ラグビーと和菓子の異質なタッグ。未来を『共創』する秘策とは(シャイニングアークス×船橋屋)
理念の一致が、ラグビーと和菓子をつないだ
ー船橋屋さんとパートナーシップを結んだ理由はどこにあったのでしょうか?
「地域を一緒に盛り上げる」という理念が一致したことです。もともと浦安にラグビー部の本拠地や社員寮があるJALさんや、ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドさんとは、浦安地域の活性化としてパートナーシップを結んでいました。しかし、船橋屋さんは江東区に本社があります。正直、お声かけしようかすごく迷いました(笑)。
ただ、まったく接点がなかったわけではありません。江東区には、シャイニングアークスのホストスタジアムである夢の島競技場があります。以前から船橋屋さんは地域に根差した企業という認識がありましたし、地域を盛り上げるにはピッタリだなと。toC企業で消費者と接点をつくりやすいこともあり、地域の方に親近感を持っていただきやすいのも大きな理由です。
最終的にパートナーシップ締結にいたったのは、共通の考え方があったからですね。どの競技であったり、チームの規模は関係なく、地域の活性化というコンセプトが合致したから実現したパートナーシップだと思います。
ーもともと船橋屋さんはスポーツと関わりがあったのでしょうか?
なかったようです。ただ、社長がチャレンジ精神にあふれる方なんですよね。人気のアニメとコラボしたり、若者向けに表参道に出店したり。もしかしたらスポーツとの取り組みも、最初はチャレンジ感覚だったかもしれませんが、今回の取り組みを通してメリットを感じていただけたのではないでしょうか。
知見を共有し、ゼロから創り上げるパートナーシップ
ー名称を『スポーツ共創パートナーシップ』とした背景は?
ゼロから創り上げていこう、という意味が込められています。船橋屋さんとしてもスポーツチームとの取り組みは初めてで、すべてがゼロベース。どう地域に貢献できるか、一緒に考えていきましょうという姿勢です。今ではリーグも『共創』という言葉を押し出していますが、その先駆けになれたと思います。
ーワークショップ開催にいたった経緯を教えていただけますか?
両者の課題を解決する『共創』の機会をずっと考えていたんです。これまでは担当者のみで進めていたのですが、幅広い部署の方に参加してもらうことで、新しいアイデアを生み出すことができます。
企業側が主体となってチームを活用していただくのが理想ですが、スポーツに関わりがないと難しい部分もあります。多くの人が意見を出し合えば、知見を共有できますし、足りない部分を補うことができます。全員が異なった視点で物事を見ることで、課題の本質に近づくことができました。価値のある時間だったと思います。
ーかなり時間をかけて、4回も実施していました。その意図はどういったところにあるのでしょうか?
関係性の構築を重視したからです。一緒に活動するにあたって、どちらかが萎縮してしまう関係は望んでいません。同じ目線で、正直な意見を言い合える関係を目指しています。時間をかけたことで、全員が組織の垣根を超えて一つのチームになることができました。船橋屋さんとのワークショップは合計10人ほどでしたが、これからはさらに拡大させていきたいです。
『共創』の精神は忘れずに、ラグビーの楽しみ方を伝える
ー浦安という街の強みは、どこにあるとお考えですか?
街並みの良さはもちろん、利便性やビジネス界との繋がりも強みです。都内や空港へのアクセスがいいですし、企業の本社や社員寮なども多くあります。またJRが通っていて、沿線には千葉ロッテマリーンズや、アメフトなどスポーツチームの本拠地があります。さまざまな面でポテンシャルのある街なんです。
ーその中で企業や地域に提供できるチームの強みは?
グラウンドなどの施設を含め、さまざまなアセットがあるのも強みの一つです。活用する方法は無数にあると思うので、一緒に考えていきたいですね。
例えば、地域住民対象の健康プログラムを考えています。長い目で見た浦安市の課題の一つに、住民の高齢化進行への懸念があります。市内にはマンションが多いのですが、高価なので若い人はなかなか手が出せません。自然と、40代以上の方が増えてしまうんです。そうした人たち向けにグラウンドを開放して、選手と一緒に体を動かす機会を作るのも地域にとっては重要だと思います。選手が練習している時間は一日3時間ほど。それ以外の時間はグラウンドも空いていますから、活用していきたいですね。
ー最後に、これから取り組んでいきたいことを教えてください。
多くの人にラグビーを楽しんでもらえるようにしたいです。日本では、ラグビー観戦がまだまだ浸透していません。野球やサッカーと同じように、ご飯を食べて、お酒を飲みながら、気軽に見てもらえるようにしたいです。試合時間は80分と決まっているので、その前後をうまく活用したいですね。
それ以外にも、民間のスタジアムを借りて試合をしているので、環境面でも課題が多くあります。VIPルームの不足も一つです。先日も、ご招待した役員の方が試合に来てくださったのですが、会場に到着するのは試合の直前なんです。施設を充実させて、試合の1時間前に招待できたら、もっといろんなことができただろうなと反省しました。浦安にはホテルがたくさんあるので、そこのラウンジを使ったり、美味しい食事も提供できるかもしれません。企業さんの力を借りてラグビー界を変えていきたいです。
そして、大切なのは企業の皆さんにもメリットがあること。一緒に考える『共創』の精神は、僕たちが持つ最大の特徴です。この姿勢を忘れることなく、活動を続けていきます。
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