最高の一瞬『しびれる瞬間_大迫傑(マラソン)』

今年の3月1日。男子マラソン大迫傑選手の、2020年東京マラソンでの優勝シーンです。

東京オリンピックの代表選考レースだった、マラソングランドチャンピオンシップ(19年9月)で3位に終わった大迫選手。

新型コロナウイルスの問題が表面化し、東京オリンピックの開催問題も話題になり始めた不安な状況。そして日本新記録の日本人トップでなければ、代表に入れないプレッシャーのなかで、2時間5分29秒の日本新記録で優勝。最高のパフォーマンスを見せてくれました。

久しぶりに「しびれる瞬間」をファインダー越しに捉えたような気がします。マラソンはいろいろな撮り方がありますが、この時は日本新記録のガッツポーズを撮るという狙いで、ゴールで待っていました。

大迫選手は、早稲田大学での箱根駅伝の時から有名人でしたが、知り合いの記者に聞くと、当時からもう世界しか見ていなかったとか。卒業後、アメリカに渡って活動するなど、通常の日本人選手とは違う道を自分で作り、男子マラソン界に新しい扉を開けてくれました。

ピアスもつけておしゃれですよね。男子マラソンでもこういう選手が現れたかという感じで、選手のステイタスを上げてくれた存在です。

残念ながらオリンピックの開催が延期になりましたが、彼の言動が今後の男子マラソンにとってプラスになっていくのを期待しています。

▼中村博之(ナカムラ・ヒロユキ)

1977年7月10日生まれ、福岡県出身。17歳の時に近所の本屋で手に取った、サッカー三浦知良選手の写真集『KING KAZU』を見てスポーツフォトグラファーを志す。1999年2月にスポーツフォトエージェンシーの『フォート・キシモト』に入社し、2011年3月からフリーランスとして活動。

初めてのオリンピック取材は2000年シドニー夏季大会で、その後夏冬合わせて8大会を取材。また、世界陸上選手権大会や世界水泳選手権大会などの取材を続けており、世界水泳選手権では、2015年カザン大会からFINA(国際水泳連盟)のオフィシャルフォトグラーを務めている。

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