最高の一瞬『連覇のガッツポーズ_北島康介(水泳)』

これは北島康介選手が北京オリンピックの100m平泳ぎで金メダルを獲り、オリンピック連覇を果たしたときの写真です。

後ろにアレクサンドル・ダーレ・オーエン選手が写っていますが、このときは彼の調子が大変よくて、北島選手は彼に届かないのではという声が聞かれたのですが、そんな不安をいとも簡単に払しょくするくらいの痛快なレースをしました。多分、このときのレースが彼のベストだと思いますね。

このくらいのガッツポーズというのは、オリンピックでしか見せないんです。北島選手はあまり大きなガッツポーズはしないタイプなんですが、こんなおへそまで飛び出るような大きなアクションは珍しい。

特に、一度オリンピックで金メダルを獲った選手は、その後は少々の大会だとなかなか喜んでくれないというのがあります。やはりオリンピックが最高の大会ですから、そこで金メダルを獲れば自分の中でハードルが上がりますし、次を目指すモチベーションを維持するのも難しい。

そういう意味ではこの連覇での喜びはすごく印象的です。オリンピックはここまでの表情を選手に与える大会なんだなというのを、思わされるシーンですね。

水泳は個人スポーツなので、自分との戦いが本当にある世界です。そういう部分のストイックな感じ、追い詰められたときの苦しさ、趣がチームスポーツとは違うと思います。それだけに、選手を人として追いかけられる面白さ。人の成長をフォローしやすい面白さがあります。

▼藤田孝夫(フジタ・タカオ)

1964年、香川県三豊市生まれ。小学、中学、高校と、明けても暮れても野球の日々。そんな環境下、なぜかTVで観たオリンピックに心惹かれ、後にスポーツカメラマンを志し上京。オリンピックを目指すアスリートを主体に撮影。1985〜1990年(株)フォートキシモト スタッフフォトグラファーとして在籍後、1991年〜フリーランス。オリンピックは1988年カルガリー大会から2018年平昌大会まで夏冬17回連続取材中。

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