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最高の一瞬『密着取材_セパタクロー』
セパタクローは写真を始めた頃からご縁があって、いろいろ撮影させてもらっていました。そこで選手に密着して、いわゆるドキュメンタリー写真的なものを撮ってみたいと思いました。
写真は2014年のものですが、彼は当時の日本代表のエースで、寺島武志選手です。このころ、セパタクローの強いタイのプロリーグのチームに毎年武者修行に行っていて、僕も1週間くらい、タイのだいぶ地方の街でしたが、そこへ行って密着で写真を撮らせてもらいました。
これはそのチームの体育館で練習しているところです。
僕は基本的には被写体と仲良くするのはあまり好きじゃなくて、被写体はあくまで被写体として撮るというスタンスでやってきました。ただこの頃は、そのちょっと一歩引いた目線で写真を撮ることが本当にそれでいいのかとすごく悩んでいた時期でして。
ちょっと自分を鍛えるためにも何か別のものを撮ったほうがいいなと思って、タイに行ったわけです。
密着ですから当然彼らとしゃべる機会も多くなります。僕自身はセパタクローにそんな詳しくないんですが、彼らは1人でも多くの人にこの競技を知ってもらいたいと思って、素人の質問にもすごく真摯に答えてくれます。
そうしているうちに、やはり彼らに対して僕自身も何か情が湧いてきた。
その後、日本代表のアジア大会なども撮りましたが、メダルが懸かった試合とかになったら、もうなんかすごい1人だけドキドキしていて。後で写真を見たら全然うまく撮れてないというのがあるぐらい、感情移入してたんですね。
それで、被写体に対して感情移入することで撮れる写真があるというのを、彼らに教えてもらったんです。
やはり感情移入して気持ちを込めて撮った写真は、ちょっと一歩引いて撮ってた写真とは何か違うなっていうのは、自分でも感じます。写真としても、人間としても、彼らにいろいろ教えてもらったと思います。
▼髙須力(たかす・つとむ)
1978年東京都出身。2002年より独学で写真を始め、サッカーを中心に幅広い競技を撮影。FIFAワールドカップは2006年ドイツ大会から2022年カタール大会まで5大会連続取材中。ライフワークでセパタクロー日本代表を追いかけている。
ANSP(日本スポーツ写真協会)会員
AJPS(日本スポーツプレス協会)会員
AIPS(国際スポーツプレス協会)会員
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