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【日本女子代表/WEB取材】木暮賢一郎監督が考えるコロナ禍のチームビルディング。「FPは今回と次回で32名の招集を予定しています」


4月22日から25日まで、千葉県・高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングキャンプを行った日本女子代表。2020年10月以来、6カ月ぶりとなった活動を終えて、監督や選手は何を感じたのか。25日、4日間のトレーニングを終えた木暮賢一郎監督がオンライン取材に応じた。

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ユース五輪に出場した選手が日本代表として最も大きな成果を出した

──トレーニングキャンプを終えて。

まずは、このような状況下でありながら、昨年10月ぶりに開催できたことに感謝しています。選手たちの、代表活動をやりたい、大好きなフットサルをやりたいうという前向きな姿勢が伝わる4日間でしたし、チーム全体として有意義な時間を過ごせました。今回の開催にあたり尽力してくださった方々、選手、スタッフ、関わるすべての人に感謝しています。

──今回の活動の狙いやメンバー選考をどのように考えていたのでしょうか?

一言で言えば、ラージリストの拡大と、いつ大会があってもベストなメンバーで、ベストな状態で準備をすることです。キャンプ前には、選手ともZOOMを使ってミーティングをしました。今回のキャンプと、(近日開催予定の)次のキャンプのメンバーは、フィールドプレーヤー(FP)をすべて入れ替えます。GKは全員を入れ替えるわけではないですが、FPは2回で合計32名の招集を予定しています。その意図としては、2018年に自分が監督となってから継続してきましたが、これまでは大会や親善試合などに紐づいた活動がほとんどでした。

リーグで活躍している選手や、代表活動で見てみたい、昨シーズン、パフォーマンスを著しく上げている選手など、日々、リストを更新し、いろんなプランニングがあるなかで、呼びたくても呼べていなかった選手もいます。現在、大会(AFCフットサル選手権)が何度か延期となっている状態なので、試合に紐づいたものだけではなく、年間を通して強化を図りたいという思いで進めてきました。2021年は、こういった状況下ですが、数回の活動を確保できています。そういった背景のなかで、今回と次回については、多くの選手を呼んで、次に向かうための競争を行いたいと選手にも伝えています。

──今回と次回のキャンプにおいて、どのような基準で選手を招集しているのでしょうか?

大枠にある、代表のプレーモデルを継続しようということよりも、個人戦術や技術など、個人のレベルアップにフォーカスするアプローチを考えています。前回の国内キャンプでは、バルドラール浦安ラスボニータス、フウガドールすみだレディースとの試合があったので、常に最終日の対戦から逆算してトレーニングを実施しました。プレシーズンの時期に行う今回のキャンプでは、紅白戦しかしていません。セットプレーやサインプレーの割合は、緊急に必要なものではないので少なくして、選手の個人技術や決断、ポテンシャルの発揮、女子全体で抱えている課題への向き合いと解決を考え、代表チームのプレーモデルとのバランスのなかで組み込んで行いました。

選手選考については、ポジション、経験値や世代、クラブとのバランスを考えています。各クラブは、プレシーズンの時期でもあるため、代表活動によってクラブの活動が止まってしまわないようにという考慮もしています。コロナ禍で普段のようなコミュニケーションは取れないものの、経験のある選手と初招集の選手のバランス、過去にアジア選手権を戦った選手、代表に呼ばれた経験のある選手、新しく呼ぶ選手などを、次の合宿を含めてトータルに考えています。今回呼ばれた選手のほうが良いとか、次が主力であるとか、そういった意図はありません。海外での公式戦の経験がある、海外遠征に参加したことがある、国内合宿のみ参加したことがある、初招集、ユースオリンピックを戦った選手など、いくつかのグループを組み合わせて、全体感のなかで、今回と次回の2グループに分けています。

──本来は2月に実施する予定だったものが中止となり、このタイミングでの今年初の活動となりました。

代表チームの継続的な活動は、年間を通してある一定のスパンで行うことが大事です。集中的な開催よりも、数カ月に1回など、状況にもよりますが、1年を、3、4回のスパンに分けて行うという計画をしていました。そのなかで、大会に紐づいたキャンプの開催も予定していましたが、本来は、年間を通して満遍なく行えることを考えています。

──当初、5月に開催予定だったアジアインドア&マーシャルアーツゲームズは、海外の報道では延期が決定しているようなので、現時点で予定されている大会は、9月のアジア選手権ということでしょうか。

選手にも伝えていますが、いつどの大会が行われるかということは、噂や、こうなるだろうという情報もありますが、我々のマインドとしては、仮に明日大会があると言われてもベストな状態で準備しておくということ。もちろん、現実的には明日戦うことはできないですが、そうした不確定要素があったとしても、常に最善の準備をしておくということです。公式の発表があればそこからプランニングしていきますが、不透明な情報に左右されてストレスを感じるのではく、当然、早く大会があってほしいという思いはありつつも、現場ではきたるべきターゲットに対して万全の準備を怠らずに、継続的に準備することが大事だと考えています。リストを拡大することや、代表のマインドに一人でも多くの選手が触れたことがある、一緒に練習したことがある選手を、15人よりも30人にしておくということは、準備の観点でも必要です。日本リーグでコンスタントに結果を出している選手、パフォーマンスが良かった選手にチャンスを与え、一緒に練習できる機会をつくることが、今の時点では必要だと思っています。

──次回のキャンプはプレシーズンの間に開催しようという計画でしょうか?

リーグ日程へのリスペクトがありますし、我々がアダプトすることを前提にしつつ、期間を空けずに開催することを考えています。今回はプレシーズンに行い、次がシーズン中に開催することになった場合、強度や内容も考慮しないといけないですが、大事なのは、3泊4日の活動において、代表チームのマインドや、日常とは違う監督が指揮を執るなかでの戦術モデル、トレーニング、それらすべてを経験しておくことです。そうした合宿のなかでのパフォーマンスと、今シーズンのパフォーマンスを加味していきます。具体的な日付が決まってくれば、そこからの強化と、人数を絞っていくフェーズに入ります。

──2年前のユース五輪に出場した、いわゆる「木暮チルドレン」も多く招集されています。彼女たちの成長をどのように感じていますか?

2つあります。一つは、男子を含め、日本代表として最も大きな成果(銀メダル)を出したという事実があります。世界のファイナルを戦ったのは彼女たちしかいません。僕もW杯で決勝に行ったことはないですから。世代別の大会ではあるものの、そこで戦った選手しかできない経験をしています。彼女たちには、順調に成長して、「次はA代表で会えるように努力してほしい」というメッセージを伝えましたが、タイミングを含め、ようやく実現できる入口に立ちました。その一方で、A代表とは当然、教育的な視点や成長を求めるだけではなく、それ以上に国を代表して勝たないといけないという立場にあります。我々の目標は、まだタイトルを取れていないアジア選手権にあります。育成から強化へつながる流れはありつつも、選手たちに道が用意されているわけではありません。入口に立った以上は、競走を勝ち抜いていくことが求められますし、あくまでフラットな目線で選手を見ていきたいと思います。

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