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【後編】フットサル界を牽引する、もう1人の“黄金世代”。小野大輔は己の道を貫き通す

【前編】はこちら

海外に出て感じた、日本との文化の違い

-小野さんが感じる、サッカーとフットサルの違いって何ですか?

難しいな…。意思の疎通ですかね。これは俺の意見ですが、比べ物にならないくらいフットサルは意思の疎通が必要だと思いますよ。サッカーにおいても超一流の選手・チームは別かもしれませんが。ただサッカーの場合は、ドリブルがとても上手い人がいると一人で突破出来たりすることも多いんですけど、フットサルはそうはいかない。一緒に食事をしたり、チームメイトのことを理解したりして結束力を上げていくことは、本当に大事です。個だけでは勝てない。チームワークが全てと言っていいくらい大事です。

-なるほど。フットサルはボールを持ってから考える時間も少ないですし、チームメイトが状況によってどういう動きをするか分かっていることが本当に大事なんですね。

はい。なので移籍してチームが変わると大変です。そのチームの人間の性格から身体能力までインプットして、例えば足が遅い選手には、前目にゆっくりパスを出そう。とかを考えながらプレーします。

-ちなみに、海外と日本において一番違うな。と感じたことは何でしたか?

一言でいうと文化、考え方ですね。

-具体的にいうと、どう違いましたか?

これは結構みんなに言っているんですが、良い意味でも悪い意味でもヨーロッパの人ってストレートなんすよ。文化で言うと、娯楽が無いし、1つの村を凄く愛するし。隣町とは敵対心が半端じゃない。ダービーって言ったら、何部リーグだろうが、空ビン振り回して喧嘩しながら応援するし。選手も、上手い下手関わらず自分に自信を持っているんですね。

例えで話すと、ドリブルが上手い選手がいる。その選手は、2部リーグだとかなりの確率でドリブル突破が出来る。DFを抜けるんです。ただ、1部と練習試合をすると、やはりレベルが上がるため簡単には抜けない。だけど、単純なんで、突っ込んでいくんです。そうすると、7割は取られますが、3割は成功しもの凄くチャンスになるんですね!

ただ、日本人はこの人達には、このプレーが通じないな。と思ったら、2度とそのプレーをやらないですよ。むしろ自分の得意なプレーを出すよりは、マイナスにならないことだけを考えるプレーになるんですね。でも、彼らはストレートだから、突っ込んで行くわけです。

ヨーロッパの人達は、成功したら俺は凄い。ダメだったら今日は運が無かった。極端にいうとこんな感じです。日本人はかなわない。と思ったら得意なプレーをやめてしまう人が多い。そうなると、かなわなくなっていくんですよね、上の連中には。

-確かに日本人は、そもそもマイナスを嫌いますからね。叩かれる事を嫌うというか。褒められるより、叩かれない方を選ぶというのは、ある意味文化もあると思います。

そうなんですよ。だから例えば日本のあるチームが、ちょっとガタイの良いフットサル素人の体格が良い外国人にブラジルのユニフォーム着せてフットサルの試合をやった場合、日本のチームは最初かなわないな。という概念が少しあって5分くらい点が入らないと思いますよ。ヨーロッパはまっすぐプレーするので関係ないと思います。その差ですね。

-全てのスポーツ、ビジネスにも当てはまりそうな話ですね。

全ての競技に言えると思いますよ。文化の話で言えば、ヨーロッパにいる時は、自分たちが試合する前に子供達のダービーマッチがあったりするんですが、それもビン持って本気で応援してますからね、向こうのファンは。10歳くらいの子達の試合も、本気なんですよね。例えば自分の贔屓にしているチームが負けても、本当はあいつがあと5点取れたから俺らのチームが勝ってた。とかあいつのシュートは3点分だった。だから俺らの勝ちだ。とか言ってますから(笑)スポーツを応援する。という意味でも大分文化の違いがあります。

突き詰めたその先に見えたもの、そして親への感謝

-フットサルをしていて、嬉しかった事やインパクトに残ったことを教えてください。

フットサルで嬉しいのは、やっぱりかなわないな、と思っていた相手に、チームワークで勝利することですよね。インパクトに残っていることも色々あるんですけど共通して言えるのは、チームのために自分が貢献して勝利に導くことが出来て、みんなが喜んでいる。あの瞬間は最高ですね。あの感じを知ってしまったら、もう止められないです。

-フットサルをやる人口がこれだけ増えたことについては、どうですか?

昔は、フットサルは今より全然マイナーでしたし、フットサルやっている。って言うのが嫌だったんでサッカーやっています。って言ってました。でも今は、何にもないところから色々な人の力があって積み上げてきて、国内のFリーグが出来て、海外に行く人間も出てきて。そこからは、色んな番組で取り上げてもらったり、一般の人がフットサルコートを使ってフットサルをやっていたり、子供達がサッカー教室ではなくフットサル教室に来てくれたり。見る競技としてはまだメジャーでは無いかもしれませんが、やる競技としてはメジャーになってきたことも嬉しいですね。

自分がやれることを突き詰めていった結果だと思います。個人的に嬉しいこともたくさんありますね。自分がadidasと契約出来ている事もそうですし、フットサルをやり続けていて、ジダン(元フランス代表サッカー選手)とボールを蹴る事が出来たり、サッカーで勝てないと思っていた最初に挙げたメンバーと仲良く飲んだり一緒にトレーニングしたり出来るようになったり。

後は親はどうしようもない俺を応援し続けてきてくれたから、代表の試合で笑っているのを見ると、やってきて本当に良かったな。と、そう思います。

-親御さんは本当に嬉しいでしょうね。

フットサルに出会えたおかげです。また、フットサルのコーチをやっていて、子供達と接する機会があるんですが、子供達も自分の試合を見せただけで、例えば負けてても頑張り続けることを覚えたりとか、出来ない事をやろうとチャレンジする子が出たりとか。子供は言ってもそう簡単には響かない。だから、見せることが大事なんだな。ということも分かりましたね。だからこそ、本気で普段からプレーすることも、子供と接することもするべきだな。と思います。

小野大輔

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