“付加価値”で満足度向上。西武ファンを虜にする電子チケットの裏側
デザインチケットやビクトリーフォトにはSNSで反響が
Quick Ticketを成功させるモチベーションとなったのが、「五輪よりもレベルが高い」という声もあった有名な大会で、ガラガラの観客席を目の当たりにしたことだったそうだ。そんな現状に、河野氏は「ITの力で日本のスポーツは変えられるのではないか」と感じ、Quick Ticketを通してスポーツの価値を最大化したいと考えた。
それでは、実際にQuick Ticketはどのように機能しているのか。2018年シーズンの西武ライオンズでは、「来場者限定コミュニケーション」として、以下のような流れでLINEにトークを送った。
- 試合前日のリマインド
- 試合当日のゲームレビュー
- 来場後のWelcomeメッセージ
- 試合中の抽選企画参加のお願い→結果の通知
- 試合後(勝利時)のビクトリーフォトの配布
この企画をホームゲーム全試合で実施している。チケットは試合ごとに券面画像が変わる「デザインチケット」となっており、ファンのコレクション性を高めている。このデザインチケットが好評だったため、2019年からは全試合で異なるデザインを検討しているとのことだ。抽選企画の景品にはサイン色紙や招待券を用意した。
Quick Ticketや、それに付随するビクトリーフォトなどの特典は「全球団で導入してほしい」「おもてなしがすごい」など、SNSで様々な反響を呼んでいる。河野氏は「こういった声を集めていくことによって、徐々に座席が埋まっていく試合が増えるのではないか」と、今後のスポーツ界の変化に期待を寄せている。
スポーツ業界を変革させるために、河野氏は「ファンの体験を高め、主催者にしっかり儲けてもらう」ことが必要だと論じた。日本ではスポーツはビジネスではなく、体育として捉えられがちだが「スポーツはお客さんを楽しませてくれるし、勇気を与えてくれるものなので、もっと投資されて良いはず。投資されれば、今後さらに良いコンテンツが生まれてくる」と、スポーツがビジネスとして成り立つべきであると主張している。
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