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早川周作(琉球アスティーダ)。スポーツ経験ゼロの社長が、卓球界に起こす変革。

沖縄という土地柄を生かし、アジアのマーケットにも進出へ

–**琉球アスティーダの社長として、現在はどのようなことに取り組んでいますか?**

社長として今はスポンサー集めなどを行っていますが、スポーツはビジネスとして広げるのが難しい面もあります。普通の事業に比べれば、収益を上げることは容易ではないです。

Tリーグには台湾や韓国の選手も在籍しますが、沖縄でいえばインバウンドの興行収入も見込まれます。海外の有名選手が出場することによって、ツアーも組まれるはずなので、インバウンドやグッズ収入は増えていくと思います。

今後は卓球教室を10カ所くらいで展開することも視野に入れています。スポンサー収入だけに頼らないチーム運営をしていきたいですし、スポンサーばかり優先してしまうと、選手の獲得にも影響が出てきてしまいます。

初年度はもちろんスポンサースポンサー収入に頼らなければいけない面も出てきますが、徐々に地域に根ざしたチーム作りをやっていきたいと考えています。地域の方々とコミュニケーションを図りながら成長していければ嬉しいです。

–沖縄はスポーツの人気が高いのでしょうか?

実は沖縄は卓球人口が多い地域です。琉球アスティーダはもともと実業団の1部リーグで戦ってきましたが、福原愛選手の旦那さんがプレーする時には1,500人の観客が集まっています。県民のスポーツへの関心は非常に高く、バスケットボールのBリーグでも琉球ゴールデンキングスが一番盛り上がっていると思います。

参考:1万人収容の“魅せる”アリーナが描く「スポーツシティ・沖縄」の未来

私は琉球ゴールデンキングスのオフィシャルパートナーを務めていて、試合を最前列で観戦することもありますが、実際に見てみると沖縄のスポーツ界に大きな可能性が感じられました。

沖縄は正直、やることがあまりないんです。海で泳いでるのは県外の方ですし、沖縄県民はあまり海に入りません。紫外線で肌がボロボロになってしまうんです。県民は時間がある中でスポーツを楽しんでいますし、卓球はお金をかけなくてもできるという意味でも可能性はすごく大きいと考えています。

–**スポーツ界に進出してみて、どのような点に課題を感じますか?**

スポーツ界にはビジネス的な感覚を持った人間が少なく感じます。営業におけるメリットの出し方や、プレゼンの方法は上手いとは言えません。相手の心を動かしていかない限り、お金は生まれることはありませんし、ふわっとした部分だけを提示して、具体的な話ができない人間は多いです。

最終的に金銭に結びつかないとビジネスとは言えないですし、そのことは社内でも口酸っぱく伝えています。途中経過はどうでも良いので、結果を出せば良いからというのが口癖です。

スポーツ経験ゼロから新たなモデルケースを

–**早川さんが考えている今後の琉球アスティーダでの取り組みを教えてください。**

琉球アスティーダは、スポーツクラブとしてマネジメントもやろうと思っています。例えば10人の選手と契約をして、その10人に対してスポンサーを募っていきます。1人の選手にスポンサードしても、体調によって結果が出なかったりするじゃないですか。

それよりも私が面白いと感じる10人でメンバーを固めて、スポンサーを集めて、結果的に1つの競技や1人の選手ではなく、幅広い競技と幅広い選手層を抱えていきたいです。

ベンチャー企業でも、20社に投資して1社が大化けすれば良いですし、スポーツ選手であれば10人、20人のうち1人くらいはブレイクすると思います。そう考えれば、私たちが10人、20人の選手を抱えていて、1人ぐらいは当たるので、その可能性にかけて100万円ほしいといえば、スポンサーをしてくれる企業はあるのではないでしょうか。

卓球の選手はすごく努力しています。ナショナルチームに入って、あれだけの集中力で試合をこなして、世界中を飛び回っている選手も存在します。そういった選手たちに光が当たっていないことに違和感がありますし、ビジネス的に考えれば、然るべき努力をした人間にはリターンが生まれるはずです。

仮にマイナースポーツであったとしても、然るべき努力をした選手には然るべき報酬を与えるべきです。その仕組みを日本でも作っていかないと、スポーツをやりたいと思う人間がいなくなってしまいます。

-**まずは沖縄県民に愛されるチーム作りを進めていくのでしょうか?**

当然、地元の沖縄県民もターゲットとしていますが、アジアのマーケットへの訴求もすごく大きいです。アジアからインバウンドや物販の収入を得るだけでなく、台湾代表と琉球アスティーダで試合をやることも考えています。

日本で卓球をやっている人口よりも、香港や台湾、韓国、そして中国の方が人口は多いですし、アジアのマーケットにおいて知名度を上げていけば、琉球アスティーダでプレーしたい選手も増えていきます。

そうなれば、選手たちを世界大会にどんどん送り込んでいくこともできますし、エリート集団というイメージもついてきます。試合のエンターテイメント性を高めるためにも、DJや映像の演出もいろいろと考えていますし、沖縄テレビと協力して臨場感のある空間を作り上げて行きたいです。

まずは3億円のスポンサー収入を集めて、チーム運営を健全化するというのが1期目の目標です。卓球界の常識だけでなく、他のスポーツのモデルも参考にしていきたいと考えています。スポーツに関心のなかった私が、スポーツ界に変革を起こして、1つのモデルケースとなれれば嬉しいです。

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