なでしこは、ピンクリボンを支援する。社会の一員としてのサッカー選手
選手と社会との接点を作りたかった
運営側からすると、どうしても選手たちに対して「こういうことをやろうと思うから、協力してほしい」と一方的な依頼になってしまう。「本業であるサッカーに影響が出るのでは」と思う選手もいるんじゃないかと、不安な部分もありました。
しかし、実際はその真逆でした。選手たちも監督も、「ぜひやろう」と言ってくれたんです。自分たちは社会の一部。だからこそ、社会課題について発信していく意義がある。そういうことを改めて確認できました。今回の取り組みは、チームへの意識づけにすごく寄与してくれたと感じていますし、選手自身がどう変化していくのかも大切にしたいですね。
選手たちは、ピンクリボンについての知識をほとんど持っていませんでした。聞いたことはあるけど知らない、そもそも聞いたことがない、など。そういう選手たちに、「社会にはたくさんの課題がある」という気づきを持ってもらいたいと考えています。
彼女たちは、1週間のほとんどをサッカー選手として過ごしていますよね。そんな生活の中で、希薄となりがちな社会との接点を作りだし、社会課題を共有してほしかったんです。
いざ始まってみると、思っていた以上に選手たちから反応がありました。「こういうことができるのでは」「もっとこうしたほうがいい」と、彼女たちのほうから関心を示してくれたんです。選手たち自身も、0が1になった感覚を持ってくれました。
サッカー選手として、そして社会の一部として、できることは何なのか。そういったことを考えるきっかけになりましたし、自覚が芽生えた手応えはありますね。
“サッカー選手”は特別ではない
なでしこリーグがプロ化するとなると、選手を取り巻く環境は大きく変わっていきます。社会の一部であるという自覚が、今まで以上に求められます。サッカー選手とは、特別なものではない。生活の基盤が社会の一部としてあって、社会課題に対して目を向ける必要がある。そのことを、浸透させていかなければなりません。
今後も、社会的に意義のある活動を続けていきたいと思います。日本は先進国の中でも遅れをとっていて、未だに女性の地位向上が謳われています。JFAでは2019年から、3月8日の国際女性デーに合わせて、同日を「女子サッカーデー」とすることとしました。今はこの日に向けて準備を進めているところです。
海外だと、女性がリードしているコミュニティはたくさんあります。2020年の東京五輪、2021年のなでしこリーグプロ化、2023年のW杯(※現在招致活動中)と大きなイベントが続く中で、なんらかの形で“女性がより輝ける社会づくり”を強く発信していきたいですね。
さまざまなスポーツがある中でも、やっぱりサッカーが一番でありたいという思いが強いんです。サッカーで世の中を変えていきたいというのは、サッカー協会の人間としては欲としてあるんですよね。これからも、なでしこジャパンだからこそ社会に対してできることは何なのか、日々向き合いながら日本の女子サッカーを世界にアピールしていきたいです。
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