THINK SPORTS『部活動の地域移行』
スポーツ庁の有識者会議が、公立中学校の運動部活動の休日指導を、2025 年度末までに地域に移行するように国に提言。このニュースがスポーツ界で大きな話題となっている。
この提言の一番の目的は、教員の負担を減らすことだ。平日に授業+部活動の指導をした上に、休日も部活動に付き合っていたら、まったく休むことができない。だからこの休日だけでも、部活動の指導を地域のスポーツクラブやスポーツ少年団へ移行する。あるいは顧問の教員が、正当な報酬を得て行うようにするとのことだ。
教員の働き方改革の面では、もちろんすぐに実行すべき素晴らしい案ではある。だが、これがこの問題に関わる別の立場の人から見れば、それぞれの立場からの意見があり、本当に地域移行が進むのかどうかが不透明だ。3年後の姿はイメージしにくい。
サッカーで言えば、最近では中学生年代の地域のクラブチームというのは多く存在する。ただそうしたチームは、そこで働くコーチの人数に合わせて選手をセレクションしているわけで、部活動生を受け入れることになると、新たな人材とお金が必要になるだろう。
小学生チームをメインとするスポーツ少年団も同じだ。こちらはコーチ陣のメインは、平日は会社で仕事をしているいわゆる「お父さんコーチ」たちが多い。そうしたボランティアコーチが、休日に小学生に加えて中学生の面倒を見るわけだから、やはりプラスして人員が欲しいということになる。
サッカーの場合はそうした想像ができるが、これが地域スポーツクラブが少なかったり、あるいはクラブがない競技はどうするのか。
そうなると、休日は活動しない、平日だけの部活動でいいのでは、という考え方も当然出てくるだろう。
子どもたちとその家庭の立場ではどうだろうか。地域移行となれば、おそらく休日の活動にお金を払って参加ということになるはずだ。そういう世の中の流れとはいえ、スポーツにお金をかけることに抵抗を感じる人は増えてくるかもしれない。
いずれにしても、中学生のスポーツの姿を大きく変えることになる、部活動の地域移行に、これからも注目するべきだ。
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