ランニングウエア『オドロ』

コロナ禍による緊急事態宣言が出たことで、この国はこれまで経験したことがない日常生活を送ることになった。生活するために最低限必要な外出以外は慎んで、自宅で過ごす。そんな中で、規制が厳しかった海外でも、スーパーマーケットで食料を調達するといった事柄とともに、ジョギングも認められる外出の中に含まれていた。

外出自粛のため、家から出る機会は驚くほど減ったのだが、街の空気を感じるわずかな時間の合間に、ランナーの走る姿をよく目にした。もちろん巣ごもりによる運動不足を解消するという理由もあったのだろうが、走ることでメンタルがポジティブな方向に向かうというジョギングの効能に気づいた人も多いはずだ。

これまでも多くのランナーたちが街や公園を走っていたわけだが、この数カ月を経て、さらに走ることを愛する人は増えるに違いない。そしてマスクを外して心おきなく走れる日を待ちわびているはずだ。

今回紹介するのは、トップアスリートからビギナーまで幅広く対応する、オドロのランニングウエアだ。このオドロというブランドをご存じだろうか。近年、スポーツやアウトドアシーンが注目されることで、日本では馴染みが薄いが、海外での評判の高い実力派ブランドが相次いで登場した。このオドロもそのひとつで、2年前に日本に本格上陸した。

ブランドが誕生したのは1946年。ノルウェーのオスロで産声を上げた。最初に脚光を浴びたのが、クロスカントリースキーのレーシングスーツだ。その後、本拠をスイスに移したあと、アウトドアやさまざまスポーツシーンに向けた高機能アンダーウエアをはじめ、画期的な素材を投入して、ファンクショナルなスポーツウエアを次々と開発。ヨーロッパを中心に高い評価を受けている。

だがランナーたちが関心はランニングウエアよりも、むしろシューズに集まる。パフォーマンスに直結し、その技術革新も著しい。一方でランニングウエアに関するニーズはシューズの陰に隠れてしまいがちだ。確かに休日の近所の公園を思い起こすと、ランナーたちが身に着けているものから、ランニングウエアのイメージや共通項というのはなかなか見つけにくい。

だがオドロは走ることを楽しむ第一歩はランニングウエアにあると考えている。そのためにはランナーをサポートする機能性が不可欠となる。たとえば吸水速乾性もそのひとつ。これからの季節、一気に流れ出す汗は不快感をもたらすだけでなく、汗冷えによって体を冷やしたり、汗を吸収してウエアが重くなったりと、ランナーのパフォーマンスに影響を及ぼす。そのためランニングウエアは汗を速やかに吸いとり、その水分を乾燥させることが求められる。

またウエアの通気性も重要なファクターといえる。走るにつれて熱を帯びた体をクーリングするためには必須の機能であり、吸水速乾をスムーズに行うためにも優れた通気性は欠かせない。

そして長い時間走り続けるためには、ストレスを感じさせないフィット感も必要となる。そのためには体の動きを妨げない伸縮性もしっかり担保されていなくてはならない。またウエアそのものが軽量であることも大切だ。

こうした機能を満たすために重視されるのはウエアに用いられる素材だ。オドロはこれまで、水分調整機能をもつ軽量ニットや、セラミックの冷却特性を生かす技術など、新たなテクノロジーを取り入れた素材を数多くのスポーツウエアに導入してきた。その間に培われたさまざまなノウハウがランニングウエアにも継承されている。

そのひとつの例が上のDual Dry防水ジャケットだ。20,000mmの防水性と50,000gの透湿性というハイスペックが自慢だ。その優れた透湿性によって、いかなる天候においてもランナーをきっちりとサポートしてくれる。その実力は世界最大級のスポーツ、アウトドア用品・アパレルの見本市であるISPO(イスポ)において、最優秀賞である金賞を受賞したことからもうかがうことができる。

だが注目すべきはそうした高いスペックだけではない。防水性や透湿性を高めるために、ウエアの耐久性などを犠牲にすることはできない。軽量なウエアであることも譲れない部分だ。往々にしてこうした高い機能性は互いにトレードオフの関係にある。先端のテクノロジーを見つけ出すのも容易ではないが、新たなテクノロジーとほかの必要不可欠な機能とを、高いレベルで両立させるのも実は至難のワザだ。ここにもオドロのランニングウエアの高いポテンシャルが秘められているのだろう。

とはいえこうした高機能だけで、広がりを見せるランニングムーブメントのすそ野までキャッチアップすることはできない。ファッションシーンにおいて、スポーツウエアのエッセンスがボーダーレスでミックスされつつある昨今、ストイックに走るためだけでなく、ファッションの視点にも応えてくれるウエアであることも重要な要素なっている。

オドロのランニングウエアは、ヨーロッパではプレミアムなランニングウエアと位置づけられているという。なるほど過度なデザインを排したシンプルでモダンなルックスはそんなイメージにふさわしい。またカラーのアレンジも巧みで、ドメスティックなスポーツウエアにはない洗練が感じられる。

走ることが単なるエクササイズではなく、ライフスタイルの中で欠かせない時間となっているのなら、こうしたファッションコンシャスなウエアを着たくなる。これもオドロのランニングウエアが選ばれる理由のひとつかもしれない。

そしてオドロのランニングウエアが新たに目指すのは、機能性をさらに高めるだけでなく、リサイクル素材を利用して、環境負荷を軽減することで、持続可能な製品を生み出すこと。もちろんコンセプトであるゼロディストラクション(ランナーに不快感を覚えさせない機能性とフィット感)がぶれることはない。オドロがランニングを楽しむための第一歩であるととらえるランニングウエアは、さらなる進化を見せるに違いない。

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