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サッカー仕込み!? 佐藤心結はダイナミックなフットワークで強く蹴って飛ばす!【女子初シードスイング解説】

ダイナミックなフットワークが佐藤心結の飛距離につながっている(撮影:福田文平)

ついに23年の国内女子ツアー開幕! 昨シーズン、初シードを獲得した11人のスイングを飯島茜が解説し、同時に今季の活躍を占う。今回はダイナミックなフットワークが特徴的な佐藤心結のドライバーショットを見ていこう。

◇  ◇  ◇
佐藤心結(みゆ)
2003年7月21日生まれ 19歳 神奈川県出身 161センチ
22年メルセデス・ランキング29位 年間獲得賞金26位(4987万1507円)
22年シーズンの主な成績(ニチレイレディス5位、日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯4位タイ、NOBUTA GROUP マスターズGC レディース2位タイなど)
ドライビングディスタンス10位 248.59ヤード
フェアウェイキープ率65位 64.3512%
◇  ◇  ◇
 
アマチュアだった21年10月の「スタンレーレディス」では、渋野日向子らとプレーオフを戦い2位タイに入ったことで、ツアーにその名を知らしめた。同年11月のプロテストで一発合格すると、昨年はレギュラーツアー37試合に出場してトップ10が3回。見事に初シードを獲得した。佐藤と同じ2003年度生まれには、すでにツアー優勝経験のある川崎春花と尾関彩美悠、ステップの賞金女王に輝いた櫻井心那ら将来有望な選手たちがひしめく。

その佐藤のスイングを見ると、フットワークがダイナミックで、全身をめいっぱい使って飛ばしていることがわかる。「躍動感がある。写真でこれだけ足が動いているのが伝わるのはすごいです」と飯島も驚く。身長は161センチとそこまで大きくはないが、しっかりと地面を蹴ることで250ヤードを超える飛距離を生み出している。
 
「地面反力が上手に使えている人は、ダウンスイングで最初に沈む動きがあります。伸び上がった姿勢からはジャンプはできませんからね。トップから一瞬グッと沈んでから蹴る。バネも柔軟性もあるし脚力が強い。だから飛ぶんだなって思います」
 
大きなフットワークに加えて、特徴的なのはインパクト以降に頭を残して反り返る動きと、キャップのつばがインパクト前から目標方向に向くこと。『すくい打ち』と『ヘッドアップ』はアマチュアがやってはいけないとされる代表的な動きでもあるが…。
 
「インパクトの形を見ると、上体と腰を支えてないと崩れちゃうくらいの反り方をしています。でも左足は引けてないんです。耐えながらしっかり回転している。フォローでも遠心力によってクラブヘッドは遠くに離れていくのにもかかわらず、体は右に残して耐えている。体幹や足の強さもあると思います」。佐藤の場合、左サイドが引けて力が逃げているわけではないので、『すくい打ち』とは違うようだ。
 
そして、『ヘッドアップ』については「アニカ(ソレンスタム)もそうですけど、支点自体が動いていないので問題ありません。プロの中には、松山英樹さんや池田勇太さんのように頭が目標と反対側に動く選手もいます。2通りあって、どちらがいいとかではなく、佐藤さんが地面反力で飛ばしていくときは、頭が目標に動いた方が振りやすいのでしょう」と話す。完全に頭が起き上がって『ヘッドアップ』で前傾角度が変われば、ミスショットを招くが、佐藤のように頭を支点として『ルックアップ』する分には、むしろ効率よく振れる場合もあるということだ。
 
アマチュアにはなかなか真似できないダイナミックなフットワークで飛ばす佐藤に「今後どうなるかが楽しみな選手」と期待する飯島。小学校1年~3年まではサッカーを習っていた経験が、脚力を生かしたスイングに通じているのかもしれない。今季は初優勝というゴールを決めにいく。
 
■飯島茜
いいじま・あかね 1983年7月11日生まれ。千葉県出身。05年のプロテストに一発合格すると、同年から12年連続でシード権をキープし、「日本女子プロゴルフ選手権」などツアー通算7勝を挙げた。現在はツアーの第一線を退き、東宝調布スポーツパークでアマチュアにレッスンを行ったり、YouTuberとしても活躍中。

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