• HOME
  • 記事
  • その他
  • 「当たり前にある安心」を求めて。モルテンは黒子として日本サッカーを支え続ける【 JFAパートナー企画 #1 】

「当たり前にある安心」を求めて。モルテンは黒子として日本サッカーを支え続ける【 JFAパートナー企画 #1 】

体育の授業から部活の現場、全国大会の会場まで。日本でスポーツをする人の現場を支え続けてきたのが、競技用ボールの製造・販売を主としたスポーツメーカーであるモルテンです。誰もが一度は触れたことがあるこの老舗ブランドは、サッカーボールの改良と品質向上に取り組み、日本サッカーの育成と発展に寄与し続けてきました。

フットボールの普及や次世代選手の育成を促進することを目的として2016年にスタートした「JYD(JFA Youth & Development Programme)」のパートナー企業でもあります。

長らくスポーツの現場を支え続けているモルテンが、日本サッカー発展のために行なっている取り組みや思いはどのようなものなのでしょうか。スポーツ事業本部 マーケティング統括部長・椙浦正俊氏と、同部ブランドマーケティンググループグループリーダー・長谷川乃亜氏にお話を聞きました。

〈JFA Youth &Development Programme 連載記事はこちら〉
#0 日本サッカー協会が目指す、パートナーシップのあり方。サッカーだからこそできる課題解決

#2 すべてのサッカー選手のケガを防ぐために。ニチバンがJFAと組む理由

#3「25億人の生活を向上させる」JFAとPHILIPS、合致した目的地。

#4 日本サッカー界に帰ってきたフジタ。JFAと進める、芝生のある街づくり

#5 日本総研が目指す、「サッカーから始まるまちづくり」とは?

#6 「24時間365日、ポケモンのことを考えている会社」は、なぜJFAと契約したのか。

JFAと歩み、醸成された信頼感

モルテンは2016年から正式にJYDパートナーとなりましたが、それ以前から試合球の提供や検定球の承認を受けています。後者に関しては1982年から始まったので、40年に渡りJFAさんの検定球を展開している形ですね。我々はサッカーの普及・育成の発展を目指して取り組んでいますが、“どのようなボールを使っていただくか”は、今後もスポーツ界を支えていく上で重要と捉えています。

部活やクラブチームでプレーをする中学〜高校年代だけでなく、その前の年代、早くは未就学の段階からボールを蹴り始めるケースも多いですよね。その年代のプレーヤーに対しても適切な製品提供ならびに使用を促すことは重要と思っており、実際にキッズ用のボールもJFAさんのサポートをいただきながら開発しました。

左がキッズ用のボール

現在、日本ではサッカーボールのサイズ規定があります。小学生年代までは4号球、それ以上は5号球。身長100cmの園児が小学校6年生になると160cmを越え、体重が倍になることもありますが、その過程で扱うボールも変化しなければいけません。筋力もなく骨も柔らかい未就学のお子さんに対しては、4号球よりもサイズの小さい3号球の中からさらに軽く柔らかい素材を使ったものを提供し「サッカーって楽しいな」「プレーを続けたいな」と思っていただきたいなと。そう思わせる活動や製品の展開が、我々の任務です。

実際、JFAさんと取り組みを始めてから育成年代の現場をはじめ多くの大会で試合球として使っていただき、強い信頼が築かれていると感じます。幼い頃からサッカーをやっていた人には『モルテン』ブランドの信用が大きいのだなと常日頃から感じます。

高校サッカーの経験者から「ペレーダを使っていました」という話を聞くこともあります。サッカーに打ち込んでいた時代を共にしたボールの思い出は、我々が思っている以上に大きいんです。そういった方々が再びサッカーをする時に「モルテンを使いたいな」と思っていただけることは一番の資産だと思います。

部活の定番『ペレーダ』

雨天時、ボールは200gも重くなる

ビジネス的なリターンとして大きいのは、JFAさん主催の大会で試合球としてモルテンのボールを使っていただけることですね。その中で、選手や指導者の方から挙がる満足の声が一番の喜びです。

スポーツ事業本部 マーケティング統括部長・椙浦正俊氏

ボールで実力以上のものを発揮させることは難しいですが、実力に応じたプレーを実現させることは我々に求められていること。ウェアやスパイクと異なり、ピッチ上の22人が同じボールを使います。だからこそ、ポジションや敵味方に関わらず、公平性を意識して作らなければいけません。プレーヤーが試合をして「モルテンのボールで良かった」「また使いたいな」と思っていただかなければいけない。

我々は選手がピッチ上でベストを出せるように幾度もボールの改良に取り組んできました。歴史を紐解くと、1982年のW杯までは天然の牛皮を使ったボールが試合球だったのですが、86年大会から人工皮革となり、それ以降はいろいろな素材を吟味しながら作っています。

商品開発において大きな要素が、雨天次のコンディションです。正確な数字は知られていないと思いますが、雨で水を吸ったボールは200gほど重くなるんです。ここまで重量が変わると、ヘディングやキックをした時の衝撃が大きくなり、通常時のプレーができなくなります。結果的にそれは試合内容だけでなく、選手の満足度にも影響してきますよね。

FIFAの国際規格では、通常時の10%まで重量が増えていいと記されています。ただ、昔のボールはそれよりも重くなっていました。今のボールの重量の10%というと40g程度ですが、これでも影響は大きい。モルテンとしてはこの問題を解決したいという思いを持っており、小中学生の年代の大会では水を吸いにくい非縫型のボールを推奨しています。

これに留まらず、育成・普及・強化の現場で日々、課題は生じるものです。ユース年代のボールの大きさから、最近だとヘディングの問題もありますね。こういったものをJFAさんと一緒に解決していきたいです。加えて、競技における問題だけでなく、社会課題や環境問題という大枠についてもJFAさんと共同で解決したいと考えています。

スポーツ事業本部 マーケティング統括部・長谷川乃亜さん

関連記事