最高の一瞬『土壇場のFK_静岡学園(サッカー)』

南野のときは選手のアップ写真を狙っていると話しましたが、昔はゴールの瞬間の決定的なシーンを撮ってくれというリクエストが多かった。これは先日の高校サッカー選手権決勝の決勝ゴールの場面。非常にいいシーンが撮れたと思って、選ばせてもらいました。

高校サッカーもずっと撮ってきていますが、かつてサッカー王国と言われた静岡県の代表は、ここのところ早期敗退が続いていました。それだけに王国復活といわれたこの静岡学園の優勝は、静岡出身じゃないけどうれしいような感覚がありますね。

この静岡学園と青森山田の試合は、私が撮影してきたなかでも5本の指に入る好ゲームでした。青森山田が2点リードしましたが、静岡学園も前半と後半に1点ずつ返して、同点のまま試合は終盤に。

「延長になるかな?」と思ったんですが、静岡学園にFKがあった。ゴール前にボールがくるから、短いレンズに持ち替えて、ゴール前にピントを合わせて狙っていました。そうしたら、目の前で静岡学園の選手がヘディングシュートを決めた。とっさに撮ったんですが、うまくいきました。

ゴールを決めた選手が、ゴール前の密集を抜けてマークを外している様子がよくわかるし、ヘディングした瞬間のボールもゴールもうまく一枚に収まった。最近はゴールシーンをとくに狙っているわけではないですが、こうしてうまく撮れるとうれしいですね。

▼木鋪虎雄(きしく・とらお)

1962年、長野県飯山市生まれ。写真学校卒業後、大阪のカメラマンに弟子入り。その後、朝日新聞社、学研などでスポーツ写真の世界に魅了され、現在はサッカーを中心に、ラグビー、バスケットボール、高校野球などを撮影。サッカーではW杯3回取材。

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