最高の一瞬『驚嘆のテクニック_リカルジーニョ(フットサル)」

リカルジーニョというポルトガル人選手が、Fリーグの名古屋オーシャンズでプレーした時期があります(2010‐11、2012‐13シーズン)。日本でプレーしたあとは、世界トップのスペインリーグでプレーし、MVPを獲得したほどの選手でした。足ワザのレベルが段違いで、驚異的なボールテクニックの数々で日本を沸かせました。

こんなシーン見たことありますか? ボールを持ったと思ったら、球に乗り始めてストップしたんです。「えーっ!」って思って(笑)。周りも一瞬凍りついて、止まったんですよ。結構時間が経ったような気もするんですが、相手選手が寄ってきたときに、ボールから降りながら左足裏で後ろにパスしました。

こんなのだから、最初に見たときから「これは、すごい!」と思って、それから追っかけのように、名古屋をはじめ全国各地へ彼のプレーを撮りに行きましたね。仕事依頼されていた専門誌では技術モノのページもあったので、もうリカルジーニョがピッチに出てきたら、シャッターを押しっぱなしでした。この球乗りは撮れて、「やった! 取ったぞ!」って感じ。なかなか正面からうまく撮れるものじゃないんです。

ボールを持っていないときの動きも、速くてすごかった。相手の股を抜いたパスなんて、まさに針の穴を通すようでしたよ。パスを出した瞬間は、まだ相手の股は空いていないんです。でもそのあとに相手が動いて股が空くと、ちょうど足の間をボールが通る。そういうパスを出すんですよ。相手の動きを読んでいるんですよね。

▼高橋 学(たかはし・まなぶ)

1975年、福島県福島市生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科でスポーツフォトを専攻。1996年より(有)ジャパンスポーツで実績を重ねてフリーランスに。現在はサッカー、フットサル、陸上、フィギュアスケートなど様々なスポーツを取材している。

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