と呼ばれたアントニオ・カッサーノは、この招集を「アダナを率いているヴィンチェンツォ・モンテッラは、現在のマリオを評価している。彼はとても良くやっているし、イタリアにとってはポジティブな要素となるだろう」と好意的に捉えているが、果たしてこの「劇薬」がどのような効果をアズーリにもたらすか、非常に興味深い。

構成●THE DIGEST編集部

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