最高の一瞬『絵画のように_マウンテンバイク』

 

マウンテンバイクを紅葉の時期に撮りたい気持ちが以前からすごくあって、これも2020年11月の写真なんですが、コロナ禍でまだスポーツの現場で取材制限があってなかなか入れなかった時に、長野県の富士見パノラマという場所で行われたダウンヒルの競技を撮影したものです。

 

この競技はスピード感もあって絵になるなと思っていて、大方の写真を撮ってまだ結構時間があったときに、違うポジションで撮影しようと思いまして。

 

マラソンなどもそうなんですが、マウンテンバイクもレースの邪魔にならなければどこから撮っても大丈夫でして、自分だけのポジションを見つけられられる競技なんです。これは決められた場所で撮る野球やサッカーと違って、また違った面白さがあります。私はここがいいかなという場所を見つけました。

 

それでここ7、8年スローシャッターで撮るマイブームみたいのがあって、そうしたんですが、通常流し撮りは左右や上下に動く被写体を追いかける撮り方なんですが、このときはバイクが中央からこちらに向かってくる感じであまり動かない。

 

そこで、これも残像の残し方のいろんなコツの一つなんですが、撮る瞬間に被写体に合わせてカメラを動かすのではなく、撮る瞬間に一瞬カメラのレンズを上にちょっとだけ振ったんです。

 

するとバイクは芯がうまく残って、背景の木々がいい感じに伸びて、ちょっとアートっぽい写真になってくれました。

 

これも写真展で出したら、絵画みたいだねって言ってもらえました。ちょうどこのときの写真展は、絵画展を意識してやろうかなというのがあって、そういう意味でも、僕にとってもこれもすごく大事な写真ですね。

 

 

▼髙須力(たかす・つとむ)

1978年東京都出身。2002年より独学で写真を始め、サッカーを中心に幅広い競技を撮影。FIFAワールドカップは2006年ドイツ大会から2022年カタール大会まで5大会連続取材中。ライフワークでセパタクロー日本代表を追いかけている。ANSP(日本スポーツ写真協会)会員。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。AIPS(国際スポーツプレス協会)会員。

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