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地元に賑わいを!スポーツツーリズムは地方活性化の起爆剤になれるか

銚子のユニークな政策とは

千葉県銚子市のスポーツツーリズム推進を行う、NPO法人銚子スポーツコミュニティーは少し変わった経緯でスタートした組織だ。

「私共は元々地元の自転車乗りが好きで集まって立ち上げたNPOです。自分たちが地方の自転車の大会に出ていて、地域への波及効果はすごいと感じていて、それなら地元にも誘致したいということで始めました。」(銚子スポーツコミュニティー・松岡由子さん)

そうして開催が決まったロードレース大会・犬吠埼エンデューロは今年6月に2回目が行われた。(※)サイクルトレインの運行の構想も持ち上がっており、比較的都心からも近いことから、週末に自転車を持参して訪れる人も増えるだろう。

※サイクルトレイン:自転車を解体などせずにそのまま持ち込める電車

また、銚子は“マイナス5℃のまち”で、都心と比べて気温が低い避暑地でもある。その強みを生かしたスポーツ合宿誘致にも動き出した。

銚子と聞けば長年の高校野球ファンなら“黒潮打線”で甲子園を沸かせた銚子商業高校を思い浮かべる人も多いだろう。そのイメージを元に街としても野球に力を入れた施設「銚子スポーツタウン」を建設中だ。ここは野球部の合宿誘致を想定しており、廃校となっていた旧銚子西高校を整備して2018年4月にオープンする予定になっている。宿泊棟に硬式野球対応のグラウンド、サブグラウンド、体育館が隣接する合宿施設となる。

スポーツツーリズム成功の鍵は専任の担当者の設置。

日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)の宮本宏史氏は今後、こういった各地での様々なスポーツツーリズムに関する取り組みが広がっていくと予想する。

「地道に合宿やスポーツイベントの誘致といった活動を続けている自治体も出てきたので、今後面白い取り組みが増えていくと思います。すぐに結果が出るものでもないので、それを失敗と捉えてやめるのか、続けていくのかは分かれ道になりますね。」

東京オリンピックを始めとした一大スポーツイベントに合わせて人を呼び込むことも大切だが、それだけでは一過性に終わってしまう恐れもある。重要なのは人々に定期的に足を運んでもらえるかどうか。そのためにはイベントや大会招致、合宿の誘致などを早い段階で継続して行っていき、その地域とスポーツとの結び付きを積極的に発信していく必要があるだろう。

地方でスポーツツーリズム施策を成功させるためのポイントとしては“自治体側に専任の担当者がいるか”という点を挙げた。官民が連携して行っていく必要があるものがほとんどで、自治体の専任担当者の有無によってプロジェクトの推進力は大きく違ってくるという。さいたま市が成功した要因もここにある宮本氏は考えている。

一朝一夕にうまくいくものではないだろうが、これからより進んだスポーツツーリズムの成功事例ができ、日本において広くスポーツの社会的価値が認められることを願いたい。

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