最高の一瞬『小さな街の思い出_乾貴士(サッカー)』

2015年10月17日のエイバル対セビージャ戦です。

エイバルというのは、とても小さなところで、空港がないのでビルバオという都市へ飛行機で飛び、そこからバスで移動しなければいけない場所でした。

この試合の前にも、雑誌の取材でエイバルに行き撮影をしましたが、とてもいい街で人々もいい人ばかり。ある試合のときは、スタジアムからホテルまでの20分くらいの道で、「お前が乾か?」などと声をかけられ、あちこちで2、3杯ごちそうになったのを覚えています。

そんな小さな街の小さなクラブであるエイバルが、初めて移籍金を払って獲得した外国人選手が、乾貴士選手でした。

この写真は、シーズンのまだ序盤の試合です。エイバルのファンが、乾選手に期待を込めて見守っているといった感じを表したくて、彼が入場するところを狙いました。乾選手自身も気合いが感じられる表情で、そのシーンがうまく撮れたかなと思っています。

乾選手はその後このチームで活躍をしました。エイバルの市長などは「日本との懸け橋になってほしい」と言っていましたが、実際にエイバルという名も広めましたし、途中から日本人のファンの姿もこのイプルアというスタジアムで見かけることが多くなりました。地元のファンも日の丸を掲げたりしていましたから、とても愛されたのでしょうね。

そういったことが、すべてこのすごく小さな街で起きたんだなというのが、思い出深いです。

▼中島大介(なかしま・だいすけ)

1979年生まれ。2006年よりバルセロナ在住。サッカーを中心にヨーロッパ各地で様々なスポーツの撮影、スポーツ選手インタビュー、ポートレートの撮影など。AIPS(国際スポーツプレス協会)会員。バルセロナでカフェも経営。

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