アウトドア『ホールアース_クラムチェア』

旅行に出かけるのもままならず、帰省すら思うに任せない。なんとも窮屈だった今年の夏。徐々に元に戻りつつあるのだろうが、まだまだこうした新しい生活様式を継続しなくてはならなそうだ。そんな中で、キャンプやBBQといったアウトドアを楽しむライフスタイルは、コロナ禍の中でも変わらず人気を集めている。アウトドアグッズの売り上げは、昨年よりも伸びているという。

もちろん、こうした状況を迎える以前からオフタイムを、アウトドアで過ごす人は多かった。そこに密を避けて、自然の中でリラックスするというのは、コロナによるストレスを忘れられる貴重な時間となったわけだ。その表れとして、オートキャンプ場が賑わっているというニュースや、“おうちキャンプ”や“ワーケーション”といった、アウトドアと関連したトレンドワードを耳にすることも増えてきた。

アウトドアというのはアウトドアアクティビティの略。街中を離れて自然の中で行う活動を指すもの。サーフィン、スノーボード、トレッキングなど、さまざまなアクティビティが含まれるのだが、誰でも楽しみやすく、人気が高いのはキャンプとなるだろう。家族や仲間と過ごすキャンプは、気軽に非日常を楽しむことができる。

今回紹介するのは、そんなキャンプには欠かせない椅子「クラムチェア」だ。もちろん屋外での使用を想定しているものの、自宅の中でもスマートに使えるファニチャーでもある。手がけたのは「ホールアース」。アパレル(最近は同ブランドのマスクも注目を集めた)からテントまで扱う総合アウトドアブランドだ。“ALL Playing Field”をコンセプトにアウトドアから日常生活まで楽しんでもらえるアイテムを発信している。

この「クラムチェア」は、昨年登場した前作にあたる“マーメイドチェア”の進化版だ。クラムチェアに引き継がれたのは、アウトドアで利用できるリラックスチェアというスタイル。共通するコンセプトは“イン&アウト”。つまりアウトドアで利用する椅子なのだが、活躍するシーンは、大自然を満喫するキャンプだけではなく、フェスの会場、河原などでのBBQ、自宅の庭やベランダを利用したおうちキャンプ、さらにはこだわりのインテリアとしてリビングルームにも置かれる。実に多岐にわたって活躍する椅子なのである。

こうしたコンセプトをもった前作は人気を集め、この春、この「クラムチェア」の登場となった。さらに昨今、自分が手元に所有するモノをできるだけ減らしたいというミニマリスト的な風潮と、リビングルームでも違和感なく使える「クラムチェア」のもち味が、シンクロしたことも追い風となった。

前作と「クラムチェア」に共通する、座面がソファーのようなボリューム感をもったラウンド型のデザイン。自然の中で癒され、同時に自宅にいるかのようにくつろげる。それを体感させるのが座面に用いられた中綿だ。だがそのボリュームには気を配った。

中綿が少なすぎては、ソファーのような座り心地を再現できない。だからといって、中綿を増やし過ぎると、収束するときに脚をきっちりと閉じることができず、キャンプに携行するには適さない。中綿のベストなバランスを見極めるために試行錯誤を繰り返したという。

そしてこの「クラムチェア」は、座って長時間くつろげるように、食事がしやすくなるようにと新たな改良が加えられた。そこでもっとも重視したのがヒジかけの部分。当初はヒジかけに置いた腕がパイプにあたってしまい、そこに違和感が生じて、十分にくつろぐ感覚を得ることができなかった。

そこで訪ねたのがインテリアショップ。耳にしたのはヒジかけに腕を置いて座れるだけで、椅子に座っている時間は長くなるというアドバイスだった。さっそく仕様を変更して、より腕を置きやすく、さらに腕がパイプに触れないように、生地でパイプを隠すような構造となった。また座面の角度も食事をしやすいように、深すぎず、浅すぎずの絶妙な角度に調整。またコンパクトで持ち運びがしやすいように設けた収束ベルトや持ち運び用のハンドルも、前作同様に引き継がれた。

前作よりもやや高くなった座面は背面面積が大きく安定感は抜群。快適な座り心地を目指して中綿を入れた座面は、よりソファーを意識したキルティング生地を採用することでゆったりと座れるようになった。同時に自宅のファニチャーとしても満足できるルックスになっている。

非日常から日常まで応用できる「クラムチェア」は、「ホールアース」の特徴である、レジャーキャンプ派やアウトドアエントリー層を意識した性能や使いやすさを備えて、購入しやすい価格となっている。この「クラムチェア」に座ったときにわかるリラックス感は、現代のアウトドアライフに求められるニーズに対する、ひとつの答えなのかもしれない。

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