サッカー『PUMA_FUTURE Z 1.1 FG/AG』『PUMA_DEVIATE NITRO』

豪快なシュートがゴールネットを揺らす瞬間に心が躍るのは、プレーヤーでも、観衆でも変わらないサッカーの醍醐味。だがそこまでのプロセスにあたる、ボールを敵に奪われたあと、攻撃から守備への切り替えの早さや、適切なパスコースを作るための細かなポジショニングの修正、サイドのプレーヤーの上下にわたる豊富な運動量なども、チームや、プレーヤーのクオリティを示すものとして、観衆にも認知されはじめている。

そこでキーとなるのが“アジリティ”という言葉だ。敏捷性、俊敏性を意味する。よく海外のサッカー指導者やメディアが、日本サッカーの武器であると語るのが、この“アジリティ”である。またサッカーのトレーニングで目にする、プレーヤーが地面に梯子をおいて、ステップを踏むラダートレーニングや反復横跳びなどは、その“アジリティ”を高めるためのものだ。トッププロからアマチュアまで、現代の流れの早いサッカーには欠かすことのできない要素とされている。

こうした“アジリティ”を支える加速・減速、方向転換、それにつながる重心移動などを素早く、正確に行うために必要なのはトレーニングの積み重ねだけではない。実はスパイクが担う役割も大きい。今回紹介するプーマの「FUTURE Z 1.1 FG/AG」は、アジリティを前面に押し出して開発された前作をさらに改良。フィット感などを高めて、筋力や、踏み込み、蹴り足の強さを俊敏性に還元できるスパイクとなっている。

このスパイクが脚光を浴びたのは、昨年12月のヨーロッパチャンピオンズリーグでネイマールがはいていた白いモデル。この白はネイマール向けに作られた限定モデルだが、カラー以外はこの「FUTURE Z 1.1 FG/AG」と変わらない。その独特なフォルムやデザインが多くの人々にインパクトを残した。

このサッカーシューズを手がけた、プーマのシニアプロダクトラインマネージャー チームスポーツフットウェアのネメッツ・フロリアンさんはこう話してくれた。

「私たちの目標は、フットボールに革命を起こすこと。そのためには敏捷性が非常に重要であると考えました。そこで求めたのは完璧なフィット感を提供できるスパイクです。それによって試合を支配して、スキルを次のレベルに上げることができるようになると」

この「FUTURE Z 1.1 FG/AG」の最大の特徴が、アッパー中足部にある“FUSIONFIT+”と呼ばれるコンプレッションバンド。締めつけ感のないナチュラルなはき心地で、足を包み込むような完璧なフィット感を実現する。さらにニットアッパーや足入れ部分のソックス風の構造が調和して、急加速や素早いターンなどあらゆる場面での動きを、瞬時に筋肉からグラウンドへ伝えてくれる。

このバンドは特殊なストレッチ糸から作られており、伸縮性や耐久性に優れている。そのため、甲の高さを問わず、抜群なフィット感は変わらない。さらにマイクロファイバーのアッパーは、軽量化には適していたものの、フィット感においては、重いレザーアッパーにかなわないという弱点を、この“FUSIONFIT+”を用いることによって解消。軽量化とフィット感を両立できるようになったのだ。

もうひとつ“アジリティ”の向上のために考えられたのが“DYNAMIC MOTION SYSTEM”と呼ばれる軽量なアウトソール。プレー中に繰り返される切り返しや急激なターンの際に、しっかりとプレーヤーの力を地面に伝え、さらに地面に食いつくことができるように、ねじれを意識して設計されている。またモデル名のZを思わせるソールのデザインは、コンプレッションバンドと並んで、このスパイクのアイコン的な存在となっている。

またブランドやモデルによって微妙に異なる、アウトソールのスタッズの形状や配置は、セリエA・ACミランのメディカルチームからサポートを受けながら開発された。このアウトソールの実力はテストで数値にも表れている。「FUTURE Z 1.1 FG/AG」と従来のシューズをはいて、20mの敏捷性を比較したところ、従来のスパイクよりも平均3%のスピードアップが記録された。

サッカーの基本となるボールを蹴る動作にも、もちろんこだわりを見せる。アッパー素材であるマイクロファイバーはレザーより表面が滑ってしまう。そこでアッパーの前足部、キッキングポイントに施された“GRIP CONTROL PRO”が強いグリップ性能を発揮する。スパイクを通して伝わる、ボールの感覚をサポートしてくれるのが、“GRIP CONTROL PRO”の繊細な凹凸の役目。これによって正確なボールタッチ、多彩なボールコントロールが生み出される。

約20カ月という時間を費やして誕生したこの「FUTURE Z 1.1 FG/AG」。ネメッツ・フロリアンさんは振り返り、こう語る。「素晴らしい開発チームとのエキサイティングな旅でした。こうしてプレービジョン、スキル、試合を変える動きでゲームを支配するプレーヤー向けのスパイクが生まれました。きっとみなさんを夢中にさせますよ」

プレーヤーを魅了する新たな創意工夫が込められたサッカースパイクには、固定概念にとらわれず常に進化を追い求める、プーマが掲げるFOREVER FASTERというスピリッツが色濃く反映されている。これはプーマのプロダクツに共通するメッセージ。文字通りFASTER=早く走るためのランニングシューズからも、このメッセージをうかがうことができる。

今回もう一足取り上げるのが、プーマの新作厚底系ランニングシューズ「DEVIATE NITRO」だ。最新のクッショニングテクノロジーとカーボンプレートによって、ランナーのスキルを問わず、早く走っているという実感を味わえる。

その最大の特徴はミッドソールにある。“NITRO FOAM”と呼ばれる新開発フォームは、従来のEVAと比較して50%軽量化され、中にはカーボンプレートが装着され、梃子の働きを応用して、着地から蹴り出しまでのパワーを最大化する仕組みだ。これによってクッション性と反発性が高いレベルで両立している。接地時に地面を押してくれるようなクッション性と安定感、前足部に体重がのったときに、カカトを押してくれるような反発から、前進していこうとする力をリアルに感じることができる。

またバイオメカニクスの研究と多くのテストを経て生まれた、新たなラストの優れたフィット感は、アッパーに採用された、高い通気性をもつ柔らかなエンジニアードメッシュの効果と相まって、長距離のランニングでも快適にこなせる。

はいた瞬間に違いがわかるのは、目覚ましい技術の革新があればこそ。そして走り出せば、それが高いパフォーマンスにつながることも実感できる。この「DEVIATE NITRO」にもFOREVER FASTERの精神が息づいていることは、ランナーならばすぐに気づくはずだ。

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