人と人、人と道具の出会いの”基点”に。河口湖の名店「STANDARD point」の哲学とは?

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河口湖キャンプの交差点「STANDARD point」

富士山の絶景を拝めることから、多くの人気キャンプ場がある河口湖エリア。そんなキャンプの聖地の入口、河口湖ICからクルマで10分ほどに、今回訪れた「スタンダードポイント」があります。ショッピングモール「フォレストモール富士河口湖」の一角にあるお店は、これからキャンプへ向かう人、キャンプを楽しんで帰路につく人、それぞれの交差点になっています。

今や人気アウトドアショップとして全国にファンをもつお店ですが、その設立にはオーナーの長田孝洋さんが経験したキャンプでの運命的な出会いがありました。人生を変えたキャンプのことから、キャンプ場近くならではのエピソード、「キャンプブーム」と「裏原ブーム」の意外な関係など、ここでしか聞けない話を伺ってきました。


人生を変えた2つのキャンプ

ーー長田さんは、お店を開く前からキャンプをよくやっていたんですか?

長田孝洋さん(以下「長田」):もともとは、妻の友人に誘われて始めるようになりました。それまでアウトドアは好きではなかったんです。虫が出るし(笑)。でも、外でお酒を飲むと本当に気持ちいいし、いろんな道具を試すのも男心をくすぐられました。地元もこのあたりなんですが、よくキャンプイベントが開催されていることもあって、自然とキャンプは身近なものになっていきましたね。

ーー当時から、キャンプにつながるようなお仕事をされていたんですか?

長田:実は、まったく関係ないんです。前職は臨床工学技士という医療関係の仕事でした。人工透析、人工呼吸器、人工心肺等の医療機器を操作、メンテナンスする国家資格が必要な仕事だったんです。

ーー医療関係のお仕事だったんですね!趣味でキャンプをしていたとはいえ、そこからアウトドアショップを開くというのは大きな決断ですね!

長田:そうですね、よく言われます(笑)。実は、店を開くきっかけになった思い出深いキャンプが2つあるんです

ーーぜひそのお話聞かせてください!

長田:1つ目は、キャンプへの考え方が変わった体験です。2016年に行った「ふもとっぱらキャンプ場」でのキャンプでした。そのとき僕は1人で、隣のサイトにバイクの男性が「ここいいですか?」って来たんです。お互い1人だったので、「晩ご飯一緒にどうですか」って感じでいろいろと話しているうちに意気投合。詳しく聞くと、その人はキャンプ関連のアプリをつくっていて、とてもキャンプに詳しかった。そのキャンプ観を間近で聞いて、自分の考えも変わったんです。

ーー偶然の出会いですね!その人はどんなキャンプ観をもっていたんですか?

長田:キャンプを「手段」として考えていました。当時の僕にとって、キャンプは「目的」。やることといえば、せいぜいお酒を飲むことくらいでした。でも、その人は「旅をするためにキャンプをする」「人に会いに行くためにキャンプをする」という感じで、はっきりした目的があり、その手段としてキャンプをしていた。もっている知識もリアルで実用的だし、「生活の延長線上にキャンプがある」という印象でした。

ーーキャンプを「手段」とするか「目的」とするか…考え方がガラッと変わりそうですね。

長田:はい、大きく価値観を揺さぶられました。キャンプを手段として考えるようになり、より”自分ごと”になったんです。だから、自分でもキャンプに関わる仕事をやろうという気持ちも強くなってきました。

お店のロゴが入った「スタンダードポイント オリジナルシェラカップ」サイズ:172×122×45(h)mm/重さ:95g/価格:1,650円(税込)

ーー2つ目の思い出深いキャンプはどのようなものですか?

長田:2つ目は、キャンプの楽しさと道具の魅力を存分に味わった体験です。2017年の3月に、ふもとっぱらで出会った人のアプリを通じて知り合ったメンバー12人でキャンプに行きました。特に何をしたという訳ではないんですが、キャンプってこんなにもおもしろいんだと気づかされたんです。

ーーけっこうな大人数で行かれたんですね!

長田:実は、ほとんどが初対面の人でした。それでもキャンプを楽しく過ごせたのは”道具”があったからです。みなさんが持っているギアは、どれも初めて見るものばかり。

「これは何ですか?」「どうやって使うんですか?」「他のものと比べて使いやすいですか?」

こんな話をずっとしていました。いろいろなギアがあることで話がはずみ、一気に距離が縮まったことを覚えています。今では僕がお客さんにギアの説明をする立場になりましたが、この体験がキャンプ道具の奥深さと、人と人とをつなぐ魅力にあふれていると感じた原体験ですね。

店内には定番から、めずらしいものまでこだわりのギアがずらりと並びます

ーー道具には、単に使うだけでない魅力があるんですね!

長田:道具のおかげで、そのキャンプは大盛り上がり。3月とはいえ夜中には気温が氷点下にまでなったんです。それでも、みんな寒さを忘れ、焚き火を囲んでずっと外で話し込んでいました。今では考えられません(笑)。

12人も集まれば、中には「それっきり」になってしまう人も少なくないと思いますが、いまだに全員と深い交流があります。ことあるごとにお店に遊びに来てくれたり、仕事の相談に乗ってくれたり…かけがえのない仲間です。

ーー今でも全員とつながりがあるのはすごいことですね。

長田:この2つのキャンプは、まさに人生が変わったといえる「ターニングポイント」です。そこで出会った人たちには、お店のオープンにも深く関わってもらいました。お店のロゴを考えてもらったり、オンラインショップをつくるのも手伝ってもらったりと、その出会いがなければスタンダードポイントはできなかったし、そもそもお店を開こうとすら考えていなかったかもしれません


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