【テキスト版】CROSSOVER「STANCE」深堀圭一郎×荻原次晴

輝きを放つアスリートたちは、どのようにして頂点を極め、そのときに何を感じ、そして何を手にしたのか―― 。

自身もプロゴルファーとして活躍している深堀圭一郎が、スポーツ界の元トップ選手や現役のトップ選手たちをゲストに招いて、アスリートたちの深層に迫る、BS無料放送『クロスオーバー』連動企画のテキスト版。

そこから垣間見えてくる、ゴルフにも通じるスポーツの神髄とは? 第10回目のゲストは荻原次晴さん。

※敬称略

浮遊感がたまらずジャンプ競技をスタート…中学でノルディック複合に転向し兄と共に活躍!

深堀:今回はノルディックスキー複合で長野オリンピックに出場された、荻原次晴さんをお迎えします。次晴さんは、小学校5年生のときに地元のスポーツ少年団に入られ、スキージャンプを始められたそうですが、何かきっかけがあったのでしょうか。

荻原:3歳からスキーを始めたのですが、もともとはゲレンデでアルペンをやっていたんです。ところが、速いスピードで滑っているだけでは物足りなくて、コブを使って体を浮かしたりしていました。その時の浮遊感が、たまらなかったんです。もしも、今始めていたら、すごく怖いと感じると思います。子供のころは恐怖心よりも、好奇心の方が強いですから。そういう時期に「少し恐怖を感じるスポーツ」をやっていたからこそ、後々成長できたと思いますね。

深堀:双子のお兄さんの健司さんよりも先に、スキージャンプを始められたそうですが、理由はあるのでしょうか。

荻原:僕ら双子は、小学校1年生になると冬はゲレンデでスキーをして、夏は体操教室。そこで、マット運動や跳び箱などをやってました。体操教室は厳しくて「少し大変だな」と感じ始めていたころ、友達がスキージャンプをやっていて、「キャーキャー」いいながらすごく楽しそうでした(笑)。それで「ジャンプの方が面白そう」と、すぐに行ったんです。健司は、少しズルいところがあって新しいことは、先に僕にやらせるんですよ(笑)。「次晴が楽しそう」なら、自分もできる、みたいな(笑)。例えば、僕は「石橋を叩いて崩れかけても、上手く通れば向こうへ行ける」と考えます。ですが、健司は「石橋を叩いて絶対に大丈夫なこと」を確認しても、橋を渡らずに進むタイプですね。

深堀:地元の中学校に進学されて、このときにお二人ともノルディック複合に転向していますが、理由は何だったのでしょう。

荻原:中学に入学すると同時に、コーチから「君たちはジャンプがうまくないから、クロスカントリースキーを練習してノルディック複合をやってみなさい」といわれて。

深堀:コーチが、荻原さん兄弟の適正を見抜いていたんですね。

荻原:全国を回った経験などから、「草津の子供たちはスキージャンプでは勝てない」とコーチが感じたようです。実際、僕の同世代には原田雅彦さん、船木和喜さん、葛西紀明さんら、錚々たるメンバーがいましたから。いわゆる札幌五輪の後の世代ですね。それと、僕ら兄弟が長距離を「そこそこ走れた」のも勧められた理由かも知れません。

深堀:コーチが選手の長所を見抜き「何の競技に向いているか」考えていたのですね。中学時代は2度全国大会に出場し、準優勝(優勝は兄の健司さん)。さらに地元の高校に進学後もインターハイに出場。日本代表のジュニアメンバーに選出など、お兄さんと一緒にノルディック複合で活躍されました。やはり当時の練習は相当ハードでしたか?

荻原:そうですね。授業が終わってからはずっと練習でした。夏休みは、朝練などもあって。高校生のとき、ジュニアの日本代表チームに選ばれた際は月に1度は必ず北海道で合宿があり、トレーニングも行っていましたね。

深堀:ジャンプは瞬発力だと思いますし、クロスカントリーは持久力。それぞれの特長も含め、練習の関連性はどうなのでしょう。

荻原:例えば1日をトレーニングに使える場合、午前中にジャンプ練習、午後にクロスカントリースキーのトレーニングを行います。その合間にバーベルなどでフィットネストレーニングをしたり。

深堀:当時、ガス抜きになるような趣味や楽しみはありましたか。

荻原:海外のブラックミュージックやラップを聞くのが好きで、そういったミュージシャンのファッションを真似していました。

深堀:いろいろな面で好奇心が旺盛だったんですね。次晴さんは中学、高校とトップクラスの選手でしたが、大きな大会での優勝経験はなかったと思います。健司さんは中学3年生のときに優勝されていますが、当時はどんな心境でしたか?

荻原:意外と悔しさはなかったですね。例えば、全国大会に一緒に出場して健司が優勝すれば「同じ家にトロフィーが飾られる」わけです。それを見ていると、半分は自分が取ったような気になるんですよ(笑)。今振り返ると、それがよくなかったと思います。全国大会に出場して、ある意味「その場のノリ」で競技をしても表彰台に上がれていたので、「悔しい」という気持ちが一度も芽生えませんでしたから。

深堀:次晴さんは、きっと器用な方なんでしょう。

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